執筆:Swooo編集部/監修:諸藤 哲耀(株式会社アイビス Swooo)
システム開発の見積りを取ったら想定より高かった。複数社に依頼したら金額の差が2倍以上あって判断できない。
そんなとき、多くの方が「もっと安い開発会社はないか」と探し始めます。
ただ、先に結論をお伝えすると、システム開発の費用を左右するのは発注先の単価よりも「何を・どう作るか」という発注設計です。
単価の安い会社に頼んでも、機能を盛り込みすぎれば総額は膨らみます。逆に単価が標準的な会社でも、スコープ(開発範囲)と作り方を整理すれば、費用は大きく抑えられます。
この記事では、システム開発の費用が何で決まるのかという構造から、費用を抑える7つの正攻法、価格だけで発注先を選んだ場合に起きやすい問題、見積り比較のチェックポイントまでを順に解説します。
読み終えたときに「安い会社を探す」から「総コストを下げる発注を設計する」へ視点が切り替わることをゴールにしています。
システム開発の費用は何で決まるのか
費用を抑える方法を考える前に、まず「システム開発の見積りはどういう構造でできているのか」を押さえます。
ここを理解すると、見積書のどこに交渉・削減の余地があるのかが見えてきます。
費用の大半は人件費(工数 × 単価)
システム開発の費用は、その大部分がエンジニアやディレクターの人件費です。サーバー代やライセンス費もかかりますが、見積り金額の中心は「人が何ヶ月働くか」で決まります。
計算式にすると次のとおりです。
開発費用 = 工数(人月) × 単価(人月単価)
人月とは「1人のエンジニアが1ヶ月働く作業量」の単位です。たとえば人月単価80万円の会社に、5人月かかるシステムを依頼すれば400万円になります。
この式が意味するのは、費用を下げるレバーは2つしかないということです。
- 単価を下げる:単価の低い会社・地域・契約形態を選ぶ
- 工数を減らす:作る量を減らす、少ない工数で作れる手法を選ぶ
「安い開発会社を探す」は前者のアプローチだけを追いかけている状態です。
しかし実務では、工数側のほうが削減幅がはるかに大きいケースが多くあります。単価の差が2〜3割程度であるのに対し、スコープの整理や開発手法の選択によって工数が半分以下になることは珍しくないためです。この記事の後半では、主に工数側のレバーを扱います。
規模別・手法別の費用相場
前提となる費用感を整理しておきます。まず開発規模別の目安です。
| 開発規模 | 費用相場 | イメージ |
|---|---|---|
| 小規模 | 100万〜300万円 | 単機能の業務ツール、社内向けの管理画面など |
| 中規模 | 300万〜800万円 | 予約システム、会員制サービスの初期版など |
| 大規模 | 800万〜2,000万円以上 | マッチングサービス、EC、基幹業務システムなど |
次に、開発手法別の初期開発費の目安です。同じ要件でも、どの手法で作るかによって費用のレンジが変わります。
| 開発手法 | 初期開発費の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ノーコード開発 | 50万〜500万円 | Bubbleなどのツール上で構築。工数を抑えやすく、改修も速い |
| ローコード開発 | 300万〜600万円 | 一部コーディングを併用。カスタマイズ性と速度のバランス型 |
| スクラッチ開発 | 500万〜数千万円 | ゼロから設計・実装。自由度が最も高く、費用と期間も最大 |
| オフショア開発 | 300万〜800万円 | 海外拠点で開発。単価は下がるが、要件伝達の設計が重要 |
オフショア開発の単価は国と役割で幅が大きく、プログラマーの人月単価でおよそ27万〜58万円(ミャンマー・バングラデシュ・フィリピン・インド・ベトナム・中国などの比較。オフショア開発白書2025年版に基づく国別単価データより)とされています。シニアエンジニアやブリッジSE、PMはこれより高くなるため、「海外だから一律に安い」わけではない点に注意が必要です。
システムの種類別のより詳しい相場は、次の記事で機能単位まで分解して解説しています。
>>アプリ開発の費用相場を種類別・機能別に解説した記事はこちら
