執筆:Swooo編集部/監修:諸藤 哲耀(株式会社アイビス Swooo)|編集方針・監修体制
「LLM開発会社」を探して検索する人の目的は、実のところ2通りに分かれます。ひとつはLLMを使ったシステムの開発を任せられる会社を探しているケース。もうひとつはGPT・Claude・Geminiのどのモデルで作るべきかを知りたいケースです。前者は発注先選びの話、後者は技術選定の話で、必要な情報がまったく違います。
この記事は前者、つまりLLMを使った開発をどこに、どういう条件で依頼するかを主題にします。ただ、後者の疑問も発注条件に直結するため(特定モデルに固定した設計は短期間で古くなります)、モデル選定の扱い方についても本記事内で整理します。
先に要点を3つ挙げます。
- 「LLM開発」は4類型に分かれ、依頼先の性格も費用も類型ごとに別物。自社の案件がどれに当たるかを決めるのが最初の作業
- 費用の目安は、小規模なAPI連携で50万〜300万円、RAGを含む業務組み込みで100万〜1,000万円、これらを組み合わせた事業プロダクトやAIエージェントで500万〜3,000万円(市場の一般的なレンジ)
- 選定では実績と費用に加えて、データの扱い・事業継続性・モデル非依存の設計・内製移管の可否を確認しておくと、検証止まりで終わる確率が下がる
まず全体像です。自社の案件がどの行に当たるかを確かめながら読み進めてください。
| 類型 | 作るもの | 費用の目安 | 主な依頼先 |
|---|---|---|---|
| ①LLM API連携 | 既存モデルをAPIで業務フローに組み込む小規模な仕組み | 50万〜300万円 | 受託開発会社、業務システム系ベンダー |
| ②RAG構築 | 自社データを検索基盤化し、LLMが社内情報を参照して回答する仕組み | 100万〜1,000万円 | AI受託開発会社、クラウド系SI |
| ③ファインチューニング | 既存モデルに追加学習させ、特定業務・文体・分類に寄せる | 案件差が大きく、データ整備費が主。②と同等以上 | AI専業ベンダー、研究開発型企業 |
| ④基盤モデル自体の開発 | LLMをゼロベースで学習・構築する | 大手研究機関・専業ベンダーの領域。数億円規模になることもある | 研究開発型企業、大手メーカー・SI |
②までが、事業会社の案件の大半を占める範囲です。③④は自社で抱える必然性があるかを先に検討する領域になります。
なお、①〜③を組み合わせて顧客向けのAIサービスや複数工程を自律処理するAIエージェントを作る案件は、単体の類型より規模が一段上がり、500万〜3,000万円のレンジになります。本記事ではこれを「事業プロダクト・AIエージェント」として扱います。
LLM開発会社に依頼できる4つの類型

「LLM開発を依頼したい」という相談は、蓋を開けると内容が大きく異なります。同じ言葉で相談しても、返ってくる見積もりが50万円規模と数千万円規模に分かれるのは、この類型がずれているからです。
類型①LLM API連携:既存モデルを業務に組み込む
OpenAI・Anthropic・Googleなどが提供するモデルをAPI経由で呼び出し、既存の業務フローに組み込む開発です。問い合わせメールの自動分類と下書き生成、議事録の要約と要点抽出、申請書類の内容チェック、既存の社内システムへのAI機能追加などが該当します。
モデルそのものは提供元のものを使うため、開発の中身はプロンプト設計・入出力の整形・既存システムとの接続・例外処理です。技術的な難所は少ない一方、「業務のどこを任せて、どこを人が見るか」の線引きで成果が決まります。着手のハードルが低く、社内で最初の成功例を作りやすい類型です。
類型②RAG構築:自社データをLLMに参照させる
RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、社内文書やデータベースを検索できる形に整え、LLMがその内容を根拠に回答する構成です。社内規程・技術文書・製品マニュアル・過去の提案書といった資産を横断的に引ける状態にするため、大手企業の生成AI案件では相談が特に多い類型のひとつです。
