企業で広がりを見せているローコード開発は、今後のトレンドであると考えられています。しかし中には、ローコード開発の特徴やおすすめのツールがどれかわからない人もいるでしょう。
そこでこの記事では、ローコード開発とはどんなものか知りたい人に向けて、基礎知識からおすすめのツール、メリット・デメリットを解説します。ローコード開発の理解が深まるので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ローコードとは?

ローコードとは、アプリ開発やサイト制作の一部機能をコードの記述なしでできるようにしたものです。コードを使わなくても良い分、誰でも開発を進められる一方で、必要な部分にコードを用いることでカスタマイズも可能となっています。
ローコードのツールやプラットフォームは、こうしたバランスの良い開発環境をユーザーに提供しているのです。
2026年:ローコード開発とAIの関係
ローコード開発を取り巻く状況は、AIの広がりとともに変わってきています。ここでは、2026年時点で押さえておきたい2つのポイントを紹介します。
ローコード/ノーコードツール自体にAI機能が組み込まれてきている
近年は、ローコードやノーコードのツール自体にAI機能が組み込まれるようになってきました。たとえば、自然言語で「こういう画面を作りたい」と指示するとアプリの土台を生成したり、入力中の項目を補完したりする機能です。これにより、ツールの操作に不慣れな人でも開発に着手しやすくなっています。
AIコーディングという新しい選択肢が加わった
もう1つの変化が、Claude Codeに代表されるAIコーディング(AI駆動開発)の登場です。AIにコードを書かせながら開発を進める手法で、これまでのローコードやフルスクラッチとは別の選択肢として広がりつつあります。
その結果、開発の進め方は「ローコード/ノーコード」「AI駆動開発」「フルスクラッチ」の3つを、要件に応じて使い分ける時代になってきました。どの程度のカスタマイズが必要か、運用や拡張をどう見込むかによって、適した手法は変わります。AI駆動開発でどこまでできるかは「Claude Codeで企業のアプリ開発はどこまでできるか」で詳しく解説しています。
ローコード開発のトレンドは?

ローコード開発について、他の企業の導入状況が気になる人もいるでしょう。ローコード開発は各企業で開発が進んでおり、国内では大手企業が特に取り入れています。
さらにローコード開発の市場は拡大が続いており、各種の市場調査でも今後も成長が見込まれると報告されています。ローコードツールの導入は、企業が競争で優位に立つために重要なものになりつつあります。
ローコードとノーコードの違い

アプリ開発やウェブサイト制作には、ノーコードツールを使う場合もあります。ノーコードとローコードの違いは、コードを記述するかどうかです。
ノーコードは開発の過程でコードを記述することはありません。ツールに用意されているテンプレートなどを利用します。これに対して、ローコードは必要に応じてコードを利用するのが違いです。
ノーコードはコードの記述がいらないので、誰でも作業できますがツールの機能以上のことは基本的にできません。これに対してローコードは、基本的にツールの機能を利用し、必要に応じてコードを用います。その分、専門性も求められますが、開発の自由度は高いです。
ノーコードとローコードには、このような違いがあり、それぞれ一長一短な面があります。もしノーコードツールについて深く知りたい場合は「【完全版】スタートアップにおすすめのノーコード開発ツール7選!」をご覧ください。
ローコードツールの選び方