見落としやすい費用:要件定義と保守運用
初期開発費だけを比較して発注先を決めると、あとから想定外の出費が発生しがちです。特に次の2つは、最初から総コストに含めて考えてください。
要件定義の費用は、一般に開発費全体の10〜15%程度を占めます。スクラッチ開発で要件定義を単独工程として発注する場合、50万〜200万円が目安です。
ここを省略・短縮して安くした見積りは、開発の途中で「認識が違った」という手戻りとして跳ね返ってくることが多く、結果的に高くつきます。
保守運用の費用は、リリース後に毎月発生し続けます。目安として、ノーコード開発なら月3万〜20万円、スクラッチ開発なら月10万〜100万円です。
仮に月20万円の差があれば、3年間で720万円の差になります。初期費用の安さだけで比較すると、この差を見落とします。
システム開発の費用を抑える7つの方法
ここからが本題です。費用の構造(工数 × 単価)を踏まえたうえで、総コストを下げる正攻法を7つ紹介します。
いずれも「品質を落とさずに費用を下げる」ことを狙ったもので、発注前の設計段階で実行できます。
① 機能を絞り込む(スコープ削減)
最も効果が大きく、かつ発注側だけで実行できるのがスコープ削減です。
システム開発の費用は作る機能の量にほぼ比例します。機能を3割減らせば、費用もおおむね3割前後下がります。
実務でよく使われるのは、機能を次の3つに仕分ける方法です。
- Must(ないと成立しない):サービスの中核。初期リリースに必ず入れる
- Should(あると良い):初期は手作業・既存ツールで代替し、後から追加する
- Could(いつか欲しい):今回は作らない。要望リストに残すだけにする
ポイントは、Shouldの多くが「システム化しなくても回る」ことです。
たとえば管理者向けの集計画面は、初期はスプレッドシートへのエクスポートで代替できます。通知機能は、まずメール送信だけにしてアプリ内通知を後回しにできます。
「全部入り」の要望リストのまま見積りを取ると、どの会社に頼んでも高くなります。見積り依頼の前に機能を仕分けること自体が、最大のコスト削減策です。
② MVPから始めて段階的に拡張する
スコープ削減を進め方に落とし込んだのが、MVP(Minimum Viable Product:検証に必要な最小限のプロダクト)から始めるアプローチです。
最初から完成形を目指して大きく作ると、リリースしてから「この機能は使われなかった」という無駄が必ず出ます。使われない機能の開発費は、丸ごと損失です。
MVPで小さくリリースし、実際の利用データを見てから追加開発を判断すれば、「使われない機能に払うお金」を構造的にゼロに近づけられます。
費用面のメリットは2つあります。
- 初期投資が小さくなる:一括で800万円ではなく、まず300万円で検証し、成果を見て追加投資を判断できる
- 撤退コストが小さくなる:検証の結果「この事業は成立しない」と分かった場合の損失を最小化できる
特に新規事業でのシステム開発は、要件そのものが仮説にすぎません。仮説段階で大きな金額を固定費として投じるより、検証と投資を交互に進めるほうが総コストは下がります。
Swoooでも新規事業の開発はMVP設計から入る形を標準としており、最短2週間でのMVP納品にも対応しています。
③ ノーコード・ローコード開発を検討する
「工数を減らす」レバーの代表が、開発手法の選択です。
BubbleやFlutterFlowなどのノーコードツールを使う開発は、スクラッチ開発と比べて実装工数を大幅に圧縮できます。相場で比較すると、同種のシステムでノーコードが50万〜500万円、スクラッチが500万〜数千万円と、レンジが1桁近く変わります。
種類別に見ると、目安は次のとおりです。
| システムの種類 | ノーコード | スクラッチ |
|---|---|---|
| 業務管理システム | 50万〜200万円 | 500万〜1,000万円 |
| 予約システム | 100万〜250万円 | 500万〜1,500万円 |
| マッチングサービス | 150万〜400万円 | 800万〜2,000万円 |
| EC・フリマ | 150万〜500万円 | 1,000万〜3,000万円 |
