社内SEでプログラミングができないのもアリ?社内SEに求められる3つのスキルを紹介
社内SEはプログラミングがプログラミングできなかったとしても問題ありません。ただし、プログラミングできなくても良い代わりに、さまざまなスキルが求められます。
そこで、今回の記事では社内SEがプログラミングできなくても良い理由を紹介するとともに、業務上で本当に求められる3つのスキルを紹介します。
社内SEを目指すうえで取得しておいた方が良い資格も紹介するので参考にしてください。
目次
社内SEはプログラミングができなてくても問題なし
結論から述べると、社内SEはプログラミングができなくても問題ありません。実際にプログラミングができない社内SEも多いです。
情報処理推進機構が発表している「IT人材白書2020」によると、2019年度のプログラミング工程を含めた企業の内製化率は全体で22.7%。前年度よりも0.8%増えていますが、それでも4社に1社程度の企業しかプログラミングを内製化していません。
つまり、8割程度の企業はプログラミング業務までを外注していることになります。
企業がプログラミングまで請け負わない背景としては、IT人材の不足が考えられます。同資料の「IT企業のIT人材の“量”に対する過不足感」という項目において、26.2%の企業が「大幅に不足している」と回答していて、66.8%の企業が「やや不足している」と回答しました。
企業内で不足しているIT人材が急に増えることもないため、基本的には外注先のベンダーにプログラミングを依頼するのが一般的なようです。そのため、社内SEはプログラミングができなくても業務に差し支えがありません。
社内SEとシステムエンジニアの違いは?
社内SEと同じような業種として「システムエンジニア」があげられるでしょう。両者は同じような職業ですが、仕事内容が異なります。それぞれの仕事内容の違いは以下の通りです。
社内SEの仕事内容 | システムエンジニアの仕事内容 |
---|---|
・自社システムの構築や管理 ・社内コミュニケーションの活発化 ・パソコンのトラブル対応 | ・クライアント先のシステム構築や管理 ・プログラミング工程やテストの実施 |
社内におけるシステム運営や管理の全般を勤めるのが社内SEです。会社の人間からすれば「パソコン業務における何でも屋」という立ち位置で、パソコンに関するトラブル対応に呼び出されることも少なくありません。
一方で、システムエンジニアはクライアント先のシステム構築や管理を請け負います。クライアントが求めるITシステムをヒアリングし、プログラミングによって希望通りに構築しなければいけません。
そのため、システムエンジニアはクライアントに対して、シビアな成果物を納品する必要があります。成果主義であるため納期が迫ると仕事量、残業が増えていくでしょう。
また、クライアントから無理な依頼を頼まれることもあるため、急な修正対応に追われる可能性もあります。しかし、社内SEはあくまでも企業内のシステム管理であるため、相手企業との連携を必要としません。
クライアントから無理な依頼をされることも少なく、プログラミング知識がなくてもできることから近年では社内SEの需要が高まりつつあります。
社内SEの仕事内容
社内SEの仕事内容は主に以下の通りです。
- 社内システムの管理・企画・開発
- 社内インフラの管理・整備
- 外注業者の進捗管理
社内システムの管理・企画・開発
社内システムの企画や開発に携わるのは社内SEの役割です。経営における業務効率化のためにシステムの管理や企画、開発に関わります。
特に近年では世界的にも業務効率を改善するためにDX化に取り組む企業も増えています。
情報処理推進機構が発表している「DX白書2021」によると、アメリカでDX化に取り組んでいる企業の割合は約79%にも及びます。一方で日本のDX化に取り組んでいる企業の割合は約56%。
以上のように世界的に見ても日本のDX化が遅れていることから、社内SEは社内システムの開発や企画に携わり、企業の業務を効率化する術を考える必要があります。
社内インフラの管理・整備
社内インフラの管理や整備は社内SEの仕事です。システムだけでなく、ネットワークやサーバの管理もしなければいけません。
そのため、社内のネットワークに何か影響が出たら対応する必要があります。
また、社内のシステムやパソコンの使い方を教えるのも社内SEの役目です。
外注業者の進捗管理
社内SEはプログラミングの知識を必要としない代わりに、ベンダーに対してコミュニケーションをとらなければいけません。
社内SEがシステムの構築からテストまで実施できれば問題ありませんが、企業ではほとんどがベンダーがシステムを構築します。
外注する場合には費用がかかるので、業務後の金銭トラブルを防ぐために綿密な打ち合わせが必要です。
また、外注する場合は納期も設定されているので、外注先のスケジュール管理も社内SEの仕事になります。
社内SEに必要なスキル3選
社内SEはプログラミングができない代わりに、さまざまなスキルが求められます。特に必要なスキルは以下の3つです。
- コミュニケーション能力
- システムの基礎知識
- マネジメント能力
コミュニケーション能力
社内SEは社内システムに関わるさまざまな人と関わる可能性が高いです。そのため、相手の要望を聞きながら解決する「高いコミュニケーション能力」が求められるでしょう。
例えば、社内システムやパソコンの使い方を教えるのも社内SEの役目ですが、「何が分からない」のか「どうして分からない」のかを的確にヒアリングする必要があります。相手が何をどうして分からないのかを解決してあげないと、根本的な解決につながりません。
相手の悩みを聞くためには社員から課題や悩みを的確に引き出し、適切な解決案を伝えなければいけないため、高いコミュニケーション能力が求められます。
システムの基礎知識
社内SEはプログラミングができなくても、社内システムの基礎知識は必要です。社内SEの主な仕事は社内システムの管理や運営で、システムに関する基礎知識がなければ務まりません。
システムの知識を体系的に把握するためには、マニュアルを理解する必要があります。
また、プログラミングができなかったとしても、体系的な知識を身につけておくと、システムの理解が深まる可能性が高いです。
ベンダーとのコミュニケーションをスムーズに進めるためにも、プログラミングの基礎知識も習得しておくと便利でしょう。
マネジメント能力
社内SEはベンダーの開発業務を管理しなければいけません。その際に、開発スケジュールから進捗管理までワンストップでおこなう必要があるので、高いマネジメント能力が求められます。
そのため、過去にプロジェクトリーダーを務めた経験や、プロジェクトのリーダーを務めた経験があると業務がスムーズに進むでしょう。
社内SEを目指すのにおすすめな資格は?