API連携との違いは、開発の重心がモデル側ではなくデータ側にある点です。文書の形式が揃っていない、権限によって見せてよい範囲が違う、更新頻度が部署ごとに異なる、といった条件が精度と工数を左右します。見積もりが割れやすいのもこの点です。対象文書の量と状態を提示しないまま相見積もりを取ると、比較できない金額が並びます。
見積もり依頼の段階で、対象文書の種類・件数・保管場所(ファイルサーバー、SharePoint、基幹システムなど)・アクセス権限の要否を一枚にまとめておくと、各社の前提を揃えられます。
類型③ファインチューニング:既存モデルに追加学習させる
自社のデータで既存モデルを追加学習させ、特定の分類タスク・文体・専門用語に合わせる手法です。同じ形式の判定を大量に繰り返す業務や、社外に出せないデータで小型モデルを動かしたい場合に選択肢になります。
ただし実務では、まずAPI連携とRAGで要件を満たせないかを検証してから判断する順番が定着してきました。学習用データの整備とラベル付けに相応の工数がかかり、モデル側が世代交代すると再学習が必要になるためです。ファインチューニングを前提に発注する前に、「同じ精度をプロンプトと検索設計で出せないか」を検証する工程を挟むと、投資の空振りを避けやすくなります。
類型④基盤モデル自体の開発:どの会社の領域か
LLMそのものをゼロから学習・構築する領域です。大規模な計算資源と研究人材を要するため、大手研究機関・専業ベンダー・大手メーカーの領域で、投資規模は数億円規模になることもあります。日本国内では、NECの「cotomi」、NTTが開発しNTTデータなどグループ各社が商用提供する「tsuzumi」のように、国産基盤モデルを持つ大手が存在します。
一般の事業会社が「LLM開発会社」を探す場面で、この類型が要件になることはまずありません。ただし、機密性の高いデータを外部APIに出せない、業界特有の言語処理を自社の資産にしたい、といった要件がある場合は、国産基盤モデルを持つ企業や研究開発型企業が検討先になります。
4類型のうち、外注に向くのはどこか
外注か内製かの判断は、類型と社内リソースの掛け算で決まります。
| 類型 | 外注の向き不向き | 判断の目安 |
|---|---|---|
| ①API連携 | 内製でも着手しやすい。小さく外注して型を持ち帰る形が有効 | 社内に開発できる人がいれば内製から。いなければ最初の1本を外注して手順を学ぶ |
| ②RAG構築 | 外注の適性が高い。データ整備の設計経験が効く | 対象データが複数部署にまたがる、権限設計が必要なら外部の設計力を使う |
| ③ファインチューニング | 専門性が高く外注向き。ただし発注前の検証が前提 | データ整備を自社で担える体制があるかを先に確認 |
| ④基盤モデル開発 | 事業会社が単独で担う領域ではない | 自社で持つ必然性(機密要件・事業戦略)があるかを経営判断として整理 |
「どのLLMを使うべきか」は会社選定とは別の問題
「LLM開発企業」という括りで、OpenAI・Anthropic・Googleの名前が挙がることがあります。ここは分けて考える必要があります。3社はモデルの提供元であり、日本企業の業務システムを受託開発する立場ではありません。発注先として比較する相手ではなく、開発会社が使う部品の供給元です。
そのうえで、モデル選定は発注条件として無視できません。押さえておきたい点は3つあります。
- モデルは短い周期で入れ替わる。契約時点の最良のモデルに実装を固定すると、次の世代が出た時点で見直し工数が発生する
- 用途によって適するモデルが違う。長文の読解、コード生成、画像を含む処理、低コストな大量処理で、選ぶモデルは変わる
- 切り替えられる構造かどうかが差になる。モデル呼び出し部分を分離し、出力品質を同じ基準で評価できる仕組みがあれば、乗り換えは設定変更に近い作業で済む
したがって、開発会社に対して確認すべきは「どのモデルを使いますか」ではなく、「モデルを入れ替える必要が出たとき、どこを直すことになりますか」です。この質問への回答は、設計思想と運用経験がそのまま出ます。
LLM開発会社の選定基準:7つの観点