ローコードツールを利用する際、何でもよいわけではありません。自社に合ったローコードツールを選ぶことで、事業を進めたり、業務効率の改善ができたりします。そのために重要なのが操作性です。また、業務監査をする上でもローコードツールは有効活用できます。
以下では、ローコードツールを選ぶ際の基準について、それぞれ詳しく解説しているのでご覧ください。
自社の業務プロセスに適合している
企業にはそれぞれ、独自の業務プロセスがあるでしょう。それに適合したツールかどうかで、導入後の効率は大きく変わります。
重要なのは個人や事業単位で最適なものを選ぶのではなく、企業全体にとって有益なツールを選ぶことです。そのため、導入時にはどんなツールをどういった目的で導入するのか、しっかり検討する必要があります。
業務監査ができるかどうか
企業の成長やツールの導入に合わせて、業務プロセスが複雑化すると、業務監査も難しくなります。そうした際に、ツールを用いることで監査を効率的に進められる仕組みも重要です。監査業務を進めるには、監査ログが大事なので、導入時に確認しましょう。
権限やIDを管理できる
ツールは利用者によって、機能を利用できる権限をIDで管理することができます。役職などによって、ツールを利用する範囲が決まっている場合、トラブルを避けるためにも、権限を設定しておくと便利です。こういった機能があるかも、導入前に確認しましょう。
ツールの操作性
ツールの導入時に操作性は必ず確認しましょう。業務効率化などを目的としているのに、操作性が悪いと結果としてツールを導入した意味がなくなってしまいます。
そのため、ツールの導入時はいきなり全てを導入するのではなく、テストで操作性を確かめましょう。そのうえで、本格的にツールを利用するのがおすすめです。
おすすめローコードツール15選

ローコード開発のツールの選び方がわかっても、実際にどんなツールがあるか知らなければ意味がありません。そこでここからはローコード開発ツールの中でも、おすすめのものを15選紹介します。自社に合うツールがどれか意識しながらご覧ください。
楽々framework3

楽々framework3はウェブアプリの構築に適したローコード開発ツールです。帳票やワークフロー、セキュリティ対策と万全の機能がそろっており、生産性の向上に役立ちます。プラットフォームを自由に選択できるので、クライアントと相談しながらの開発にもおすすめです。
楽々framework3の公式サイトはこちら
OutSystems

OutSystemsは注文管理アプリや検査管理アプリなど、業務効率化のためのアプリ開発に適したローコードツールです。また、新入社員や新規顧客へのオンボーディングにも適しています。ドラッグ&ドロップでアプリ開発ができる優れた操作性も特徴です。
OutSystemsの公式サイトはこちら
SPIRAL

SPIRALは業務アプリからWEBサイトまで、幅広い開発に適したツールです。データベース機能が中心ですが、LINE配信機能やメール機能、勤怠管理まで幅広い業務をカバーできます。ツールというより、プラットフォームとして位置づけられているのがSPIRALです。
SPIRALの公式サイトはこちら
Microsoft PowerApps

Microsoft PowerAppsはマイクロソフト社の提供するローコード開発ツールです。同社のエクセルの関数やマクロと同じ感覚で操作できるため、親しみやすいツールとなっています。また、ブラウザで操作を行えるのでMac環境でも利用可能な点も特徴です。
アプリをドラッグ&ドロップで操作できるので初心者でも扱いやすく、同時に開発担当者による拡張もできるバランスの良さもおすすめと言えます。
Microsoft PowerAppsの公式サイトはこちら
Magic xpa Application Platform

Magic xpa Application Platformは「ITトレンド部門ランキング」で2020、2021年で1位を獲得しています。ローコード開発ツールとして優れているだけでなく、技術の進展に合わせたアップデートをしながらも、これまでの開発によって生まれた資産も守ってくれるのが特徴です。
開発もマルチデバイス対応しており、低コストで開発できるため、導入に対するコストパフォーマンスも高いと言えます。
Magic xpa Application Platformの公式サイトはこちら
Wagby

Wagbyは400社以上の企業で導入実績があり、信頼できるローコード開発ツールです。ボタン操作のみでWebアプリケーションを構築できる簡便さがあります。料金プランは変更される場合があるため、最新は公式サイトで確認してください。
Wagbyの公式サイトはこちら
Salesforce Lightning

Salesforce Lightningはモバイルアプリの開発に適したツールです。アプリやデータなどを社内だけでなく、社外の人にも利用可能にできます。また、ドラッグ&ドロップで豊富なライブラリをカスタマイズ可能です。24時間365日のサポートもあるので、緊急時の対応も万全と言えるでしょう。
Salesforce Lightningの公式サイトはこちら
Kintone

