執筆:Swooo編集部/監修:北浦 聡大(Bubble公式認定デベロッパー・国内初合格/Swooo共同創業者・元CTO)
Make(メイク・旧Integromat)は、フローチャートを描くような操作感で業務の自動化を組み立てられるワークフロー自動化ツールです。Zapierより複雑な分岐や繰り返しをビジュアルに表現でき、料金水準も試しやすいことから、日本でも利用者が増えています。
一方で、Makeの日本語情報には2025年8月の課金変更前の記述が多く残っています。代表的なのが課金単位です。Makeは2025年8月27日に課金単位を「オペレーション」から「クレジット」に変更しましたが、この変更を正確に解説した日本語記事はほとんどありません。連携アプリ数も「1,800以上」という古い数字のままの記事が多く残っています(公式ページの現在の表記は3,000以上)。
本記事では、Makeの基本概念・Zapier/n8nとの課金思想の違い・2026年7月時点の料金・クレジット課金への変更の経緯・AI機能(Make AI Agents)・日本語UI非対応の実務対処・向くケースと向かないケースを解説します。料金・仕様はすべてMake公式サイトの記載を確認したうえで記載しています(確認日:2026年7月)。
本記事は自動化ツール解説シリーズの第3弾です。Zapierの解説記事・n8nの解説記事とあわせて読むと、3ツールの構造の違いから自社に合う選択ができます。
Make(メイク・旧Integromat)とは
Makeは、複数のWebサービスやアプリをつなぎ、定型業務の流れを自動化するワークフロー自動化ツール(iPaaS)です。「フォームに回答が入ったら内容をスプレッドシートに記録し、Slackに通知する」「ECサイトの注文データを毎晩集計して会計ソフトに送る」といった処理を、プログラムを一から書かずに構築できます。
前身はチェコ発の「Integromat(インテグロマット)」で、2022年に「Make」へ名称を変更しました。検索すると今も「Integromat」の名前で情報が見つかりますが、IntegromatとMakeは同じサービスの旧称と現名称です。Integromat時代の記事は料金・機能とも現在と異なる場合が多いため、情報源の日付に注意してください。
ビジュアルに組み立てる「シナリオビルダー」
Makeの特徴は、自動化の流れを円形のアイコンを線でつなぐビジュアルなキャンバス(シナリオビルダー)で組み立てる点です。処理の流れが図としてそのまま見えるため、分岐・並列・繰り返しを含む複雑な流れでも全体像を把握しやすい構造になっています。
Zapierが「トリガーから順にアクションを1列に並べる」リスト型の作り方を基本とするのに対し、Makeはルーター(分岐)で流れを枝分かれさせたり、配列データを1件ずつ展開して処理したりといったフロー制御を、キャンバス上で図として描ける点が設計思想の違いです。この表現力の高さが、Makeが「Zapierでは組みにくい複雑な自動化」の受け皿として選ばれる理由になっています。
シナリオとモジュール:Makeの基本概念
Makeでは、自動化の一連の流れをシナリオ(scenario)、シナリオを構成する個々の処理をモジュール(module)と呼びます。用語を整理すると次のとおりです。
| 用語 | 意味 | Zapier/n8nでの対応概念 |
|---|---|---|
| シナリオ | 自動化の一連の流れ全体 | Zap/ワークフロー |
| モジュール | シナリオを構成する個々の処理(トリガー・アクション・検索など) | ステップ/ノード |
| ルーター | 条件によって流れを枝分かれさせるモジュール | パス(Zapier)/IFノード(n8n) |
| クレジット | モジュールの実行量を数える課金の単位(旧称:オペレーション) | タスク(Zapier)/実行(n8n) |
表の最後の「クレジット」が料金を左右する概念です。モジュールが1回動くごとに原則1クレジットを消費するという数え方で、詳しくは料金の章で解説します。なお、シナリオの実行履歴では今も「オペレーション」という表示が残っています。データ上の指標としてのオペレーションは存続しており、課金の単位としての名称がクレジットに変わった、という関係です。
Makeでできること:3,000以上のアプリ連携
Makeの公式インテグレーションページには、3,000以上の連携アプリ(Integration Apps)が掲載されています(2026年7月確認)。Google Workspace・Slack・Notion・Salesforce・HubSpot・Shopifyといった主要サービスはひととおりカバーされ、OpenAI・Anthropic(Claude)などのAI系アプリも350以上が用意されています。