選定基準として一般に挙がるのは、実績・セキュリティ・費用の透明性・サポート体制・コミュニケーションといった項目です。いずれも必要な条件ですが、どの会社も「対応できます」と答えられる粒度でもあり、それだけでは順位がつきません。大手・上場企業がベンダーを決める場面で実際に判断が分かれるのは、次の7点です。
1. 検証で終わらず、本番運用まで届いた実績があるか
生成AI案件でよくあるつまずきの筆頭は、検証(PoC)は成功したのに社内展開に至らないことです。原因は精度ではなく、既存システムとの接続、権限管理、運用担当の不在といった実装後半の論点にあります。
確認したいのは事例の件数ではなく、「その仕組みは今も動いているか」「何人が日常的に使っているか」「導入後に何回改善したか」です。運用フェーズの話を具体的に語れる会社は、実装後半の設計を織り込んで見積もりを出してきます。
2. 自社データの扱いと情報管理の体制
大手企業の場合、ここが最初の関門になります。確認項目は概ね決まっています。
- 入力したデータがモデルの学習に使われない契約・設定になっているか
- データの保管先リージョンと、外部への送信経路が明示できるか
- 開発時に本番データを使うのか、マスキングしたデータを使うのか
- 再委託の有無と、再委託先の管理方法
- アクセスログと権限管理を、社内の情報管理規程に合わせて設計できるか
これらに書面で明確に答えられる会社は、大手企業との取引経験が積み上がっている傾向があります。会社の規模よりも、その経験量のほうが差になります。
3. 会社としての事業継続性と与信
LLMを組み込んだ仕組みは、作った後の改善が前提です。モデルの更新、業務側の変更、精度のチューニングと、数年単位で付き合う相手になります。そのため、取引先審査を通る財務基盤があるか、数年後も同じ体制で運用を見られるかは、技術力と並ぶ選定要素です。
上場企業であれば有価証券報告書や決算短信で財務状況を確認できます。非上場でも、設立年数、従業員数、主要取引先、監査法人の有無などから継続性は推し量れます。生成AI領域は新規参入が多く、会社の年数が浅いケースも珍しくないため、この観点は明示的に確認しておく価値があります。
4. モデル非依存の設計ができるか
前章の通り、モデルの入れ替えを織り込めているかは中長期の保守費に直結します。特定のモデルやフレームワークに密結合した実装は、乗り換えのたびに再開発に近い工数が発生します。
5. 費用構造が分解されているか
LLMを使う仕組みは、初期開発費のほかにAPI利用料・インフラ費・保守費が継続して発生します。見積もりの段階でこれらが分けて示されているか、利用量が想定の何倍になったときにどう変わるかが説明されているかを見ます。総額だけの提示は、後から差分が出やすい形です。
6. 内製移管を前提にできるか
生成AIを組み込んだ仕組みは、公開後も業務側の要望に合わせて改善が続きます。軽微な調整を社内で回せる状態にしておくと、改善のスピードと年間コストの両方を自社で管理できます。ドキュメントの引き渡し、社内メンバーへの説明、運用手順の整備までを契約範囲に含められるかを確認しておくと、2年目以降の体制を自社で選べます。
7. 意思決定と改善のスピード
生成AI領域は仕様が動きます。要件を固めきってから作る進め方だと、完成時点で前提が変わっていることがあります。小さく作って見せる・週単位で方向を修正する進め方に対応できる体制かどうかは、実際の打ち合わせでの応答速度と、初回提案までの日数に表れます。
以下は、相見積もりの場で使えるようにまとめた質問リストです。
| 観点 | 依頼先に聞く質問 | 回答の見方 |
|---|---|---|
| 本番運用実績 | その仕組みは現在も稼働していますか。利用者は何人で、導入後に何回改善しましたか | 運用と改善の話が具体的に出るか |
| 情報管理 | 入力データの学習利用、保管リージョン、再委託の有無を書面で示せますか | 口頭でなく書面・規程で答えられるか |
| 事業継続性 | 3年後も同じ体制で保守を担える見込みと、その根拠は何ですか | 財務情報や組織体制で説明できるか |
| モデル非依存 | 使用モデルを入れ替える場合、どの範囲を修正しますか | 呼び出し層の分離と評価手順があるか |
| 費用構造 | 初期開発費・API利用料・インフラ費・保守費の内訳と、利用量が3倍になった場合の試算をください | 内訳と変動条件が分かれているか |