Kintoneはサイボウズ社が提供するローコード開発ツールです。勤怠管理や日報、案件管理など手間のかかる雑務を一元的に管理できます。見える化された情報を共有することで、業務効率の向上に貢献してくれるでしょう。
Kintoneの公式サイトはこちら
iPLAss

iPLAssはWebブラウザでデータ定義を行うことでアプリ開発が可能です。自動構築されたデータ画面で登録を行うと、ユーザー向けの画面が表示されるので、簡単にアプリの使用感を確かめられます。スピーディーなアプリ構築によって、簡単に新規ビジネスにつなげられるのがiPLAssの魅力です。
iPLAssの公式サイトはこちら
Oracle APEX

Oracle APEXは、どこでもデプロイできる点が特徴のローコード開発プラットフォームです。基本的事項の学習やコミュニティへの参加など、知識を深める機会も多く用意されており、スキルアップするのにも適しています。
Oracle APEXの公式サイトはこちら
Mendix

Mendixはユーザーインターフェースやデータ開発を視覚的に行えるのが特徴です。企業向けを想定したローコード開発プラットフォームのため、拡張性と安全性を重視しています。顧客の信頼を獲得できるアプリを開発できるので、安全性を重視している企業におすすめです。
Mendixの公式サイトはこちら
Appian

Appianは業務課題の解決を目指す企業におすすめです。様々な事業を行っていると、ワークフローが複雑化し、全体の効率が落ちてしまうことがあります。Appianはそういったワークフローを簡素化することで、生産性の向上に貢献してくれるローコード開発ツールです。
Appianの公式サイトはこちら
Open Lowcode

Open Lowcodeは財務管理やワークフローの効率化に貢献してくれるローコード開発ツールです。専門知識がなくても、業務アプリの開発を迅速に行えます。特定の目的に沿ったアプリを開発できるので、ユーザーにとっても使いやすいです。
Open Lowcodeの公式サイトはこちら
プリザンター

プリザンターはドラッグ&ドロップで直感的に操作できるローコード開発ツールです。Webアプリの開発に適しており、経験がなかったり、少なかったりする場合でも簡単に作業を進められます。提供形態や料金は変更される場合があるため、最新は公式サイトで確認してください。
プリザンターの公式サイトはこちら
Appsuite

Appsuiteは業務アプリの開発に適したローコード開発ツールです。自社の様々な業務をシステム化することで、生産性の向上をねらえます。
業務を効率化するとともに情報共有し、現場から経営者まですべての人がつながることが可能です。無料お試しの有無や料金は変更される場合があるため、最新は公式サイトで確認してください。
Appsuiteの公式サイトはこちら
ローコード開発のメリット

ローコード開発の導入には生産性の向上、開発コストの削減、IT技術を活用しやすくなるといったメリットがあります。ローコード開発導入の背景には、このようなメリットがあるので把握しておきましょう。以下でそれぞれ解説します。
生産性が向上する
ローコード開発を導入すると、企業全体の業務を効率化できます。結果、導入前よりも1つの業務にかかる時間が短くなり、生産性が向上するのです。業務効率化ができれば、今までできなかった新たな事業にもリソースを割けるようになります。ローコード開発の導入自体が企業の成長を促すのです。
開発コストの削減
ローコードツールは本来のアプリ開発やウェブ制作と比較して、安価ですむ傾向にあります。本来であれば、エンジニアなど専門知識を持った人材を雇い入れて行うのがコード開発です。しかし、専門的な人材は人件費が高く、その後のアプリやサイトの運営コストも必要になります。
しかしローコードツールは開発の大部分をコードの記述なしで行えるため、エンジニアの力を借りる場面が減ります。それだけ人件費も安くなり、またツールの利用自体もコストとして安いので、結果として開発コストの削減につながるのです。
IT技術を活用しやすくなる
ローコードツールは、新しいIT技術の開発があると、いち早くツールにそれを導入します。絶えず運営側によってアップデートされるため、自社で努力しなくても最新の機能を利用可能です。
機能を効率よく拡張することで、無駄な業務や単純労働を減らせるので、人材をより有効活用できます。このように、ローコードツールを導入するメリットは長期に及ぶので、早めに導入するのがおすすめです。
品質が向上する
プログラミングにおいて、コードの記述ミスは品質の低下につながります。ローコードツールでは、コードを用いる場面が減るため、この問題をほとんど解決できるのです。サービスなどの品質が向上すれば、ユーザーからの評価も高くなるので、売り上げにも貢献します。
ローコード開発のデメリット

