【初心者向け】システム開発の手法5選とメリット・デメリットについて解説!

そもそもシステム開発にはどんな手法が使われているのか、どの手法を使えば、開発は成功するのか最初はわからないことだらけです。しかし、今回そのようなニーズにお応えすべく、主なシステム開発の手法5選とそのメリット・デメリットについてわかりやすく解説していきます。
また、それぞれの手法をひと目で比較できるように『特徴比較表』を作成いたしました。お時間のない方はこちらを参考にしてみてください。
また、『システム開発』の詳細についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
【初心者必読】システム開発系の会社の種類とそのメリット・デメリットについて解説!
目次
システム開発手法の特徴比較表
3・・・あてはまる 2・・・ややあてはまる 1・・・あまりあてはまらない
計画性 | 柔軟性 | コストの増加 | |
ウォーターフォール開発 | 3 | 1 | 1 |
アジャイル開発 | 2 | 3 | 3 |
スパイラル開発 | 2 | 2 | 2 |
プロトタイプ開発 | 2 | 3 | 2 |
DevOps(スクラム開発) | 1~2 | 3 | 3 |
システム開発の主な手法5選

システム開発の手法は、主に5つあります。ウォーターフォール開発、アジャイル開発、スパイラル開発、プロトタイプ開発、DevOpsです。それぞれどのような開発手法なのか初心者でもわかりやすく解説していきます。
システム開発手法1.ウォーターフォール開発
ウォーターフォールとは「滝」という意味で、上流工程から下流工程まで滝が落ちるように開発を行います。つまり、1つ1つ開発手順を踏んで開発していく手法です。
ここでいう開発手順は、要件定義→企画→設計→開発→テストとなりますが、ウォーターフォール開発では、これらを1つ1つこなすことになります。計画的かつ確実に開発を行うことから大型開発に向いています。
▼こちらも参考にしてください!
①ウォーターフォール型開発とは?メリットデメリット、進め方を解説
システム開発手法2.アジャイル開発
アジャイルとは、「素早い」「回転が速い」という意味です。開発手順は、ウォーターフォール開発同様、要件定義→企画→設計→開発→テストで行います。アジャイル開発では、このサイクルを何回も回して、システムを開発していきます。短い期間でお客様にフィードバックをいただけるので、細かい修正を何回も行うことができ、柔軟な対応に優れています。
短期間で開発しながら、リリースを繰り返し、目的のシステムを明確にしていくことから、要件定義の段階で完成させたいシステムが明確になっていない場合におすすめできます。また、とりあえず作ってみるところから始まるため、流れが早いビジネスにも対応できます。
▼こちらも参考にしてください!
①「アジャイル開発とは?特徴や全体像、失敗しないポイントも解説」
②「アジャイル開発のスクラムとは?進め方、失敗しないポイントを解説」
システム開発手法3.スパイラル開発
システムを機能ごとに分けて、重要度順に開発していく手法のことです。
例えば、Aシステムというものがあったとします。スパイラル開発では、まずAシステムを機能ごとに分けます。
イメージとしてはこのようになります。
Aシステム=システム1+システム2+システム3
次に重要度を決めます。今回は、システム1>システム2>システム3の順で重要度が高いものします。
重要度が高いシステムから開発することになるため、まずは。システム1から、要件定義→企画→設計→開発→テストの流れに沿って開発します。システム1が完成したら、次はシステム2、システム3と着手していくことになります。
分割したシステムが1つ1つ完成した時点で、お客様に見せることができるため、手戻りが少なくてすみ、完成イメージが大きくズレることはなくなります。
システム開発手法4.プロトタイプ開発
プロトタイプとは「試作品」を意味します。つまり、システムの簡略版であるプロトタイプをまずは作成し、そこから完成に近づけてい開発手法となります。
システムの完成イメージが上手く掴めていなかったり、実際のシステムの使用感を重視したい方におすすめします。
アジャイル開発と非常に似ていますが、依頼者からのフィードバックを受けるタイミングが異なります。アジャイル開発ではシステムをリリースしてからフィードバックを受けることになります。
しかし、プロトタイプ開発では、リリースより前の段階で試作品をつくり、フィードバックを受けます。そういった意味では、プロトタイプ開発の方が早い段階で問題点を見つけることができます。
▼こちらの記事も参考にしてください!
①MVP開発とは?その意味、手法、メリットについて解説
②MVP開発のタイプとそれぞれの事例を一挙紹介!
システム開発手法5.DevOps(スクラム開発)
Development and Operationsの略で 「デブオプス」と読みます。Developmentとは開発、Operationsとは運用を指します。つまり、開発者と運用者が協力して開発を行う手法です。
なぜそのようなことを行う必要があるのか。それは、「開発すること」と「使うこと」は全くの別物だからです。開発者が、運用する側の意見を取り入れて開発することで本当に役に立つシステムを開発することができます。
▼こちらの記事も参考にしてください!
①アジャイル開発のスクラムとは?進め方、失敗しないポイントを解説
それぞれの開発手法のメリット・デメリット

