RFP(提案依頼書)とは?メリットや作成時の流れを解説
RFP(提案依頼書)の利用を検討している方のなかには、具体的にどんなものか知りたい方や、メリット・デメリットを知りたい方もいるでしょう。
この記事では、RFPが具体的にどのようなものかに加えて、メリット・デメリット、作成の流れなどを解説します。RFPへの理解が深まり、実際の業務に活かせるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
目次
RFPとはベンダーへ発注する依頼提案書のこと
RFP(提案依頼書)とは、商品、サービス、または価値ある資産の調達に関心を持つ機関や企業が、ベンダーに事業提案を提出するよう、多くの場合入札プロセスを通じて提案を募る文書のことです。
以下でRFPを作成する理由と、RFIとの違いを解説します。理由を把握することで、より効果的にRFPを作成できるでしょう。
RFPを作成する理由
RFPを作成する理由は2つあります。1つ目は、技術的な専門知識、専門的な能力を要求する場合、または要求されている製品やサービスがまだ存在せず、要求されているものを作成するために研究開発を必要とするためです。RFPを用意しておくと、研究開発の具体的な内容を把握できます。
2つ目は提案が要求される品目、プロジェクト、またはサービスの仕様が詳細であればあるほど、提案が正確である可能性が高まるからです。
RFPは、潜在的な供給業者に提案を求め、提案を求める品目、プロジェクト、またはサービスを特定し、複雑な販売プロセスの一部として作成されます。
RFPとRFIの違い
RFPとRIPは異なる概念です。
語句 | 意味 |
---|---|
RFP(Request for Proposal) | 提案依頼書 |
RIP(Routing Information Protocol) | ルーティング情報プロトコル |
RIPは、ネットワーク内のルーティング情報を交換するためのプロトコルであり、ネットワークのトポロジーを把握し、最適な経路を選択するために使用されます。RIPは、主に小規模なネットワークで使用され、大規模なネットワークではより高度なルーティングプロトコルが使用されることが一般的です。
RFPとRIPは、異なる分野で使用される用語であるため、混同しないように注意しましょう。
RFPの具体的な内容4つ
RFPを作成する際の具体的な内容は以下のとおりです。
- プロジェクトの概要
- プロジェクトの要件
- プロジェクトのスケジュールや予算
- 評価基準
上記の内容を把握しておくと、より効果的にRFPを作成できます。
①プロジェクトの概要
プロジェクトの概要は、プロジェクト全体の概要を意味します。具体的に含まれる内容は以下のとおりです。
- プロジェクトの背景や目的
- 依頼の範囲
- 解決すべき課題
- 競合他社・ベンチマーク
- 予算
- スケジュール
- 想定ターゲット
上記の条件を可能な限り詳細に記載します。
②プロジェクトの要件
RFPには、システムに盛り込んでほしい機能と、不要な機能を伝えます。RFPには、システム導入に関わる発注側企業の様々な要望や条件が書かれており、機能要件はその中の一つです。
機能要件には、システムに必要な機能や機能の詳細、不要な機能などが記載されています。機能要件は、開発会社にとってシステムの開発方針を決定する上で非常に重要な情報です。
③プロジェクトのスケジュールや予算
RFPのスケジュールには、プロジェクトの開始日、完了予定日、マイルストーン、タスクの期限などが含まれます。予算は、プロジェクトの総予算、各タスクの予算、支払い条件、契約金額などです。
これらの情報は、発注側と受注側の間での認識のズレを無くし、プロジェクトの進行や予算管理に役立ちます。
④評価基準
RFPの評価基準は、発注側が提示した提案書に対して、受注側がどの程度要求を満たしているかを評価するための基準です。評価基準は、RFP作成時に明確に定められ、提案書の内容に基づいて評価されます。
評価基準に含まれる内容は以下のとおりです。
- 提案内容の適合性:提案内容がRFPの要求事項に適合しているかどうか
- 技術的な提案力:提案内容が技術的に優れているかどうか
- 提案内容の実現可能性:提案内容が実現可能であるかどうか
- 提案内容のコスト:提案内容のコストが適正であるかどうか
- 提案内容のスケジュール:提案内容のスケジュールが適切であるかどうか
上記の評価基準は、RFP作成時に明確に定められ、提案書の内容に基づいて評価されます。評価基準は、発注側が受注側に求める要件を明確にすることで、双方の認識のズレを無くし、提案書を客観的に評価可能です。
また、評価基準に基づいて提案書を評価することで、発注側は最適な受注先を選定できます。
RFPを使った開発の流れ
RFPの開発は以下の流れで進みます。
- RFPの作成
- 提案書をベンダーへ提出
- 提案の評価
- ベンダーの選定
上記の流れを把握しておくと、スムーズにRFPを作成して開発に進めるでしょう。
①RFPの作成
RFPには、目標、要件、評価基準など、プロジェクトの明確な説明を含めます。また、提案書の提出期限や書式など、提案書の提出に関する指示も記載しましょう。
また、RFPが明確で簡潔かつ包括的であることを確認するために、提出前にRFPを見直し、改良することが不可欠です。RFPに誤り、矛盾、曖昧さがないかを見直しましょう。
②提案書をベンダーへ提出
RFPが完成したら、ベンダー候補に提出します。これは、電子メール、ベンダーポータル、調達プラットフォームなど、さまざまなチャネルを通じて行いましょう。提出はもっともスピーディーな方法で実行することが重要です。
③提案の評価