ローコード開発ツールには、ツールによる機能の制限、コードの記述が必要な場面、一定の知識が必要といったデメリットもあります。これらのデメリットを把握していないと、導入後に思わぬトラブルになるので注意してください。以下でそれぞれの注意点を解説します。
ツールによって機能が制限される
ローコード開発ツールを利用する際は、機能に注意しましょう。基本的にローコード開発はツールの機能を用います。そのため、どうしてもツールによってできることに制限が出てしまうのです。
ツールの機能でできないことでも、コードを記述することによってできることは多くあります。しかし、機能でできないことが多いほど、コードを用いなければならないので、それだけリソースもかかってしまうのです。
ローコード開発を行う際は、できるだけツールの機能で開発を進められるようにした方が効率が上がります。事前に機能を確認しておいてください。
コードの記述が必要な場面もある
ローコード開発では、必要に応じてコードを記述します。それが自由度を高める面もあるのですが、コードを用いるには専門知識が必要です。そのため、知識のある人材を確保しておかなければなりません。
プログラミングの知識がまったくない人では、ローコード開発に行き詰まる可能性があるので注意してください。
一定のツールに対する知識が必要
ローコード開発ツールは数多くリリースされており、それぞれに特徴があります。そのため、導入時にはどのツールが自社の業務に合っているか判断が必要です。なんの知識もない状態では、自社に適したツールを選ぶことは難しいため、事前に勉強しておかなければなりません。
ローコード開発の将来性・需要
ローコード開発は、短時間・低コストでシステム開発を進められる手法として注目され続けています。ここでは将来性と需要の見通し、そして開発を担う上で押さえておきたい知識を整理します。
市場は成長が続くと見込まれる
各種の市場調査では、ローコード/ノーコード開発の市場は拡大が続き、今後も成長が続くと見込まれています。アプリケーション開発のうちローコードで行う割合が高まっていくとの予測もあり、企業のシステム開発における選択肢として定着しつつあります。
背景には、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション=データやデジタル技術を活用した業務・事業の見直し)推進があります。経済産業省のDXレポートでは、既存システムを放置した場合に複雑化・ブラックボックス化が進み、保守コストの高止まりや市場変化への対応が難しくなるといったリスクが指摘されてきました。こうした課題に対し、レガシーシステムからの脱却やサイロ化(情報が部門ごとに分断され連携できていない状態)の解消を、比較的短い工期で進めやすい点がローコード開発の利点です。
需要が高まる背景
企業がITを活用する範囲は広がり続けています。基幹システムやWebシステム、データベースはもちろん、これまで紙と押印で行っていた承認プロセスのような業務までデジタルに置き換える動きが進みました。可能な業務はオンラインで行う流れが強まったことも、開発需要を押し上げています。
一方で、システム開発を担う人材は不足が続いており、外部に委託しても引き受け手が見つかりにくいケースもあります。ローコード開発であれば、専門的な知識を持つ人材が限られていても、業務内容や目的を詳細に理解した担当者がいればシステム開発を進めやすくなります。
また、個客ニーズの変化が速くなるなか、従来型の委託開発では稼働まで数か月から1年以上かかることもありました。ローコード開発は短期間でのリリースを実現しやすく、変化に素早く対応したい場面で需要が高まっています。
ローコード開発に必要な知識
ローコード開発で目的を実現し、データを適切に管理するには、最低限おさえておきたい知識があります。