ウォーターフォール開発
メリット
『計画的に開発を行うこと』ができます。ウォーターフォール開発は、要件定義からテストまでの流れにしたがって、開発をすすめる手法です。そのため、あらかじめ開発スケジュールが明確になっています。
ゆえに、進捗管理がしやすくなったり、予算や人員の手配がしやすくなったりします。特に進捗を把握しやすいと、無理がないタスクを割り振ることができたり、予備期間を設けていれば、万が一トラブルが発生したとしても、落ち着いて対応できます。
デメリット
ウォーターフォール開発では、『依頼者のフィードバックが反映しにくい』というデメリットがあります。要件定義→企画→設計→開発→テストまで1つ1つこなしていくため、リリースするのは最後の方となります。ゆえに、実際にシステムを使う人たちの生の声を取り入れにくなってしまいます。
実際にシステムを使う人たちにとって、使い勝手の悪いものになってしまっては元も子もありません。現場との乖離が発生しないように気をつけましょう。
アジャイル開発
メリット
アジャイル開発の最大のメリットは、『リリースのたびに、利用者からフィードバックをいただけること』にあります。
現場の生の声を直接システムに生かせることから、システムの完成イメージを明確に共有でき、開発者と利用者の認識の違いをなくすことが可能です。また、フィードバックを修正に活かせることから、効率的に開発をすすめることができます。
デメリット
アジャイル開発のデメリットは『システムの方向性がブレやすいこと』にあります。利用者のニーズを取り入れやすい反面、仕様の追加・変更が発生しやすくなってしまいます。
開発スケジュールが大幅に変わってしまい、予定通りに開発が進まなくなってしまったり、修正によりコストが増大してしまうことが考えられます。修正によるスケジュール・コスト等の影響度合いを開発者に確認しましょう。
スパイラル開発
メリット
スパイラル開発の最大のメリットは『仕様変更に柔軟に対応できること』にあります。スパイラル開発は短期間に要件定義→企画→設計→開発→テストを繰り返します。開発途中で仕様が変更になったとしても、柔軟に対応できます。
また、初期段階でシステム全体の要件を把握できていなかったとしても、はじめに開発するシステムの部分の要件だけを固めれば、のちのシステム開発に活かすことができます。つまり、1つ1つの機能が完成するごとにシステムの品質を高めることができます。
デメリット
スパイラル開発のデメリットは『プロジェクトの全体像が把握しにくいこと』にあります。アジャイル開発と同様、初期段階では計画が明確化していません。プロジェクトの全体像を把握しにくい傾向にあります。全体像が捉えきれていないうちに、依頼者の要望に応えていると、想定していたシステムと異なったものができてしまいます。
すなわち、本来の目的とかけ離れたシステムが完成してしまう恐れがあります。また、修正が多すぎると納期に間に合わないおそれもでてきます。スパイラル開発では、機能ごとに設計、開発を繰り返します。依頼者の要望を取り入れられるその一方で、依頼者のフィードバックが多すぎると、期間内にシステムができあがらない恐れがあります。
実際に完成した機能の64%は使われないというデータもあります。最悪リリースにも響くことになるため、目的に必要な修正だけ行いましょう。そして、依頼者側も開発側の負担を考えて修正を依頼しましょう。
プロトタイプ開発
メリット
プロトタイプ開発の最大のメリットは『開発者が想定していなかった利用者の生の声を早期に反映できること』です。開発者にとって、依頼者の業務を想定しながら、真に役に立つシステムを作ることは容易ではありません。
1番良いのは、依頼者の業務を一度体験してみて、その体験からシステム化に生かせるヒントを見つけ出すことです。しかし、そんなことをしていては無駄に時間がかかってしまいます。
その対策として、一度試作品(プロトタイプ)を作るわけです。依頼者に操作感を体験してもらい、仮説検証を繰り返すことで、より質の高いシステムをリリースすることができます。
システム開発で1番最悪なのは、目的が達成されないこと、すなわち、コストだけかかってしまい、こんなはずじゃなかったと後悔することです。プロトタイプ開発では、システム開発者との認識の齟齬が生まれにくい仕組みになっています。コストがかかってしまったとしても、お望みのシステムが完成します。
デメリット
プロトタイプ開発のデメリットは『大規模なシステムにはあまり向いていないこと』にあります。大規模なシステムでは、どうしても画面数が多くなってしまいます。
プロトタイプ開発では、試作品(プロトタイプ)をまずは作成することになりますが、その試作品が他の画面にも適応できているかというとそれは別の問題です。画面が多くなってしまうとならさらその問題が発生します。
あまりにも規模が大きいシステムの場合は、プロトタイプ開発の性質上、試作品の確認と調整に時間がかかってしまうため、かえって開発の効率が悪くなってしまいます。
共通で、かつ重要な機能のみにフォーカスをあて、残り部分は画面仕様書を用いて、試作品の数を減らす工夫をしましょう。コツは、効率と品質のバランスをとることです。
DevOps(スクラム開発)
メリット
DevOpsのメリットは『高品質でかつハイスピードな開発ができること』にあります。上記で触れたようにDevOpsでは開発者と運用者が一体となり、お互いに協力しながらシステム開発を行います。
そのため、システムが変更されるとなった場合でも、開発者は運用者からのフィードバックをすぐに得ることができるため、スムーズに作業を進めることができます。
また、運用者も事前に変更部分を把握することができるため、早い段階から対策を練ることが可能です。
お互いの目的を満たしながら開発をすすめられることから、余分な作業が減り、システム開発のスピードが高速化するため、素早くシステムをリリースできます。リリースまでの時間が短くなると、市場のニーズやその時々のトレンドに合ったサービスを展開できるでしょう。
デメリット
DevOpsのデメリットは、『全体の規模やスケジュールを厳密に管理できないこと』にあります。開発者と運用者が協力し、小さな開発を何度も行うことでフィードバックを得られるため、スピーディな開発を行うことができます。
しかし、修正が出てきてしまうと、必然的に工程ごとのスケジュールにも変更を加えなければなりません。つまり、スケジュール管理が求められてる開発にはあまり向いていないといえます。
また、DevOpsは、日本においてまだ浸透しきっていません。もともと開発者と運用者というように、役割が分かれていませんでした。しかし、技術の進化により、役割を別々にすることになりましたが、日本ではまだまだ内製化がすすんでいません。
内製化とは外部委託を行わず、会社内部だけで完結させることを指します。DevOpsでは、開発者と利用者が密にコミュニケーションを取る必要があります。日本においては、開発者と利用者がきっぱりと分断されているため、まだまだ浸透していません。
迷ったときにおすすめの開発手法