| AIアプリ(LLM連携) | 200万〜600万円 | 1,000万〜4,000万円 |
ただし、ノーコードは万能ではありません。向き不向きがあります。
- 向いているケース:Webサービス・業務システムの新規開発、仕様変更が多い検証フェーズ、スピード優先のMVP
- 向いていないケース:ミリ秒単位の応答性能が求められる処理、特殊なアルゴリズムの実装、ツールの制約を超える大規模トラフィック
また、ノーコードであってもデータベース設計や権限設計の巧拙で品質と将来の改修費が大きく変わります。ツールが工数を減らしてくれるのは事実ですが、設計力が不要になるわけではない点は押さえておいてください。
④ AI駆動開発に対応した会社を選ぶ
ここ数年で工数側に大きな変化を起こしているのが、AIコーディング支援を前提にした開発(AI駆動開発)です。
GitHubの公式リサーチでは、GitHub Copilotを利用した開発者はタスク完了が55%速かったという結果が報告されています。Claude Codeなどのエージェント型ツールの普及で、設計・実装・テストの広い範囲でAIが工数を圧縮するようになりました。
発注側の視点で重要なのは、同じスクラッチ開発でも、AI活用の成熟度によって開発会社ごとの実質的な生産性に差がつき始めていることです。
単価が同じ80万円でも、AIを組み込んだ開発プロセスを持つ会社と持たない会社では、同じ成果物に必要な工数が変わります。見積り時に「開発プロセスでAIツールをどう使っているか」を質問してみると、その会社の生産性への取り組みが見えます。
手法選択の目安としては、小規模な案件はノーコード、一定規模を超える案件はAI駆動のスクラッチ開発、という使い分けが合理的になりつつあります。Swoooではノーコード(Bubble)とAI駆動開発の両方を扱っており、案件の規模と要件に応じて手法から提案しています。
⑤ 契約形態を使い分ける(請負と準委任)
意外と見落とされるのが契約形態によるコストコントロールです。システム開発の契約は大きく2種類あります。
| 契約形態 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 請負契約 | 成果物の完成に対して対価を払う。金額は固定 | 要件が固まっている開発。予算を確定させたい場合 |
| 準委任契約 | 稼働時間(工数)に対して対価を払う。スコープは柔軟 | 要件が流動的な検証フェーズ。継続的な改善・保守 |
費用面で問題が起きやすいのは、要件が固まっていない段階で請負契約を結ぶパターンです。
請負は金額固定である代わりに、開発会社は不確実性の分を見積りに上乗せせざるを得ません。さらに途中で仕様変更が発生すれば、追加見積り(変更契約)が積み重なり、当初の「固定金額」はあってないものになります。
使い分けの目安は次のとおりです。
- 要件定義・仕様の探索フェーズ → 準委任で小さく回す
- 仕様が確定した開発フェーズ → 請負で金額を固定する
- リリース後の改善・保守 → 準委任(月額稼働)で必要な分だけ使う
「不確実な部分に固定価格をつけさせない」ことが、上乗せコストを払わないコツです。
⑥ 補助金・助成金を活用する
要件と発注先が固まったら、公的な補助金・助成金の適用可否も確認しておきましょう。代表的な制度を挙げます。
| 制度 | 補助率 | 補助額 | 受託開発との相性 |
|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金) | 1/2以内(条件により2/3以内) | 5万〜450万円 | 登録ITツールの導入が対象。オーダーメイド開発は実務上対象外になりやすい |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 中小1/2(賃上げ要件で2/3)、小規模2/3 | 750万〜8,000万円 | 外部事業者と連携した専用システムの設計・開発が対象で、受託開発と適合しやすい |
| 東京都 DX推進助成金 | コースにより1/2〜2/3 | 上限3,000万円 | 対象だが、公社アドバイザー派遣を事前に受けることが前提(後づけ申請は不可) |
注意点が2つあります。
