ローコード開発のセキュリティの注意点や実際の対策5選を解説
ローコード開発において、アプリやシステムを開発時のセキュリティは重要です。セキュリティがしっかりしていないと、情報流出やシステム障害などの問題が起こる可能性があります。
しかし、具体的にどんな対策を立てればよいかわからない人もいるでしょう。また、ローコード開発のプラットフォームはどんな対策をしているか知りたい人もいるかと思います。
そこで、今回はローコード開発のセキュリティについて、注意点や実際の対策を詳しく解説します。意識すべきポイントがわかるので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ローコード開発とは?
ローコード開発とは、直感的な操作で実施するアプリやシステム開発のことです。
ローコード開発が普及する以前は、エンジニアが専門知識を用いてコーディングを行っていました。しかし、この方法では開発者が限られてしまい、企業によっては人材確保できない可能性もあります。
一方で、ローコード開発は難しいコードの記述が必要ないため、知識のない人でも開発することが可能です。また、必要があればコードを記述できるため、開発の自由度も両立しています。
ローコード開発について、詳しくは「ローコード開発とは?特徴、メリットデメリット、事例を紹介」を参考にしてみてください。
ローコード開発のセキュリティを強化する理由4個
ローコード開発のセキュリティ強化は欠かせないですが、その理由は以下の4つです。
- アプリ処理の中身の明確化する
- コードのセキュリティ対策ができる
- 情報漏洩を防止できる
- ソフトウェアやプラットフォームの障害を防げる
ローコード開発のセキュリティを強化すれば、より安全に開発を進められます。
アプリ処理の中身の明確化する
ローコード開発のプラットフォームは、簡単に利用できる一方で内部でどのような処理がされているかわかりません。ユーザー側は処理方法が確認できないと、どんなセキュリティがあって安全性はどのくらいなのかを把握できず、有効な対応策もできないでしょう。
処理の中身を明確化するには、プラットフォームなどの運営側にソフトウェア部品表(SBOM)を公開してもらうのが有効です。SBOMを確認し、ソフトの仕様や脆弱性が確認できれば対策も立てやすくなります。
コードのセキュリティ対策ができる
ローコード開発は基本的にコードの記述は必要ありません。しかし、コードが使われていないわけではなく、内部ではコードによる処理が行われています。そして、コードの安全性が運営によって確実なものになっているわけではないのです。
ローコード開発のセキュリティ強化には、コードの安全性も含まれています。具体的な方法として、コードのセキュリティがどうなっているか運営側に問い合わせるのが有効です。また、ISOなど品質に関する保証のあるプラットフォームを選ぶのもセキュリティ対策になります。
情報漏洩の防止できる
セキュリティが脆く、不正アクセスが簡単にできる状況では、情報漏洩が起きやすいです。情報漏洩は顧客の重要な情報を盗まれてしまうだけでなく、被害にあった自社も信用を失ってしまいます。情報漏洩は被害にあった全ての人が損をするため、セキュリティ強化は必須です。
情報漏洩の防止をしっかりと行えば、顧客に対する安全性のアピールにもなります。会社の事業内容によっては、それ自体が売上アップにつながるので、しっかりと行いましょう。
ソフトウェアやプラットフォームの障害を防げる
ローコード開発を進めるうえで起きると困るのが、プラットフォームやツールが障害を起こしてしまうことです。障害が起きてしまうと、関連する業務をストップせざるを得ないため、会社全体の効率に影響します。
障害が起きないようにするには、業界で評価の高いソフトやプラットフォームを利用するなどの対策が必要です。ローコード開発を行う企業の多くは、専門知識を有していないことが多いでしょう。しかし、障害を避けるためにセキュリティに対して、一定の知識を持っておいた方がよいです。
ローコード開発のセキュリティの3大要素
ここからはローコード開発のセキュリティに重要な3大要素を解説します。3大要素は以下の通りです。
- 機密性
- 完全性
- 可用性
上記はローコード開発のセキュリティを考えるうえで必須の要素なので、しっかり把握しましょう。
機密性
機密性は、ローコードがいかにして企業の持つ情報資産を内部で守れるかを示すものです。アクセス制御や多段階認証などを行うことで、機密性を保持します。