- ローコード製品ごとの専門知識(製品によって「できること・できないこと」が異なるため、目的と製品が合っているかの見極めが必要)
- 基本的なプログラミングの知識(不足する機能をスクラッチで補い、組み合わせる場面に備える)
- データベース設計・データモデリングの知識(不適切な設計はアプリの複雑化やバグ、保守コスト増につながる)
技術的なハードルは下がりますが、システム設計や実装のスキルがまったく不要になるわけではありません。むしろ設計工程に注力するぶん、業務理解の深さが品質を左右します。
ローコード開発の活用事例
ローコード開発は、業務環境の変化に素早く対応する手段として、さまざまな現場で取り入れられています。ここでは公開情報をもとに、一般化できる活用パターンを紹介します。
短期間でのシステム立ち上げ
社会情勢の急変で、従業員向けの情報収集や手当支給のためのシステムを短期間で立ち上げた事例が知られています。要件定義からおよそ1か月程度で本番稼働させたケースもあり、従来型の委託開発では難しいスピードでの立ち上げが、ローコード開発の代表的な強みです。緊急性が高く、まず動くものを早く用意したい場面に向いています。
部門ごとに乱立した業務アプリの一元管理
台帳管理や案件管理などの業務アプリを各部門が独自に作り、管理が行き届かずブラックボックス化していた状態を、ローコードで再開発して一元管理した事例があります。稼働状況やメンテナンスをまとめて把握できるようになり、IT統制(社内のシステム利用を適切に管理・統制すること)の観点でも効果が見込めます。野良ツールやシャドーIT(管理外で使われるツール)の整理にローコードを使うパターンです。
大規模システムを含む多数のアプリ内製化
金融機関などでは、システムのサポート切れや更新に伴うコスト増、長期プロジェクトのなかで新たな要件を柔軟に取り込めないといった課題に対し、ローコード開発を採用した事例があります。数万人規模が利用する大規模システムを含め、多数のアプリケーションを内製で開発した例もあり、開発コストや期間の圧縮に加え、現場の業務プロセス改善や働き方の見直しにもつながったと報告されています。
このように、ローコード開発は「緊急の短期立ち上げ」「乱立したツールの統合」「大規模な内製化」など、目的に応じて幅広く活用されています。
ローコード開発のセキュリティ
ローコード開発では、開発に関わる人が増えるぶん、セキュリティ管理が重要になります。対策が不十分だと、情報流出やシステム障害につながりかねません。ここでは強化する理由、押さえるべき要素、確認ポイントを整理します。
セキュリティを強化する理由
ローコード開発でセキュリティ強化が欠かせない理由は、主に次の4つです。
- アプリ処理の中身を明確にする(プラットフォーム内部の処理が見えにくいため、運営側にソフトウェア部品表(SBOM)の公開を求め、仕様や脆弱性を確認できると対策を立てやすい)
- コードのセキュリティ対策(コードを書かない手法でも内部ではコードが動いており、運営側への問い合わせやISOなど品質保証のあるプラットフォーム選定が有効)
- 情報漏洩の防止(顧客情報の流出は自社の信用も損なう。防止策は顧客への安全性アピールにもなる)
- ソフトウェア・プラットフォームの障害対策(障害は関連業務の停止につながるため、評価の高い製品の選定と一定の知識が必要)
セキュリティの3大要素
ローコード開発のセキュリティを考えるうえで必須となる3大要素が、機密性・完全性・可用性です。
- 機密性:情報資産を内部で守れるかを示す。アクセス制御や多段階認証で、特定の人だけが情報にアクセスできる状態を保つ
- 完全性:保存された情報が正確に維持され、必要に応じて最新へ更新されること。変更履歴の保存や暗号化が欠かせない
- 可用性:必要なときに素早く使えること。バックアップや予備機能の設置、クラウド化により、障害時の素早い復旧を実現する