Makeでできることは、大きく3つに整理できます。
- サービス間のデータ連携:フォームの回答をCRMに登録して担当者に通知する、といったアプリ間の定型処理の自動化
- 分岐・繰り返しを含む複雑なフロー:ルーターによる条件分岐、イテレーター(配列の展開)・アグリゲーター(データの集約)によるデータ加工。専用アプリがないサービスもHTTPモジュールでAPI連携できる
- AIを組み込んだ自動化:AIモジュールで文章の分類・要約・抽出をシナリオに組み込める。後述のMake AI Agents(オープンベータ)ではAIエージェント自体をビジュアルに構築できる
位置づけとしては、ノーコードで始められるが、データ構造(配列・JSON)の理解があるほど扱える範囲が広がる「非エンジニア〜中級者向け」のツールです。Zapierほど操作を単純化しておらず、n8nほどコードを前提にしない、中間の性格と言えます。
Zapier・n8nとの構造的な違い:課金思想で比べる
Make・Zapier・n8nは用途の重なる3ツールですが、「何を数えて課金するか」という思想がそれぞれ異なります。この違いは月額の安い高いよりも本質的で、自動化したい業務の形によってどのツールのコスト構造が合うかが変わります。機能の優劣ではなく、まず課金の構造から整理します。
3ツールの課金思想:タスク・クレジット・実行回数
- Zapier=タスク課金(ステップ単位):Zapの中でアクションが1回動くごとに1タスクを消費する。5ステップのZapが1回動けば消費はおおよそ5タスク
- Make=クレジット課金(モジュール単位+AI従量):シナリオ内のモジュールが1回動くごとに原則1クレジットを消費する。考え方はZapierのステップ単位に近いが、AI系モジュールだけはトークン数やファイルサイズに応じて消費量が変動する
- n8n=実行回数課金(ステップ数無関係):ワークフローの1回の起動を「1実行」と数え、その中で通るノードの数は消費に影響しない
軸の上に並べると、「ステップ数を数えない」n8nが一方の端にあり、ZapierとMakeは「ステップ単位で数える」同じ側に立っています。そのうえでMakeは、AI機能の拡張に合わせて「AI処理の重さに応じた従量消費」を部分的に導入した、ステップ課金と従量課金のハイブリッド構造という固有の位置にいます。
具体例で確かめます。5モジュールのシナリオが月1,000回動く場合、Makeの消費は約5,000クレジットです。同じ規模のZapならZapierで約5,000タスク、n8nなら1,000実行としてカウントされます。ステップ数が少ないうちは3ツールの差は小さく、ステップ数と実行頻度が増えるほど、ステップ課金型(Zapier・Make)と実行回数課金型(n8n)の構造差が数字に表れます。
それぞれの課金の詳細は、Zapierの解説記事とn8nの解説記事で個別に扱っています。
比較表:Make・Zapier・n8n
| 項目 | Make | Zapier | n8n |
|---|---|---|---|
| 性質 | ワークフロー自動化(SaaS専業) | ワークフロー自動化(SaaS専業) | ワークフロー自動化(セルフホスト可) |
| ホスティング | クラウドのみ | クラウドのみ | クラウド/セルフホスト |
| 課金単位 | クレジット(モジュール単位・旧オペレーション) | タスク(アクション単位) | 実行回数(ステップ数無制限) |
| 無料枠 | 1,000クレジット/月・アクティブシナリオ2つ | 100タスク/月 | セルフホスト無料(ライセンス条件あり) |
| 最安有料プラン | Core $9/月(年払い時) | Professional $19.99/月〜(年払い時) | Starter €20/月(年払い時) |
| 連携アプリ数 | 3,000以上 | 9,000以上 | 公式ノード500以上 |
| 日本語UI | 非対応 | 対応 | 非対応 |
| 対象ユーザー | 非エンジニア〜中級者 | 非エンジニア中心 | 技術者寄り(コード記述可) |
※価格はいずれも2026年7月に各公式料金ページを確認した時点の値です。表示通貨はサービス・地域により異なります(Make・Zapierは米ドル、n8nはユーロ基準で記載)。
対象ユーザーと使い分けの目安
3ツールの性格をひとことで言い分けると、次のようになります。
