【徹底解説】QCDの優先順位の付け方は?メリット・デメリットや改善のコツを解説!

「QCDの優先順位はどのようにしてつけたら良いのだろう」「QCDのバランスはどうやって取れば良いのか分からない」といったお悩みはありませんか。
この記事では、品質、コスト、納期それぞれを優先した場合のメリット・デメリットについて、また、QCDを改善していくための5ステップについて詳しく解説します。
また、『QCD』について詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
システム開発を管理するためのQCDとは?3つのポイントに絞って解説
目次
最も優先すべきは品質

QCDにおいて最も優先すべき要素は何なのか。結論から申し上げますと「品質」です。理由は主に3つあります。
品質を保てなければ、システム開発を行う意味がなくなる
1つ目の理由は「品質を保てなければ、システム開発を行う意味がなくなるから」です。いくらコストを安く抑えたり、納期を短くすることができたとしても、全く役に立たないシステムが出来上がってしまっては意味がありません。
その分のお金と時間が無駄になってしまいます。品質を担保できるだけのお金と時間を確保し、開発に望めば、ユーザビリティや利便性に優れたシステムが出来上がります。すると後になって、その時、投資したお金や時間も返ってくるでしょう。
会社の信頼につながる
2つ目は「会社の信頼につながるから」です。コストと納期を優先したとしても、品質が低ければ意味がないという内容を上記でも記載致しました。
そして、品質が低ければ、会社の信頼も低下してしまう可能性があります。会社に対する信頼とはある意味、何よりも重要です。信頼がないというレッテルを一度貼られるだけで、今後いくら品質が良いシステムを作っていたとしても、再度それを受け入れてくれるまでには時間がかかります。
次の仕事につながる
3つ目は「次の仕事につながるから」です。一度良いシステムを作り、お客様に満足いただけたのならば、次の仕事も任せてくれる可能性は高くなります。
そのような状況になれば、自転車操業のように新しい案件を取ってきてはまた1から新規開拓するというループから抜け出すことができるでしょう。また、お客様が口コミの役割を果たしてくれれば、営業をかけなくても、案件が舞い込んでくる可能性があります。
コストはできるだけ抑えたい、納期を早めるために品質を落としたい、そのような気持ちになるのは仕方のないことです。ただし、上記の品質を最優先にすべき3つの理由を頭に入れてた上で、判断しましょう。
QCDそれぞれを優先するメリット・デメリット

では、QCDそれぞれを優先することで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
Q(品質)を優先するメリット・デメリット
品質を優先する最大のメリットは「他社と差別化を図れること」です。いくらコストを抑えたとしても、納期をいくら早めたとしても、それはユーザーにとってあまり有益ではありません。
ユーザーが求めているのは「システムを手段とした目的達成」です。つまり、システムの品質が担保された状態がユーザーにとっての最低限のラインなのです。ユーザーが何を求めているのかを正確に把握し、品質を担保しましょう。
品質を優先する際のデメリットは「会社の経営状況に影響すること」です。品質を追い求めてしまうがあまり収支のバランスを取れなくなってしまっては会社の存続すら危うくなってしまいます。品質を高めることは本質ではありますが、それ以外を蔑ろにしすぎると会社の状態を悪くしてしまう可能性があります。
最優先すべき事項が品質であったとしても、コストと納期との兼ね合い、つまりはバランスを取ることが何よりも大切です。品質ばかりに目を奪われないようにしましょう。
C(コスト)を優先するメリット・デメリット
コストを優先する最大のメリットは「経営に優しい戦略を立てれること」です。システム開発にはかなりのコストを要します。つまり、システム開発を行うにあたってはある程度のまとまった資本金が必要です。
まとまった資本金というのは、システム開発にかかるコストを差し引いたとしても、会社を回していけるぐらい金額を想定しています。事業を拡大するにあたって、投資をしていくことはとても大切なことです。
しかし、1回の投資で一発逆転するような夢物語はそうそうにありません。失敗するリスクが常に内在しているからです。もし失敗した時のために、コストを優先するという選択はある意味正しいと思います。
コストを優先する際のデメリットは「大きなチャレンジができないこと」です。コストをかければかけるほど、良いリソースが集まりやすくなり、会社の利益が増加する確率も上がります。
しかし、コストを優先してしまうと、その恩恵を授かれなくなってしまいます。常にコストを優先するのではなく、会社の経営状況によって優先順位を変えていきましょう。勝負できるときに勝負しないのは多大なる機会損失でしかないからです。
D(納期)を優先するメリット・デメリット
納期を優先する最大のメリットは「他のリソースの負荷を抑えられること」です。他のリソースとは主に人材やお金のことを指します。
納期を早めようとすれば、稼働時間を増やすか、さらに良い質の良い人材を投下する必要があります。当たり前ですが、それらを実現するにはお金がかかります。ただし、あらかじめ適切な納期を設定しておけばそのような事態は回避できます。
納期を優先する際のデメリットは「コストや人材を圧迫してしまうこと」です。これは適切な納期が設定されていない場合に起こりうるデメリットです。
適切でない納期とは、計画に対してあまりもにも短期である場合のことを指します。納期は担保されますが、人材を消耗してしまいますし、何より品質が担保されないという最悪のケースも考えられます。最低限の品質だけは死守することをおすすめします。
QCDを改善する方法5ステップ