特定の人のみが情報にアクセスでき、外部に情報が洩れる心配のないセキュリティを構築できれば、それだけ企業の信用が高まるでしょう。自社の事業をアピールする材料にもなり、顧客の信頼も得られます。情報漏洩は多くの人や企業に損失を与えるので、機密性は常に高めておきましょう。
完全性
ローコード開発では、保存されている情報が正確な状態で維持され、必要に応じて最新の情報に更新されることも重要です。
たとえば、道案内のアプリの場合、ルートの変更が予想されますし運転をサポートするために法令に関するデータも必要となります。情報が正確かつ最新のものでないと、意図せず違反をしてしまったり、事故につながったりする危険があるので、完全性もローコード開発には重要です。
また、更新した情報の正確性を確認するためにも、情報変更の履歴保存や保存した情報の暗号化は欠かせません。
可用性
自社の情報資産は正確な状態で保存されるだけでなく、必要なときは素早く使える必要があります。セキュリティがどれだけ強固でも、アクセスしにくければ効果は半減してしまうのです。
特に災害などでシステムが一時的にダウンしたときは、素早い復旧が求められます。システムのバックアップや支社機能の設置などをしておくと、いざというときは予備をつかったシステムの利用が可能です。
また、システムをクラウド化してオンラインでアクセスできるようにするのも可用性の向上につながります。
ローコード開発のセキュリティには機密性や完全性などの強固さだけでなく、素早いアクセスや復旧ができる可用性も重要です。
その他ローコード開発のセキュリティの確認ポイント
ローコード開発におけるセキュリティには、3大要素以外にも確認すべきポイントがあります。その確認ポイントは以下の通りです。
- アフターサポート
- 情報セキュリティポリシー
- 自社のローコード開発に関する知識
これらのポイントをしっかり確認することで、ローコードのセキュリティをより高められます。
アフターサポート
ローコード開発において、導入後のサポートは重要です。不具合や障害があったときには、提供元からサポートを受けられる仕組みがあると問題解決しやすくなります。
社内では解決しきれない問題が発生した場合、素早くサポートに連絡でき、対応できる体制が整っていれば業務効率も落ちません。アフターサポートがどれくらい受けられるかは、導入前にしっかり確認しましょう。
情報セキュリティポリシー
組織・企業にはそれぞれのポリシーがあります。情報セキュリティに関しても、ローコードのプラットフォームはポリシーを公開している場合が多いです。
情報セキュリティポリシーは一般に公開され、導入前に確認できます。組織の情報運用の方針やシステム運用の規定、情報セキュリティに対する考え方を確認しましょう。
事前にセキュリティポリシーを確認しておけば、実際のセキュリティ機能がポリシーに沿ったものなのか分かります。導入するローコードがポリシー通りのセキュリティになっているか、事前にしっかり確認しましょう。
自社のローコード開発に関する知識
ローコード開発を導入しても、操作方法や機能がわからなくては開発は進みませんし、開発できてもクオリティは下がってしまいます。
また、セキュリティに対しても、ローコード開発に関する知識がなければ評価できません。セキュリティが不十分なローコードを導入してしまった場合、システム障害などの問題が発生しても、原因に気づけない可能性があります。
ローコード開発のセキュリティや業務効率を考え、自社に一定の知識が蓄積されているか確認しましょう。
ローコード開発のセキュリティ機能
ローコード開発において、セキュリティ管理を担う機能は、主に以下の3つです。
- アクセス制御機能
- ログ管理機能
- 各種認証機能
これらの機能を有効活用すれば、ローコードのセキュリティを高められます。
アクセス制御機能
アクセス制御機能は、ローコードにログインできる人間を限定するための機能です。ログインできる人にのみIDとパスワードを付与します。また、アクセスできる人であっても権限を制御することで業務範囲に合わせた操作しかできないようにすると、ヒューマンエラーを減らせるでしょう。
人に合わせたアクセス権限を付与すると、不正アクセスのリスクを減らせるとともに内部でのヒューマンエラーも減らせます。細かいアクセス制御はローコードの完全性を高めるのに高雅的です。
ログ管理機能
ログ管理機能は、ローコード開発において「誰が」「どこで」「いつ」「何をしたか」が明確になる機能です。ログ管理機能を持っているローコードは、作業の進捗状況を共有しやすくなるので、業務効率の改善にも役立ちます。