- Zapier:連携アプリ数と日本語対応、操作の分かりやすさ。現場の担当者が自分の業務をすぐ自動化する用途に向く
- Make:ビジュアルなフロー表現力と価格水準のバランス。分岐・データ加工を含む複雑なシナリオを、コードを書かずに組みたい用途に向く
- n8n:セルフホストと実行回数課金。データを自社管理下に置きたい組織や、多ステップのフローを大量に動かす、技術者のいる組織に向く
どれか1つが常に優れているという関係ではなく、業務の複雑さ・実行量・体制(誰が作り誰が保守するか)・データ要件の4点で答えが変わります。判断材料は向くケース・向かないケースの章で改めて整理します。
Makeの料金プラン【2026年7月時点】
Makeの料金は、無料のFreeプランと4つの有料プラン(Core・Pro・Teams・Enterprise)で構成されます。以下はMake公式の料金ページ(make.com/en/pricing)を2026年7月に確認した時点の情報です。米ドル表示・月あたり10,000クレジットの設定を基準にしています。料金・上限は変わる可能性があるため、契約前に必ず公式ページで最新値を確認してください。
料金プラン一覧
| プラン | 月額(年払い時の月換算) | 月額(月払い) | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| Free | $0 | $0 | 1,000クレジット/月、アクティブにできるシナリオは2つまで |
| Core | $9 | 約$10.59 | 10,000クレジット/月〜(スライダーで増量可)、アクティブシナリオ数無制限、Make APIの利用 |
| Pro | $16 | 約$18.82 | Coreの内容+優先実行、カスタム変数、実行ログの全文検索 |
| Teams | $29 | 約$34.12 | Proの内容+チーム・権限管理、シナリオテンプレートの作成・共有 |
| Enterprise | 個別見積り | 個別見積り | カスタム関数、エンタープライズアプリ連携、24時間365日サポート、超過保護(Overage protection)など |
読み方の補足です。
- 年払いと月払いの差が大きい:公式は年払いで15%以上の割引としており、たとえばTeamsは年払い換算$29/月に対して月払いは約$34.12/月。Web上の解説記事には年払い価格と月払い価格を混同しているものがあるため、見積もり時はどちらの数字かを確認する
- クレジット量はスライダーで調整できる:各プランは月10,000クレジットが基準で、必要量に応じて増やすと月額も上がる。プランの違いは「機能」、クレジット量は「量」として別々に決める構造
- Freeプランの制約はクレジット数よりシナリオ数:月1,000クレジットに加えて、アクティブにできるシナリオが2つまでという制限がある。試用には十分だが、本運用では早い段階でCore以上が前提になる
課金単位の変更:オペレーションからクレジットへ(2025年8月)
Makeの料金を調べるうえで注意が必要なのが、2025年8月27日に課金単位が「オペレーション(operations)」から「クレジット(credits)」に変更されたことです。日本語の解説記事の多くはこの変更前に書かれており、「オペレーション課金」の説明のまま止まっています。変更の内容を正確に整理します。
- 既存のオペレーションは1:1でクレジットに変換された。プランの階層・月額・上限量そのものの変更はない(10,000オペレーション→10,000クレジット)
- 標準モジュールの消費も従来と同じ:トリガー・アクション・フィルター・ルーターなど、シナリオ内の各モジュールの実行1回=1クレジットという数え方は変わっていない
- 変わったのはAI関連の課金:AIネイティブモジュールは、処理するトークン数・ファイルサイズ・ページ数などに応じて可変のクレジットを消費する。コード実行機能のMake Codeは実行時間1秒あたり2クレジット
- 画面上の「オペレーション」表示は残っている:実行履歴・シナリオログでは従来どおりオペレーション数が表示される。処理量の指標としてのオペレーションは存続し、課金メーターの名称がクレジットになった
要するに、普通のシナリオだけを使う限り、実質的な変化はほぼありません。この変更の狙いは、消費量が一定でないAI処理を同じメーターで測れるようにすることにあります。「1回=1」の固定レートで数えるオペレーションのままではAIの従量消費を表現できないため、単位を抽象化した、と理解すると分かりやすい構図です。