QCDを担保するにあたって最も重要なのは「バランスを取ること」です。
最初の段階で確定した優先順位はそのままにしておくとしても、システム開発の状況によっては部分的にどこを優先するのか改善する必要のあるケースが出てきます。その際、どのようなステップでまたどのようなことを改善すれば良いのかをこれから解説していきます。
1.問題把握
まず1番最初のステップでは「問題把握」からスタートします。このステップでは現状を把握し、問題点やその原因を洗い出します。良い部分に関しては今後さらに良くできる部分はないか検討し、問題点に関しては対策を練る必要があります。問題点を対策した後に、良い部分を伸ばす対策を立てるという順序がおすすめです。
また、問題を把握する上で重要なのが、メンバーでその情報を共有し合うことです。なぜなら、システム開発は1人ですべてを賄うのではなく、チームで行って行くものだからです。
個人単位で問題点を把握できたとしても、チーム全体で対策しなければ、その効果は発揮されません。どの部分が問題でその原因はどこにあるのかを共有し、チームとして対策を練りましょう。
2.方向性の確認
2番目のステップは「方向性の確認」です。上記でも少し触れましたが、システム開発はチームで行うものです。ゆえに、意志の統率を取る必要があります。
情報共有を行なったとしても、個々人の解釈の仕方に差異が生じる可能性があるため、指針となる方向性を決めましょう。向いている方向さえ理解していれば、大きく道を外れることもありません。
方向性を決める際のポイントですが、2つあります。1つ目は方向性はシンプルにするということです。どのくらいシンプルなものが良いのかというと、メンバーが同じ理解で物事が進められる情報の粒度がおすすめです。
2つ目のポイントは、できるだけ全員が納得した方向性にするということです。全員に対して、合意を得る必要はありませんが、少なくとも半数以上の合意は必要です。納得して仕事をするのとしないのとでは、モチベーションに差が生じてしまうためことが理由です。
3.具体的な計画の策定
3番目のステップは「具体的な計画の策定」です。QCDの優先順位はもちろんのこと、2番目のステップで決定した方向性を軸により具体的な計画へと落とし込んでいきます。
計画を立てる目的はやるべきタスクに集中することです。考えることと実行することを同時に行なっていると作業効率が悪くなります。あらかじめ道筋を立て、後はその道を進むだけにしましょう。
計画を立てる際のポイントですが、3つあります。1つ目のポイントは具体的であることです。何を、いつ、どこで、誰が、どのようにしてタスクを実行するのか決めましょう。実行すべきタスクが曖昧であればあるほど、何をして良いか分からなくなってしまいます。具体性を持たせましょう。
2つ目のポイントは計測可能な目標を作るということです。計画はいわば地図のようなものです。そして、目標とは標識です。自分たちが今ゴールに対して、どのくらいの位置にいるのかが把握できます。また、予定より遅れているのか、早いのか判断できます。
3つ目のポイントは期限が明確であることです。人間は期限を決めないといつまでも時間があると思い、時間を無駄遣いしてしまいます。納期以外にも各タスクに期限を設けましょう。
4.計画の実行
4番目のステップは計画の実行です。3番目のステップで決定した計画を実行していくフェーズになります。計画を実行する上でよくあるのが想定外の事態です。そんな事態に遭遇した際に問題を対処できるかがポイントになってきます。
不足の事態に対処する際のポイントは2つあります。1つ目のポイントはいち早く他のメンバーに情報共有を行うことです。1番最悪なのは問題解決が遅れ、納期や品質に影響が出ることです。そのような状況になる前に情報共有を行いましょう。
2つ目のポイントは記録を残すことです。どのような問題が発生したのか、なぜ発生したのか、誰が対処にあたったのかなど記録をとっておきましょう。
なぜ記録を取る必要があるのか。それは同じような状況に陥った時、他のメンバーでも対処できるようにするためです。知識の共有化を図り、システム開発の効率化につなげていきましょう。
5.評価
5番目のステップは「評価」です。4番目のステップである計画の実行を評価していきます。計画を実行することによって、問題点は解決できたのか、解決できた場合、何が良かったのか、悪かったのか、またどうすればより改善できるのか判断します。
ここでの評価が正確であればあるほど、QCDを担保できます。作業を担当した当本人だけでなく、第三者にも評価してもらいましょう。
QCDを改善するときの注意点3つ