また、ログ管理機能は社員の誤った操作や外部からの不正アクセスによって、データを破損した場合にも素早く復旧可能です。データの本来のかたちを素早く取り戻せることから、可用性の向上に役立ちます。
各種認証機能
各種認証機能は、ローコードを利用しようとしている人が許可されている人なのかや権限が付与されているかなどを確かめる機能です。各種認証機能を搭載することで、ローコードの機密性を高められます。
各種認証機能の具体例には、IDとパスワードによる認証や2段階認証など様々なものがあります。認証方法を複雑化させるほど、機密性は高まりますが、可用性は損なわれるのでバランス良く機能を搭載しましょう。
ローコード開発ツールのセキュリティ対策5選
ローコード開発ツールのセキュリティ機能を実装している例として、代表的なものは以下の5選です。
- WebPerformer
- PowerApps
- Salesforce Lightning Platform
- Kintone
- SPIRAL®ver.2
実例を知ることで、ローコードを導入する際にセキュリティ機能をより細かく比較できます。
WebPerformer
WebPerformerは1000社以上の導入実績があり、様々な業務上の課題を解決できるローコード開発ツールです。Webアプリに多く導入されている、Basic認証とフォーム認証に対応しています。ログインユーザーに割り当てられたロール情報から、メニュー項目やフィールドボタンへのアクセス制御が可能です。
Javaプログラムの自動生成が可能なツールで、マルチブラウザに対応しているので誰でも簡単に開発できます。シンプルな操作で運用・保守・改修がスムーズです。
PowerApps
PowerAppsはMicrosoftが提供しているローコード開発ツールです。同社が提供するExcelやPower pointのような感覚で開発を進められます。
アクセス権限や監査ログなどのセキュリティ機能を搭載でき、誰でも安全性の高いアプリを開発可能です。ユーザーごとに8段階のアクセス権限を付与できるので、細かくアクセス制御できます。
また、誰もがアプリ開発者になることができると同時に、専門知識を持ったエンジニア人材であればより高度な開発が可能です。拡張ツールの活用によって、開発担当者のスキルに合った開発を進められます。
PowerAppsの公式サイトはこちら
Sales force Lightning Platform
Sales force Lightning Platformは、簡単なマウス操作でExcelやスプレッドシートなどを素早くアプリに変換できます。リアルタイムのモニタリングや脆弱性チェックによって不正アクセスなどのリスクを下げられます。
Salesforce Shieldというセキュリティ機能もあり、プラットフォームの暗号化や項目監査履歴などが可能です。Salesforce Shieldの活用によってシステムの透明性は保たれ、コンプライアンスやガバナンスの確立に貢献できます。
Sales force Lightning Platformの公式サイトはこちら
Kintone
Kintoneはサイボウズが提供するローコード開発ツールです。国内企業向けに業務効率を改善できるツールを多く提供しています。
Kintoneのセキュリティ機能には、IPアドレスによる制限や2段階認証などがあり、不正アクセスのリスクを抑えられます。
また、セキュリティインシデントの専門チームとして「Cy-SIRT」を設置しているのも特徴です。Cy-SIRTは社外組織とも共同で、インシデント発生の予防、脆弱性被害防止などソフトウェアの信頼向上に努めています。
SPIRAL®ver.2
SPIRAL®ver.2は業務アプリの開発に適しており、認証に対するアクセス制限やアクセスログの管理によって、顧客情報を保護できます。
また、開発担当者や社員といったツールを利用するアカウントを一括管理でき、アクセス権限の管理が簡単です。業務効率を改善するツールとしても、データ連携やメール配信などの機能があるので、十分な効果が期待できます。
Webサイトを公開したい場合も、作成から運用、変更までを簡単に行える便利なツールです。
まとめ
ローコード開発のセキュリティについて、強化する理由や3大要素、注目ポイント、実際の対策などを解説しました。
ローコード開発は非エンジニア人材でもできて便利です。しかし、多くの人が関われる分だけ、セキュリティ管理が重要です。セキュリティを強固なものにすることで、不正アクセスの心配なくツールを利用でき、顧客からの信頼も得られます。
ローコード開発を導入する際は、この記事で解説したセキュリティを意識してみてください。