| 内製移管 | 設計書・運用手順の引き渡しと社内向け説明は契約範囲に含みますか | 移管を前提に見積もれるか |
| 進め方 | 最初に動くものを見られるのは何週目ですか | 期間の根拠を説明できるか |
LLM開発会社の比較(2026年)
依頼先の候補を、性格の異なる3つのグループに整理しました。掲載順は推奨順ではありません。当社(Swooo/株式会社アイビス)を含むため、透明性の観点から当社を先頭に置いて「※当社」と明記しています。各社の記載は公表情報の範囲に留めているため、詳細な実績・体制は各社の公式情報でご確認ください。
| 会社名 | グループ | 主な想定領域 |
|---|---|---|
| Swooo(株式会社アイビス)※当社 | 業務組み込み・事業プロダクト | LLM API連携、RAG構築、AIを組み込んだ事業プロダクト開発 |
| ヘッドウォータース | 業務組み込み・事業プロダクト | Azure環境でのエンタープライズ向け生成AI開発 |
| PKSHA Technology | AI専業・大手 | AIソリューション全般 |
| ABEJA | AI専業・大手 | AI導入・運用支援 |
| Preferred Networks | AI専業・大手 | 研究開発型のAI技術 |
| ブレインパッド | AI専業・大手 | データ活用・AI導入支援 |
| ELYZA | AI専業・大手 | 日本語LLMの研究開発 |
| NEC | 国産基盤モデル保有 | 基盤モデル「cotomi」 |
| NTTグループ | 国産基盤モデル保有 | 基盤モデル「tsuzumi」(NTT開発・NTTデータ等が商用提供) |
業務組み込み・事業プロダクトを一緒に作るパートナー
Swooo(株式会社アイビス)※当社
東証グロース上場の株式会社アイビス(証券コード9343)が運営するサービスです。同社は世界累計5億ダウンロードを超えるお絵かきアプリ「ibisPaint」を運営しています。Swoooとしては累計50件以上の開発支援を手がけ、LLM API連携、RAG構築、AIを組み込んだ事業プロダクトの開発と、新規事業の立ち上げ伴走を担当します。限定した範囲であれば最短2週間でMVP(実用最小限の製品)を納品する進め方を採っており、要件が固まりきらない段階から動くものを見ながら詰めていく案件に向きます。上場企業として財務情報を開示しているため、取引先審査や事業継続性の確認が必要な案件でも前提を揃えやすい体制です。
ヘッドウォータース
東証上場のAI・DX企業です。Microsoft Azure環境でのエンタープライズ向け生成AI開発を手がけ、「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー 2024(AIイノベーション部門)」を受賞しています。すでにAzureを標準基盤としている企業が、その環境内で生成AIを組み込む場合の候補になります。
AI専業・大手のAI企業
大規模なAI導入や、モデル開発に近い領域を含む案件では、AI専業の大手企業も候補になります。PKSHA Technology、ABEJA、Preferred Networks、ブレインパッドが代表的な名前です。ELYZAは日本語LLMの研究開発を手がける企業で、東京大学松尾研究室発として知られています。
このグループは案件規模も得意領域も各社で異なるため、社名で選ばず、自社の類型(前章の①〜④)に合った実績があるかを個別に確認するのが実務的です。上場状況や財務情報は各社の開示資料で確認できます。
国産基盤モデルを持つ大手
NECは基盤モデル「cotomi」を持ち、NTTグループはNTTが開発した「tsuzumi」をNTTデータなどが商用提供しています。外部APIにデータを出せない、国内に閉じた環境で運用したい、といった制約が強い案件では、国産基盤モデルを自社で持つ大手が検討先になります。一方で、案件の規模と体制の前提が大きくなるため、小規模なAPI連携から始めたい場合は、前の2グループのほうが適しています。
比較する際の実務的な進め方