RFPが提出されたら、記載された評価基準に基づいて提案書を評価します。具体的には、提案書が RFP 要件に準拠しているかどうかのレビュー、ベンダーの経験や資質の評価、提案されたソリューションの実現可能性とコストの評価などです。
④ベンダーの選定
評価に基づき、プロジェクトの要件を満たし、自社にとって最良の価値を提供できるベンダーを選定します。複数のベンダーを比較することで、より最適な契約を結びやすいです。契約前には、改めて納期や価格、品質などを確認しましょう。
RFPを導入するメリット4つ
RFPを導入するメリットは以下のとおりです。
- 複数のベンダーから提案を受けられる
- 要件の明確に伝達できる
- 企業の課題と目標を明確にできる
- ベンダーへの評価を明確にできる
上記のメリットを把握しておくと、よりRFPを有効活用できるでしょう。
①複数のベンダーから提案を受けられる
複数のベンダーから提案を受けることで、多様なアイデアや提案を受けることができます。これにより、自社のニーズに最も適した提案を選びやすいです。ベンダー同士が自社の提案をより魅力的にするために努力するため、より優れた提案につながるでしょう。
②要件の明確に伝達できる
RFP作成によって、自社の要望をシステム開発会社に適切に伝えられます。口頭による伝達だけでは要件の漏れや認識の食い違いが発生し、システム開発会社側から見込み違いの提案を受ける可能性が高まるでしょう。
RFPを前もって用意しておくことで、自社の課題や今後を見据えた満足のいく提案を受けられます。
③企業の課題と目標を明確にできる
RFP作成によって、自社の課題や目的を明確化できる点もメリットです。RFPには、現状抱えている課題や目的・ゴール、システム構築の対象範囲、要求事項などが詳細に記載されます。自社のニーズを明確にし、システム開発会社に正確に伝えられるでしょう。
④ベンダーへの評価を明確にできる
RFP作成によって、評価基準を明確にできます。RFPには、自社が求めるシステムの要件や課題が詳細に記載されているため、ベンダーの提案内容を評価する際の基準も明確になるでしょう。ベンダーの選定もスムーズです。
RFPを導入するデメリット3つ
RFPを導入するデメリットは以下のとおりです。
- 時間がかかる
- ベンダーの仕事に制限がかかるケースも
- 最良の結果につながらない可能性がある
上記のデメリットを把握していないと、RFPの導入がうまくいかない可能性があります。
①時間がかかる
RFPの作成には、要件の収集や各部門からの意見聴取など複数のステップがあり、手間がかかります。開発会社がクライアントのニーズを理解するために必要なステップですが、プロジェクト全体を見たときに、導入前より時間がかかる可能性に注意しましょう。
②ベンダーの仕事に制限がかかるケースも
RFPはベンダーにシステムの仕様などを明確に伝えられますが、開発内容が決まるためベンダーの仕事に制限がかかるケースがあります。ベンダーの能力に合わないプロジェクトだと、能力を発揮しきれず、製品の質が落ちてしまうため注意しましょう。
③最良の結果につながらない可能性がある
RFPを作成することで、発注側の要望やニーズを明確に伝えられます。しかし、RFPに記載された要件が実現不可能であったり、開発会社が提案する内容が発注側の要望に合致しなかったりする可能性があります。
また、RFPによっては、開発会社が提案する内容が発注側の要望に合致しない場合、開発会社が提案できる範囲が制限される可能性があるため、最良の提案が得られない場合も。
したがって、RFPを導入する場合は、要件定義や提案内容の検討に時間をかけ、発注側と開発会社が共通の理解を持つことが重要です。
RFPを作成するポイント3つ
RFPを作成する際のポイントは以下のとおりです。
- システムの仕様はすべて記載する
- 仕様のあとだしはできるだけしない
- 自社の使いこなせるシステムの注文を出す
上記のポイントを把握しておくと、RFPをより適切に作成できるでしょう。
①システムの仕様はすべて記載する
RFPを作成する際は、システムの仕様をすべて記載し、必要な情報を正確にわかりやすく盛り込むことが大切です。RFPには、求める品質や納期、費用などできるだけ可視化できる項目をプロジェクトのゴールに据えましょう。
自社の状況・要件をベンダーに正確に伝えるために、現状と目標のシステム全体図、業務フロー、インターフェース一覧などの資料を添付することが推奨されます。フォーマットにこだわり過ぎず、色々な人の意見をもらい抜け漏れを防いだものを作成しましょう。
②仕様の後出しはできるだけしない
RFPを作成する際には、仕様のあとだしはしないようにしたほうがよいとされています。RFPには、必要な情報を正確にわかりやすく盛り込むことが大切です。かかる工数や手間をふまえてでも、RFPを作成する方が無駄な時間の削減につながるため、仕様は1度で伝えましょう。
③自社の使いこなせるシステムの注文を出す
システムの仕様を提出する際は、自社が現実的に利用できるものにしましょう。現状の業務フローに適していないシステムを導入すると、かえって現場の工数が増え、業務効率が落ちる可能性があります。
システム担当者だけでなく、できるだけ多くの人がRFPを確認し、自社に合っているか確認しましょう。システムのスペックを求めるより、使いやすいシステムを求める方が重要です。
まとめ:RFPを活用してプロジェクトを進めよう
ここまでRFPに関して詳しく解説しました。RFPを作成することで、ベンダーに対し求めるシステムを明確に示せます。RFPを作成するための工数がかかりますが、あとの開発や修正が効率的に進むことを考えると、プロジェクト全体を効率化できるでしょう。
RFPを作成する際はこの記事の内容を確認し、メリット・デメリットやポイントを把握したうえで、自社に最適なものを作成しましょう。