セキュリティは強固さ(機密性・完全性)だけでなく、素早いアクセスや復旧ができる可用性のバランスも重要です。認証を複雑にするほど機密性は高まりますが可用性は損なわれるため、目的に応じて調整します。
セキュリティを支える機能
ローコード開発でセキュリティ管理を担う代表的な機能は、次の3つです。
- アクセス制御機能:ログインできる人を限定し、権限に応じて操作範囲を制御することでヒューマンエラーや不正アクセスのリスクを下げる
- ログ管理機能:「誰が・どこで・いつ・何をしたか」を記録し、進捗共有や障害時の復旧に役立つ(可用性の向上にも寄与)
- 各種認証機能:IDとパスワードや2段階認証など、利用者が許可された人かを確かめる(機密性の向上に寄与)
その他の確認ポイント
3大要素以外にも、導入前に確認しておきたいポイントがあります。
- アフターサポート:不具合や障害時に提供元のサポートを受けられる体制があるか
- 情報セキュリティポリシー:プラットフォームが公開する運用方針や規定を確認し、実際の機能がポリシーに沿っているかを照らし合わせる
- 自社の知識:セキュリティを評価できるだけの知識が社内に蓄積されているか(不十分だと障害発生時に原因に気づけない恐れがある)
発注者・利用者の双方にとって、セキュリティはローコード開発を選ぶ際の重要な判断材料です。製品ごとに、暗号化や監査ログ、専門のインシデント対応チームの設置など、対策の内容には差があります。導入前に細かく比較しておくと安心です。
オープンソース(OSS)のローコードツール
ローコードツールには、ソースコードが公開され、無償または条件付きで利用できるオープンソース(OSS)の製品もあります。商用版と比べて初期費用を抑えやすく、用途に合わせてカスタマイズしやすいのが特徴です。一方で、導入や運用に一定の知識を要する点には注意が必要です。
OSSのローコードツールの種類
代表的なOSSのローコードツールには、次のようなものがあります。ライセンス形態や得意分野が異なるため、目的に合わせて選びます。
- プリザンター(Pleasanter):国内企業が提供する、画面操作でデータベース型の業務アプリを作れるプラットフォーム。Excelライクな操作と豊富なテンプレートが特徴で、商用のエンタープライズ版とOSS版がある
- iPLAss:Javaベースのローコード開発基盤。標準機能で作れない部分はJavaやGroovyでのコーディングに対応し、無償版と機能を拡張した有償版がある。対応データベースが豊富
- Open Lowcode:GUIで部品を組み合わせるのではなく、ソースコードベースで開発するフレームワーク寄りのツール。カスタマイズ性・拡張性が高く、独自要件のアプリに向く
OSSのローコードツールのメリット
- プログラミングスキルが高くなくても開発に着手しやすい
- ソースが公開され、自由度の高いカスタマイズや外部DB・API連携がしやすい
- ライセンス費用を抑えやすく、開発コストの削減につながる
OSSのローコードツールのデメリット
- 一般的なプログラミング開発に比べると自由度が下がり、大規模・独自性の高いシステムは対応が難しい場合がある
- 実務に対応できる最低限のプログラミングスキルや、データベース(RDB)の知識が求められる
- 製品によってはインストールや設定の手順が複雑で、幅広い知識が必要になる
OSSは「まず低コストで試したい」「自社で柔軟にカスタマイズしたい」場合に向いています。一方で、サポート体制や習熟コストを含めて検討すると、商用ツールが適すケースもあります。
ローコード開発のテスト自動化
ツール開発を進めるうえで、テストは欠かせない工程です。リリース前に動作や使用感を確かめ、不具合を未然に防ぎます。ローコード開発ではテスト工程を自動化できるツールもあり、業務効率の改善に役立ちます。
ローコード開発でテストする目的
ローコード開発でテストを行う主な目的は、次の3つです。