候補は3社程度に絞り、同じ資料を渡して同じスコープで見積もりを取るのが基本です。対象データの状態、連携先システム、想定利用者数、精度の合格ラインを1枚に揃えて渡すと、金額差の理由が方式の違いとして読めるようになります。AI受託開発会社の比較軸をより広く見たい場合は、AI受託開発会社の比較記事も参考にしてください。
LLM開発の費用相場

市場の一般的なレンジは、前述の類型に沿って整理できます。
| 開発の種類 | 費用の目安 | 内容の例 |
|---|---|---|
| ①LLM API活用(小規模) | 50万〜300万円 | 文書要約、メール分類と下書き生成、既存システムへのAI機能追加 |
| ②RAG・業務組み込み | 100万〜1,000万円 | 社内文書横断検索、問い合わせ対応支援、基幹データとの連携 |
| ③ファインチューニング | 案件差が大きい。データ整備の工数が主で、②と同等以上を見込む | 定型判定の大量処理、社外に出せないデータでの小型モデル運用 |
| ①〜③の組み合わせ(事業プロダクト・AIエージェント) | 500万〜3,000万円 | 顧客向けAIサービス、複数工程を自律処理するエージェント |
| ④独自基盤モデルのゼロベース開発 | 大手研究機関・専業ベンダーの領域。数億円規模になることもある | 自社専用のLLMを学習から構築 |
このほかに、要件定義・調査フェーズが開発費の10〜15%程度、保守運用が月10万〜100万円程度で見積もられるのが一般的です。AI開発費用の内訳をより細かく見る場合は、AI開発の費用相場にまとめています。
費用を動かす4つの要因
同じ「RAG構築」でも金額が数倍動きます。差になるのは主に次の4点です。
- 対象データの状態:形式が揃った電子文書か、紙のスキャンや部署ごとに書式の違う資料か。前処理の工数がここで決まる
- 精度の合格ライン:業務の補助として使うのか、外部の顧客対応に出すのか。求める精度が上がるほど検証と調整の工程が増える
- 連携先システムの数:基幹システム、SharePoint、CRMなど接続先が増えるほど、認証・権限・障害時の設計が積み上がる
- 運用体制の範囲:納品して終わりにするか、改善サイクルまで含めるか。含める場合は保守費の設計が必要
開発費以外に発生する費用
見落とされやすいのが継続費用です。LLMのAPI利用料は利用量に比例するため、社内展開が進むほど増えます。RAGを含む構成ではベクトルデータベースや検索基盤のインフラ費もかかります。加えて、モデルの世代交代や業務側の変更に対応する保守費が必要です。初期開発費だけで比較すると、2年目以降の総額が想定と離れます。
見積もりを受け取ったら、想定利用量の3倍になったときの月額試算を併せて出してもらうと、展開後のコストが読めます。
依頼から本番運用までの流れ
LLM開発の進め方は、従来のシステム開発と少し違います。精度が実際に出るかは作ってみるまで確定しないため、小さく作って確かめる工程が前段に入るのが特徴です。
| 段階 | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 課題の整理 | 対象業務、現状の工数、成功の判定基準を言語化する | 1〜2週間 |
| 2. 類型の仮決め | ①API連携/②RAG/③ファインチューニングのどれで解けそうかを当たりをつける | 課題整理と並行 |
| 3. 依頼と見積もり | 同一条件の資料で3社程度から見積もりを取る | 2〜4週間 |
| 4. 小さく作って検証 | 限定した範囲で動くものを作り、精度と業務適合を確認する | 2〜6週間 |
| 5. 本番実装 | 権限管理、既存システム連携、運用手順の整備 | 1〜4ヶ月 |
| 6. 運用と改善 | 利用状況を見ながら精度と対象範囲を調整する | 継続 |
| 7. 内製移管の検討 | 改善を社内で回せる範囲を広げる | 運用開始後 |
段階4を飛ばして本番実装から入ると、精度が業務要件に届かなかった場合の手戻りが大きくなります。逆に、段階4を厚くしすぎて検証を繰り返すだけで年度が終わるケースもあります。検証の合格基準を段階1で決めておくことが、この2つの失敗を同時に防ぐ方法です。
つまずきやすい3点