大規模開発
大規模な開発であれば、『ウォーターフォール開発』をおすすめします。大規模なシステム開発であればあるほど、その際にさまざまなリソースを大量に確保しなければなりません。
そして、そのリソースを最大限効率的に活用するために必要なのが、計画です。綿密な計画を立てなければ、そのリソースは無駄になってしまうどころか、システム自体も完成しません。しかし、ウォーターフォール開発であれば、その心配はありません。
ウォーターフォール開発では、開発する前に各工程でどのくらいのリソースが必要か明確に定めらているため、無駄なく開発をすすめることができます。
中小規模開発
中小規模の開発であれば、『アジャイル開発』をおすすめします。アジャイル開発では、初期の段階で綿密な計画を立てることはできません。なぜなら、小さな開発を繰り返し、依頼者からのフィードバックを得ることでシステムに修正を加えていくからです。
しかし、中小規模の開発であれば、開発に必要なリソースが比較的少ないため、修正による振り幅に対応することができますし、フィードバックの数だけ品質の高いシステムができあがります。
まとめ

今回、システム開発の手法とそのメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。それぞれの開発手法の特徴について理解していただけたかと思います。1番大切なのは『最適な開発手法を選択すること』です。そのために、迷われたときにおすすめの開発手法についても記述しておりますので、参考にしてみてください。