- テスト工程の一部を自動化する:テストケースの整合性をとり、単体テスト・全体テストを自動化して人手を省く
- 下流工程の作業を減らす:上流の作業を簡略化できれば、テストなど下流工程の負担も減り、全体の開発時間とコストを抑えられる
- 品質を管理する:プラットフォームの機能である程度の品質管理が行われ、レビューやドキュメントを最小限に抑えられる
テスト工程における課題
便利な一方で、ローコード開発のテストには次のような課題もあります。
- 品質管理:自動化できても、ユーザー目線での使いやすさ・わかりやすさを意識しないと不満の原因になる
- リソース不足:一部自動化できても、人が手を加える作業やテストケース作成には人材が必要。納期から逆算した事前調整が欠かせない
- テストケースの作り直し:似たアプリを複数開発する際に毎回作り直すのは非効率。再利用で手間を最小限にする
- アップデートによる肥大化:機能追加を重ねるとテストケースが増え管理しにくくなる。必要に応じて機能を分割するとよい
テストに使えるローコード開発ツール
テスト工程を自動化できるかは、利用するプラットフォームやツールの機能に依存します。テストに活用できる代表的なツールには、次のようなものがあります。
- VALTES:機能性・信頼性・使用性・効率性・保守性・移植性の6要素を重視し、単体テストからユーザー受入テストまで一貫して行える
- 楽々Framework3:設計情報からテストケースを自動生成し、実行スクリプトも作成できる。テストケースの確認をエクセルで行える
- T-DASH:Webアプリのテストをコーディングなしで自動化できる。日本語ベースでマウス操作とテキスト入力中心。無料プランもある
- mabl:クラウドでテストを実行でき、テストケースをAIが分析して変化を通知。クロスブラウザなど多様なテストに対応
- OutSystems:テストだけでなく設計から保守・運用まで一貫して行える開発基盤。変更時の影響分析もリアルタイムで実行できる
各ツールの料金やプランは改定されることがあるため、最新の内容は公式サイトで確認してください。
ローコードだけでなくノーコードも検討しよう
ローコード開発ツールは場面に応じたコードの記述や、ツール選びなど一定の知識が必要です。しかし、いきなり開発ツールを使うのにこういった専門性のない企業もあるでしょう。
そういった場合にはノーコード開発ツールがおすすめです。ノーコードでは、コード一切使わないため、プログラミング知識なしでもアプリ開発などができます。操作が直感的でもあるため、誰でも開発に携われるのが特徴です。
もしいきなりローコードのツールを使うのに不安があるならば、まずはノーコードから始めてみましょう。詳しくは「【徹底比較】ノーコードでwebサイトを構築できるツール15選を紹介!」や「【無料】ノーコードでアプリ開発できるおすすめツール10選を紹介」をご覧ください。
まとめ

ここまでローコード開発について、トレンドや選び方、おすすめのツール、メリット・デメリットを解説しました。ローコード開発の市場は成長を続けており、今後もこのトレンドは続くと予想されています。
ローコード開発を進めるには、一定の知識が必要です。しかし、コードを用いることで自由にアプリやサイトをカスタマイズできるなど、バランスの良いツールでもあります。この記事を読んでローコード開発に興味を持った方は、自社へのローコードの導入を検討してみてください。
ローコードを含め、どの手法で開発すべきか迷う場合の費用感は「AIアプリ開発の費用相場はいくら?方式別の料金と内訳【2026年版】」も参考にしてください。
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また、ローコードやノーコードは様々なことを知っておくと、ツールを活用できます。さらに詳しく知りたい人は「ノーコード開発とローコード開発の違いを徹底解説!」の記事もご覧ください。