1つ目は、旧IT導入補助金の後継である「デジタル化・AI導入補助金2026」は、事前登録されたITツールの導入が対象という制度設計のため、ゼロから作るオーダーメイド開発には使いにくいことです。オーダーメイド開発なら、専用システムの開発費が対象になる省力化投資補助金などのほうが適合します。
2つ目は、制度の内容・公募スケジュールは頻繁に変わることです。申請を検討する際は、必ず各制度の公式サイトで最新の公募要領を確認してください。
AI関連の開発で使える補助金は、次の記事で制度別に詳しく解説しています。
⑦ 発注前の準備で見積りの「不確実性上乗せ」をなくす
最後は地味ですが確実に効く方法です。開発会社の見積りには、要件が曖昧な部分に対するリスクバッファ(不確実性の上乗せ)が含まれます。発注側の準備が整っているほど、このバッファは小さくなります。
見積り依頼の前に、次の資料を用意しておくと効果的です。
- 目的とKPI:このシステムで何をどれだけ改善したいのか
- 機能一覧(優先度つき):①で仕分けたMust / Should / Couldのリスト
- 利用者とボリューム:誰が・何人くらい・どの頻度で使うのか
- 既存システム・連携先:連携が必要な外部サービスや社内システム
- 参考サービス:「このサービスのこの部分に近い」という具体例
完璧な要件定義書である必要はありません。A4で2〜3枚のラフな資料でも、口頭だけの依頼と比べて見積りの精度は大きく変わります。
加えて、社内の意思決定を速くすることも工数削減に直結します。開発中の「確認待ち」「決裁待ち」はそのままプロジェクト期間の延伸=ディレクション工数の増加になるためです。窓口担当者に一定の決定権限を持たせておくことをおすすめします。
「安い会社を探す」だけでは総コストは下がらない
ここまで費用を抑える正攻法を見てきました。この章では逆に、価格の安さだけを基準に発注先を選んだ場合に何が起きやすいかを、データと実例パターンから整理します。
安い会社が悪いという話ではありません。「安さの理由」を確認しないまま価格だけで決めることのリスクの話です。
データで見る:品質未達の最大要因は「ベンダーのスキル不足」
一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が毎年実施している「企業IT動向調査2025」(東証上場企業とそれに準じる企業981社が回答、経済産業省監修)には、発注側にとって示唆的なデータがあります。
- 2015〜2024年度の10年間、すべてのプロジェクト規模で「予定どおり完了」した割合が低下傾向にある
- 品質が予定どおりにならなかった要因の1位は「ベンダーのスキル不足」(2024年度で56.8%)、2位は「社員(発注側)のスキル不足」(50.3%)
この調査は価格帯別に失敗率を分析したものではないため、「安い会社ほど失敗する」と読むのは飛躍です。
ただ、確実に言えることが2つあります。1つは、システム開発の品質は発注先の実力に大きく依存するということ。もう1つは、要件定義の難易度が上がり続けるなかで、発注側にも一定のスキルが求められているということです。
だからこそ、価格という1つの数字だけで発注先を決めるのではなく、実力を確認する手順(後述のチェックポイント)を挟む価値があります。
実例で見る:レスキュー相談に多い2つのパターン
Swoooには、他社で開発したシステムの立て直し(開発レスキュー)の相談が寄せられます。実際にご相談いただく中で多いのは、次の2つのパターンです。
- データベース設計が破綻していて、パフォーマンスが出ない
画面や機能は一見できているものの、データ構造の設計に無理があり、データ量が増えると動作が極端に遅くなるケース。表面的には完成して見えるため、納品時点では気づきにくいのが特徴です - 外部APIとの連携が実装できていない
決済・地図・認証など外部サービスとのAPI連携が要件に含まれていたのに、連携部分だけが動かない・実装されないまま止まっているケース
どちらにも共通するのは、問題が発覚するのが「作り直しが必要な段階」になってからだという点です。