クレジット消費の見積もり方
月に必要なクレジット量は、次の式で概算できます。
シナリオのモジュール数 × 月間の実行回数 + AIモジュールの従量分
たとえば「メール受信→添付を保存→内容を記録→通知」の4モジュールのシナリオが月500回動くなら、約2,000クレジットです。注意すべきは次の2点です。
- 1件ずつの展開で消費が増える:イテレーターで配列を10件に展開し、それぞれに後続処理をかけると、後続モジュールは10回ずつ動く。データ件数が多い処理は見積もりが膨らみやすい
- AIモジュールは固定計算できない:消費が処理内容に応じて変動するため、AI処理を多く含むシナリオは、まず小さく動かして実測してからプランのクレジット量を決めるのが確実
MakeのAI機能:Make AI Agentsを中心に
Makeは2025年から2026年にかけてAI機能を急速に拡張しており、前述のクレジット課金への変更もこの流れの一部です。2026年7月時点で公式プランページに明記されているAI機能は次のとおりで、いずれも無料プランを含む全プランで利用できます。
全プラン共通のAI機能ラインナップ
- AI関連アプリ350以上:OpenAI・Anthropic(Claude)・Google(Gemini)など各社のAIサービスをモジュールとしてシナリオに組み込める
- Make AI Agents(ベータ):AIエージェントをビジュアルに構築する機能。次項で詳述
- Make AI Toolkit:分類・要約・抽出といったAI処理を、外部AIサービスの契約なしで使えるモジュール群
- AI Content Extractor:文書・画像などからの情報抽出
- AI Web Search(ベータ):Web検索の結果をシナリオ内で扱う機能
Make AI Agents(New):2026年2月リリースのオープンベータ
現在のMakeのAI強化の中心がMake AI Agents(New)です。2025年10月に刷新の構想が予告され、2026年2月2日にオープンベータとして公開されました。機能・料金は今後変更される可能性があると公式が明記しているため、この段階の情報として読んでください。なお現時点ではオープンベータであり、機能・料金は今後変更される可能性があると公式が明記しています。この記事の記載もベータ時点の情報として読んでください。
Make AI Agentsの特徴は、シナリオビルダーと同じ操作感でAIエージェントをビジュアルに設計できることです。LLM・AIプロバイダー・指示(プロンプト)・ナレッジ・入力・ツール・ファイルといった要素を組み合わせてエージェントを構成します。従来のシナリオが「決めた手順どおりに動く」のに対し、エージェントは状況を推論して次のアクションを自分で選び、3,000以上の連携アプリを横断してワークフローを起動できます。
利用条件は、全プランでMakeが用意するAIプロバイダー経由で使える形が基本で、有料プランでは自社契約のAIプロバイダー(カスタムプロバイダー)を接続する選択もできます。
なお、AIエージェントの実行基盤としてはn8nもAI Agentノード・MCP対応を進めており、ノーコード寄りに作れるMakeと、コードで拡張できるn8nという対比になっています。エージェント機能の比較はn8nの解説記事のAI機能の章とあわせて読むと立体的に掴めます。
AI機能とクレジット消費の関係
AI機能を使ううえで押さえておくべきは、AI処理のクレジット消費は標準モジュールのような「1回=1」ではないことです。処理するトークン数・ファイルサイズ・ページ数に応じて消費が変動するため、「AIで全件を要約する」ような使い方をすると、想定よりクレジットが早く減ることがあります。
対策はシンプルで、AIモジュールに渡すデータをフィルターで事前に絞り込むこと、そして本運用の前に小規模で実測することです。フィルター自体の消費は軽いため、「全部AIに渡して判断させる」より「条件で絞ってからAIに渡す」設計のほうがクレジット効率は良くなります。
日本語UI非対応への実務対処
Makeの管理画面(UI)は、2026年7月時点で日本語に対応していません。公式ドキュメント・カスタマーサポートも英語が基本です。ここは導入判断に直結するため、正確に切り分けて説明します。
まず前提として、「UIが英語」と「日本語データが扱えない」は別の話です。シナリオの中で日本語のメール・テキスト・スプレッドシートを処理することには何の問題もありません。英語なのは操作画面と設定項目の表記だけです。
そのうえで、実務では次の対処が現実的です。