QCDを改善することはシステム開発を行う上で非常に重要なことです。ただし、注意すべきポイントが3つあります。これらのポイントを抑え、より効率的なシステム開発を実施しましょう。
改善は定期的に行う
QCDの改善は定期的に実施しましょう。なぜなら、QCDのバランスが取れなくなってしまう可能性があるからです。特に長期的なシステム開発の場合、ゴールに対して、真っ直ぐ進んでいるのか分からなくなってしまうことがよくあります。
そうなってしまうと、納期が遅れそうになったり、追加コストがかかったり、品質が低下することにより、QCDのバランスが崩れてしまいます。改善とまではいかなくとも、現状の把握は定期的に実施する必要があります。
QCDの優先順位を変える際は慎重に
システム開発を進めていくと、QCDの優先順位を変更せざるを得ない状況に陥ってしまうこともあります。優先順位を変更した際にどのようなリスクがあるのか考えてみましょう。
例えば、品質よりもコストを優先しなければならなくなった場合、どこまで品質を落とすのかを考えます。そして、品質を落とした場合、どのようなリスクがあるのか想定しておくと良いでしょう。
もしそのリスクが許容範囲を超えていれば、他の要素を削りバランスを取る必要があります。QCDとはバランスで成り立っているので、変更を加える場合は慎重に行いましょう。
納期が短い場合、改善を行う時間がない
納期が短い場合、上記で解説したQCDの改善5ステップのすべてを実施することは難しくなるでしょう。納期を優先するために、そのような時間をいちいち取る暇がなくなってしまうからです。
対策としては、問題把握と対策の実行に注力することが挙げられます。納期が短いということはそこまで大きな開発ではない場合が多いため、計画を立てずに手戻りが発生したとしてもそこまで時間がかかりません。
つまり、考える時間を増やすよりも手を動かした方が効率的なのです。ただし、問題把握とその対策を実行することは重要なことなので必ず実施しましょう。
まとめ

今回、QCDの優先順位について、また改善していくための5ステップと3つの注意点について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
QCDのバランスを取ることの重要性やその方法についてご理解頂けたかと思います。結論から申し上げますと、大切なのは「QCDのバランスを取ること」と「改善し続けること」です。
上記2点を適切に実施すれば大きく失敗する確率はかなり低下します。そして、今回の記事で得た知識を実際に使って体感してみましょう。アウトプットすることでさらなる知識の定着につながります。