初期費用を抑えて発注したシステムが使い物にならず、調査と再設計・再実装で初期費用の何倍ものコストがかかるケースがあります。この場合、最初から実績と体制を確認できる会社に発注していたほうが、総コストは低く収まっていた可能性が高いといえます。
開発が途中で止まってしまった場合の立て直し方は、次の記事で詳しく解説しています。
>>システム開発のレスキュー(立て直し)についての解説はこちら
初期費用と総コスト(TCO)を分けて考える
この章の内容を一言でまとめると、比較すべきは初期費用ではなく総コスト(TCO:Total Cost of Ownership)だということです。システムの総コストは次の要素で構成されます。
- 初期開発費(見積書に載る金額)
- 保守運用費(月額 × 利用年数)
- 改修・機能追加費(事業の変化に応じて必ず発生する)
- 品質問題への対応費(手戻り・作り直し・機会損失)
見積書で見えるのは1つ目だけです。2〜4つ目は発注先の設計力・保守体制に左右され、しばしば初期費用より大きくなります。
「初期費用が2割安いが設計品質が不明な会社」と「初期費用は標準的だが設計と保守の体制が確認できる会社」であれば、総コストでは後者が安くつく可能性が十分にあります。この判断をするための材料集めが、次章のチェックポイントです。
見積りを比較するときのチェックポイント5つ
複数社の見積りを比較する場面を想定して、確認すべきポイントを5つに絞って紹介します。
① 各社に同じ条件を渡しているか
見積り金額が2倍違う場合、その差の大半は単価ではなく「各社が想定しているスコープの違い」から生まれます。A社は要件を最小限に解釈し、B社は将来の拡張まで織り込んでいる、という状態では金額を比較しても意味がありません。
⑦で紹介した機能一覧(優先度つき)を全社に同じ形で渡し、同じ土俵の見積りを取ることが比較の大前提です。
② 「一式」の内訳を確認する
「システム開発一式 ◯◯万円」という見積りは、何が含まれ、何が含まれないのかが分かりません。
最低でも、要件定義/設計/実装/テスト/リリース作業がそれぞれ含まれるか、デザインは含まれるか、といった粒度で内訳を出してもらいましょう。内訳を出せるかどうか自体が、その会社の見積り精度を測る材料になります。
③ 金額が安い場合、その理由を説明してもらう
他社より明確に安い見積りには、必ず理由があります。理由が説明できるなら、それは正当な安さです。
- ノーコード・AI活用など、工数を圧縮する開発手法を使っている
- オフショア・ニアショアで単価を下げている
- 類似案件のテンプレート・パッケージを流用している
- スコープを他社より狭く解釈している(=比較条件がずれている)
確認したいのは「安いかどうか」ではなく「なぜその金額で作れるのか」です。理由が手法や体制で説明されるなら合理的な選択肢ですし、スコープの解釈違いなら条件を揃えて再見積りすればよいだけです。説明が曖昧なまま金額だけが安い場合に、前章のようなリスクを検討する必要が出てきます。
④ 保守運用費と改修単価まで比較する
初期費用と合わせて、リリース後の費用も見積り段階で確認します。
- 月額保守費と、その範囲(監視・バックアップ・問い合わせ対応・軽微な修正はどこまで含むか)
- 機能追加・改修を依頼する場合の単価と進め方
- 解約時・他社移管時にソースコードやアカウントの引き渡しを受けられるか
特に3つ目は重要です。引き渡し条件が曖昧だと、リリース後に発注先を変えたくても変えられない状態(ロックイン)になり、長期の価格交渉力を失います。
⑤ 類似実績と「誰が作るか」を確認する
JUASの調査が示すとおり、品質は発注先の実力に依存します。実力の確認方法として有効なのは次の2つです。
- 類似システムの開発実績:作りたいものと近い種類・規模の実績があるか。可能なら実際に動いているサービスを見せてもらう
- 実際の開発体制:営業担当ではなく、誰が設計し誰が実装するのか。再委託の有無と、再委託する場合の品質管理方法
あわせて、外部の認定・認証も参考になります。たとえばノーコードのBubbleには公式のパートナー制度や開発者認定試験があり、ツールベンダー側が実力を評価する仕組みが整っています。自社で判断が難しい技術領域ほど、こうした第三者の評価軸を活用してください。