- ブラウザの翻訳機能で画面を読む:Chromeなどの翻訳機能を使えば、UIの大部分は日本語で理解しながら操作できる
- 設定の入力・保存時は翻訳をオフにする:翻訳を有効にしたまま設定を保存すると入力内容が保存されない不具合が報告されている。「読むときは翻訳オン、書き込むときはオフ」の使い分けが安全
- チーム展開時は教育コストを織り込む:作った本人以外のメンバーが保守・修正する場面では、英語UIの読み解きがそのまま引き継ぎのハードルになる。手順書やシナリオ内のメモ(Note)を日本語で残す運用がその補い
非エンジニアのメンバーに広く使わせたい場合は、日本語UIに対応しているZapierを選ぶ判断も十分に合理的です。逆に、運用者が固定されている・技術メンバーが担当するのであれば、英語UIは慣れの問題で吸収できる範囲であることが多い、というのが実務的な目安です。
Makeが向くケース・向かないケース
ここまでの構造の違いを、導入判断に使える形で整理します。
Makeが向くケース
- 分岐・繰り返し・データ加工を含む複雑な自動化を、コードを書かずに組みたい:ルーター・イテレーター・アグリゲーターによるフロー制御はMakeの得意分野。1列型のツールでは表現しにくい流れを図として設計できる
- ツール費用を抑えつつ有料プランの機能を使いたい:Core $9/月(年払い時)から始められ、無料枠(1,000クレジット/月)で事前検証もできる
- AIを組み込んだ自動化をノーコード側から試したい:AI Toolkitや350以上のAIアプリ連携が全プランで使える。Make AI Agents(ベータ)でエージェント構築にも踏み込める
- 専用アプリのないサービスとAPIで連携したい:HTTPモジュールでREST APIを直接呼べるため、国産SaaSなど連携リストにないサービスにも対応の余地がある
向かないケース(他ツールが合うケース)
- 日本語UIが必須の条件になる場合:非エンジニアの複数メンバーが日常的に触る体制なら、日本語対応のZapierのほうが定着しやすい
- 連携アプリの幅を最優先する場合:連携数はZapier(9,000以上)が頭ひとつ抜けている。マイナーなSaaSとの連携が多い業務では、まずZapierで対応可否を確認する価値がある
- データを外部SaaSに出せない要件がある場合:MakeはZapierと同じくクラウド専業で、データは運営会社のサーバーを経由する。セルフホストが必要ならn8nが選択肢になる
- 多ステップのフローを大量に動かす場合:モジュール単位で数えるMakeの課金は、ステップ数×実行回数に比例して膨らむ。実行回数課金のn8nのほうがコスト構造が合うことがある
まとめると、Makeは「Zapierでは構造的に組みにくい複雑さがあるが、n8nを運用するほどの技術体制はない」という中間層に最も収まりのよいツールです。3ツールとも無料で試せるため、代表的な業務を1つ選んで実際に組んでみるのが、比較検討の最短ルートです。
業務自動化・AI導入の設計が必要な場合は「Swooo」にご相談ください
Make・Zapier・n8nのようなツールの導入で判断が難しいのは、ツールの選定そのものより、「どの業務を、どの順番で、どこまで自動化するか」という設計と、作ったあとの保守体制です。ツールの無料枠で最初のシナリオを作るところまでは進んでも、業務全体への展開と定着で止まるケースが少なくありません。
Swoooの業務AI化支援は、業務の棚卸しと自動化・AI化の対象選定から、システムの設計・開発、導入後の運用保守までを一括で担当するサービスです。運営は東証グロース上場の株式会社アイビス(証券コード9343)。「Makeのようなツールで足りるのか、個別開発が必要なのか」という切り分けの段階からご相談いただけます。
Makeの使い始め方
Makeを試すまでの流れを概要レベルで整理します。細かな画面操作は公式ドキュメント(Make Help Center)が最も正確です。
- 無料プランでアカウントを作成する:クレジットカード登録は不要。月1,000クレジット・アクティブシナリオ2つの範囲で検証できる
- テンプレートから入るか、空のシナリオを作る:公式テンプレートが多数用意されており、近い形のものを流用すると構造の学習が速い
- トリガーになるモジュールを置き、連携先の認証(Connection)を登録する:メール受信・スケジュール・Webhookなどから起点を選ぶ
- 後続モジュールをつなぎ、「Run once」で1回実行して動きを確かめる:各モジュールを通ったデータが吹き出しで確認できるのがMakeの分かりやすい点