これから社内SEに就職や転職したいという人もいるでしょう。そこで、社内SEで働くために役立つ資格を4つ紹介します。社内SEを目指している人は参考にしてください。
- 基本情報技術者試験
- プロジェクトマネージャ試験
- オラクルマスター
- ITコーディネータ
基本情報技術者試験
システムエンジニアやプログラマーなど、ITに関わっている人に必要な知識が網羅されている資格です。ITの知識がある証明となるため、社内SEを目指している人は取得しておきたい資格の1つでもあります。
試験に出題される内容としては主に以下の通りです。
コンピュータシステムについて | ソフトウェアやハードウェアの知識、ネットワークに関する知識 |
情報セキュリティについて | あらゆるセキュリティに関する基礎知識 |
データ構造及びアルゴリズムについて | 数値計算やグラフ、ウイルス処理などの知識 |
マネジメントについて | プロジェクトやサービスに関するマネジメントの知識 |
他にも社内SEに必要な知識が体系的に出題されます。IT系人材として活躍するための登竜門として利用する人も多いです。
また、IT系の国家資格として人気があり、情報処理推進機構が発表しているデータによると、2021年11月の受験者数は4万3,850人にも及びます。
同時期の試験の合格者数は1万7,033人を記録していて、合格率としてはおよそ38%です。
出典:「過去の合格発表、試験結果情報(FE・SG(CBT方式))」
国家資格でありながらも30%以上の人が合格しているので、勉強すればそれなりに合格できる難易度といえるでしょう。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験も情報処理推進機構が実施している国家資格の一種です。高度IT人材としてプロジェクトを成功に導くための知識が網羅的に出題されます。
対象者に具体的な制限がないため、これからプロジェクトマネージャーとして活躍したい人にもおすすめの資格です。
ただし、IT人材として高度な知識が求められるので、合格率は高くありません。
情報処理推進機構が発表している「応募者・受験者・合格者の推移表」によると、2021年度秋季試験の合格率は14.4%です。
情報処理推進機構が実施している試験のなかでも合格率が低い試験なので、狭き門をくぐり抜けて合格した暁にはキャリアップを期待できるでしょう。
オラクルマスター
オラクルマスターとは、日本オラクル社が定めるデータベース試験のことです。世界中で利用されている「Oracle Database」の運用や管理、体系的な知識を証明するための資格としても知られています。
オラクルマスターの資格は段階ごとにランク分けされているのが特徴的で、それぞれのランクごとに難易度が異なります。
オラクルマスターブロンズ | ・最もグレードが低い資格 ・データベース管理者として基礎的な知識を網羅 |
オラクルマスターシルバー | 実装されているサービスにおいて、必要な知識が必要 |
オラクルマスターゴールド | ・データの管理だけでなくバックアップやリカバリーなどの知識が必要 ・実技試験も実施 |
オラクルマスタープラチナム | Oracle Databaseにおける専門的な知識が必要 |
データベースに関する基礎的な知識を手に入れたい人は、まずブロンズから挑戦してみるのがおすすめです。
ITコーディネータ
ITコーディネータは経済産業省が推進していて、真の意味で企業にIT経営をもたらすために必要な資格です。ITコーディネータ協会が実施している試験で、取得するとITのベンダーから営業、官公庁などさまざまな場面で活躍できます。
ITコーディネータ業界が発表する「合格者数及び合格率発表」によると、2021年1月〜2月に実施された試験では65.7%の人が合格しているようです。
上記で紹介してきたIT系の試験のなかでは、トップクラスの合格率を誇ります。そのため、IT系の知識を気軽に証明したい人にはおすすめの資格となるでしょう。
社内SEを目指すなら「プログラミング的思考法」を身につけよう
社内SEはプログラミングの知識がなくても問題なく業務をこなせます。しかし、プログラミングができないとしても、プログラミング的思考は身につけるべきです。
プログラミング的思考とは、物事を実行する際にどのようにすれば最善の結果を残せるのかを考える能力のことです。
プログラミング教育が導入されるようになった現代では、プログラミングそのものよりも「プログラミング的思考」がより求められるようになってきました。ほとんどをコンピュータが実行してくれる現代では、いかにして機械を働かすかが経営のカギを握ります。
特に社内SEが求められているのは、社内の経営課題をITによって改善することです。PDCAサイクルをまわし、最適な解決策を提案するためにもプログラミング的思考が役に立つでしょう。
とはいえ、まずは社内システムが正常にまわっているのかを定量的に把握する必要があります。もし、業務におけるシステムの効率性を把握したいのであれば、以下の記事を参考にして生産性を求めることから始めてください。
まとめ
社内SEはプログラミングができないとしても問題ありませんが、覚えておいて損はありません。特にベンダーと連携を図る際には、プログラミングの知識が役に立つ場面も多いはずです。
まずはプログラミングに関する体系的な知識だけでも身に付けることをおすすめします。