システム開発の費用に関するよくある質問
Q. システム開発の費用相場はどのくらいですか?
規模別の目安で、小規模なら100万〜300万円、中規模なら300万〜800万円、大規模なら800万〜2,000万円以上です。
ただし同じ要件でも開発手法によって大きく変わります。ノーコード開発なら50万〜500万円、スクラッチ開発なら500万〜数千万円がレンジの目安です。
Q. 会社によって見積りが2倍以上違うのはなぜですか?
主な原因は、単価の差よりも「各社が想定しているスコープ・作り方の差」です。要件の解釈、開発手法(ノーコードかスクラッチか)、リスクバッファの積み方が会社ごとに違うため、同じ依頼文でも金額は大きくばらつきます。
優先度をつけた機能一覧を全社に同じ形で渡すと、ばらつきの多くは解消します。そのうえで残る差については、安い・高いの理由を各社に説明してもらいましょう。
Q. システム開発に補助金は使えますか?
条件が合えば使えます。旧IT導入補助金の後継「デジタル化・AI導入補助金2026」は補助率1/2以内(条件により2/3以内)・補助額5万〜450万円ですが、登録済みITツールの導入が対象のため、オーダーメイド開発には使いにくい制度です。オーダーメイドの専用システムなら、中小企業省力化投資補助金(一般型)などのほうが適合しやすくなります。
いずれも審査制で採択が保証されるものではなく、公募内容も頻繁に変わるため、必ず公式サイトで最新の公募要領を確認してください。
Q. ノーコード開発は品質が心配です。大丈夫でしょうか?
ツール自体の品質と、開発する側の品質管理は分けて考える必要があります。
Bubbleなど主要なノーコードツールは商用サービスの稼働実績が豊富にあり、ツールが原因で品質が担保できないケースは限定的です。一方で、データベース設計・権限設計・テストの品質は開発者の実力に依存します。これはスクラッチ開発と同じです。
発注時は「ノーコードだから」ではなく、開発規約やリリース前チェックの仕組みを持っているか、類似実績があるかで判断してください。
Q. 保守費用はどのくらいかかりますか?
目安として、ノーコード開発のシステムで月3万〜20万円、スクラッチ開発のシステムで月10万〜100万円です。範囲(監視、バックアップ、問い合わせ対応、軽微な修正)によって変動するため、見積り段階で「月額に何が含まれるか」を必ず確認してください。
3〜5年の利用を想定すると保守費の総額は初期費用に匹敵することが多く、初期費用だけでの比較は総コストを見誤る原因になります。
まとめ:安い会社探しより、総コストを下げる発注設計を
システム開発の費用は「工数 × 単価」で決まり、削減幅が大きいのは工数側です。この記事で紹介した7つの方法を振り返ります。
- 機能を絞り込む(Must / Should / Couldの仕分け)
- MVPから始めて段階的に拡張する
- ノーコード・ローコード開発を検討する
- AI駆動開発に対応した会社を選ぶ
- 契約形態(請負と準委任)を使い分ける
- 補助金・助成金の適用可否を確認する
- 発注前の準備で見積りの不確実性上乗せをなくす
そして比較の基準は、見積書に載る初期費用ではなく、保守・改修・品質対応まで含めた総コストです。安い見積りに出会ったら「なぜその金額で作れるのか」を確認する。この一手間が、数百万円単位の作り直しを防ぎます。
Swooo(運営:東証グロース上場の株式会社アイビス)は、ノーコード(Bubble)とAI駆動開発の両方に対応し、要件整理の段階から「どの手法で・どこまで作るか」の設計を一緒に行っています。
「この要件なら費用はどのくらいか」「どの作り方が合っているか」といった段階のご相談も受け付けていますので、見積り比較の材料集めとしてもご活用ください。