- スケジュールを設定してシナリオを有効化する:実行間隔はプランによって下限が異なる。あわせて実行履歴でクレジット消費を確認し、月間の必要量を見積もる
最初の題材は、失敗しても業務が止まらない通知系(フォーム回答の通知、日次集計の自動送信など)から始めるのが定石です。感触を掴んでから、分岐やAIモジュールを含む本命の業務に進むと手戻りが少なくなります。社内へのAI組み込みまで視野に入れる場合は、社内AIチャットボットの構築ガイドも参考になります。
Makeに関するよくある質問
Q. Makeは無料で使えますか
無料のFreeプランがあり、月1,000クレジットの範囲で使えます。ただしアクティブにできるシナリオは2つまでのため、本運用ではCoreプラン以上(年払い時$9/月〜)が実質的な前提です(2026年7月確認時点)。クレジットカードの登録なしで始められるので、検証用途にはFreeプランで十分です。
Q. MakeとIntegromatは別のツールですか
同じサービスです。Integromatが2022年に「Make」へ名称を変更しました。Integromat名義の解説記事は料金・機能とも古い情報が多いため、現在の仕様は公式サイト(make.com)で確認してください。特に課金単位は2025年8月にオペレーションからクレジットへ変わっており、それ以前の記事の料金解説は現行と用語が一致しません。
Q. Makeは日本語に対応していますか
管理画面・公式ドキュメント・サポートとも英語が基本で、日本語UIには対応していません(2026年7月時点)。シナリオ内で日本語のデータを処理することは問題なくできます。ブラウザの翻訳機能で画面を読みながらの運用は可能ですが、翻訳を有効にしたまま設定を保存すると入力が保存されない不具合が報告されているため、入力時は翻訳をオフにするのが安全です。
Q. クレジットとオペレーションは何が違いますか
2025年8月27日に課金単位の名称がオペレーションからクレジットに変わりました。既存のオペレーションは1:1でクレジットに変換され、標準モジュールの「実行1回=1」という数え方も変わっていません。実質的な違いはAI関連で、AIモジュールはトークン数などに応じた可変クレジット、Make Codeは実行1秒あたり2クレジットを消費します。実行履歴の画面には今もオペレーションという表示が残っています。
Q. Zapier・n8n・Makeのどれを選ぶべきですか
日本語UIと連携アプリ数を重視し、非エンジニアが主体で使うならZapier。分岐やデータ加工を含む複雑なフローをコードなしで組みたいならMake。データを自社管理下に置きたい、または多ステップのフローを大量に動かす技術体制があるならn8nが向いています。詳しくはZapierの解説記事・n8nの解説記事とあわせて比較してください。
まとめ:Makeは「表現力と価格の中間解」として選ぶ
本記事では、Make(旧Integromat)の基本概念からZapier・n8nとの課金思想の違い、料金、クレジット課金への変更、AI機能、日本語UI非対応への対処までを解説しました。要点を整理します。
- Makeはビジュアルなシナリオビルダーで分岐・繰り返しを含む自動化を組めるツール。連携アプリは3,000以上(2026年7月確認)
- 課金はクレジット単位(モジュール実行1回=原則1クレジット)。考え方はZapierのタスク課金に近く、AI処理だけが従量消費というハイブリッド構造
- 2025年8月27日にオペレーションからクレジットへ課金単位が変更。1:1変換のため標準的な使い方への実質的影響はなく、狙いはAI従量課金への対応
- 料金はFree(1,000クレジット/月)〜Core $9/月・Pro $16/月・Teams $29/月(いずれも年払い時・2026年7月確認)。年払いと月払いの差が大きい点に注意
- Make AI Agents(New)は2026年2月2日リリースのオープンベータ。AIエージェントをビジュアルに構築できるが、機能・料金は変更の可能性がある
- 日本語UIは非対応。日本語データの処理は問題ないが、チーム展開時は英語UI前提の運用設計が必要
3ツールの選択は「どれが優れているか」ではなく、業務の複雑さ・実行量・体制・データ要件の掛け合わせで決まります。無料枠で代表的な業務を1つ組んでみて、消費量と操作感を実測してから本格導入を判断するのが堅実な進め方です。
どの業務から自動化に手を付けるか、ツールで足りる範囲と個別開発が必要な範囲の切り分けから検討したい場合は、Swoooの業務AI化支援をご覧ください。