- 成功の判定基準が決まっていない:「精度が高い」では合否が出ません。対象業務の何%を自動処理できれば合格か、誤りが出たとき誰がどう気づくかを先に決める
- データ整備の担当が決まっていない:対象文書の棚卸しと権限確認は、外部の会社だけでは進みません。社内側の窓口が必要
- 利用者への説明が抜ける:使い方と限界を伝えないまま展開すると、初回の誤答で利用が止まります。展開時の説明を工程に入れる
Swoooの支援内容(※当社)
当社では、LLM API連携やRAG構築といった業務組み込みから、AIを組み込んだ事業プロダクトの開発、その後の内製移管までを支援しています。要件が固まりきらない段階からの相談も多く、限定した範囲で動くものを先に見せながら方向を決める進め方を採ります。運営会社と上場企業としての開示情報は前述の通りです。
関連する領域は個別の記事にまとめています。複数工程を自律処理させる構成はAIエージェント開発、開発そのものをAIで進める方式はClaude Codeを使った開発をご覧ください。
類型の見極めや費用の当たりを付ける段階からご相談いただけます。お問い合わせから、対象業務とお困りの点をお知らせください。
よくある質問
LLM開発とAI開発は何が違いますか
AI開発はより広い言葉で、画像認識や需要予測などの機械学習全般を含みます。LLM開発はそのうち、大規模言語モデルを使う領域を指します。近年の生成AI案件はほぼLLMを前提としているため、実務上は重なる部分が大きく、依頼先も共通することが多いです。
自社でどのLLMを使うか、先に決めておく必要はありますか
必要ありません。用途によって適するモデルが違い、モデル自体も短い周期で更新されるためです。決めておくべきは、モデル名ではなく外部APIに出せるデータの範囲と求める精度の水準です。この2点が決まっていれば、選択肢は自然に絞られます。
PoC(検証)だけを依頼できますか
多くの会社で可能です。ただし、検証だけを切り出す場合は、合格したら次に何をするかを先に合意しておくことをおすすめします。検証の成果物が本番実装に使えない形で終わると、実質的にやり直しになります。
費用を抑えたい場合、どこから削れますか
削る対象は開発の質ではなく範囲です。対象業務を1つに絞る、連携先システムを1つに限る、対象文書を主要なものだけにする、といった絞り込みが効きます。全社展開を前提にした設計を最初から求めると、費用と期間の両方が膨らみます。
社内にエンジニアがいなくても依頼できますか
依頼はできますが、業務側の窓口となる担当者は必要です。対象データの所在確認、権限の判断、精度の合否判断は社内でしか決められません。技術的な部分は外部が担えても、この役割は残ります。
開発期間はどれくらいかかりますか
小規模なAPI連携なら数週間から2ヶ月程度、RAGを含む業務組み込みで3〜6ヶ月程度が目安です。案件によっては、限定範囲で動くものを2週間程度で作り、そこから範囲を広げる進め方も取れます。
ファインチューニングは必要ですか
多くの案件では不要です。まずプロンプト設計とRAGで目標精度に届くかを確かめ、それでも不足する場合に検討する順番が一般的になっています。学習データの整備工数と、モデル更新時の再学習を考慮に入れて判断してください。
契約後にモデルを変更したい場合、追加費用はかかりますか
設計に依存します。モデル呼び出しを分離し、出力を同じ基準で評価できる仕組みがあれば、切り替えは設定変更に近い作業で収まります。特定モデル向けに作り込んだ実装では、相応の改修費が発生します。契約前に、この点の設計方針を確認しておくと後の費用が読めます。
まとめ
LLM開発会社を選ぶときの出発点は、会社の一覧ではなく類型の特定です。API連携か、RAGか、ファインチューニングか、基盤モデルか。ここが決まると、依頼先の性格も費用レンジも自動的に絞られます。
そのうえで、実績と費用に加えて、データの扱い、事業継続性、モデル非依存の設計、内製移管の可否を確認しておくと、検証止まりや2年目以降の想定外を避けやすくなります。候補は3社程度、同一条件の資料で見積もりを取り、金額差の理由を方式の違いとして読み解いてください。
関連ガイド:AIエージェント開発会社の選び方と比較/RAG開発会社の選び方
じっくり比較したい方へ:会社紹介資料(体制・実績・進め方)を見る