執筆:Swooo編集部/監修:諸藤 哲耀(株式会社アイビス Swooo)
システム開発の内製化とは、外部ベンダーに委託してきた開発を、自社の人材と体制で担えるように切り替えていくことです。DX推進の文脈で語られることが多いテーマですが、2026年現在、Claude Codeをはじめとするコーディング支援AIの実用化によって、内製化の前提そのものが数年前とは変わってきました。「エンジニアを採用できなければ内製化は無理」という常識が、揺らぎ始めています。
この記事は、内製化を検討し始めた企業のIT部門・経営企画・DX推進担当の方に向けて、内製化の判断基準、失敗しやすいポイント、AIによって何が変わったのか、そして支援会社の選び方までを一気に整理したものです。先に結論を早見表で示します。
| いまの状況 | 向いている進め方 |
|---|---|
| エンジニア採用が思うように進まない | AI駆動開発×研修で既存人材を戦力化する。採用を待たずに始められる |
| 情シスはいるが開発経験者がいない | 小さな業務ツールの内製から検証する。座学より実務型の技術移管が近道 |
| 開発チームはあるがリソースが足りない | 競争領域を内製に寄せ、繁忙期や周辺領域は受託を併用する |
| まず動くものが必要で、時間がない | 初期は外部に開発を委ね、並行して技術移管を受けて段階的に引き取る |
| 基幹系など、安定稼働が最優先の領域 | 無理に内製化しない。外注を継続し、内製は競争領域から始める |
表からわかるとおり、この記事の立場は「内製か外注かの二択ではなく、領域ごとに使い分けるハイブリッドが現実解」です。順に見ていきます。
目次
システム開発の内製化とは:外注との違いを整理する
内製化(インソーシング)とは、システムの企画・開発・運用を外部の開発会社に委託するのではなく、自社の社員が担う体制へ移行することを指します。対義語は外注(アウトソーシング)です。両者の違いを発注側の観点で整理すると、次のようになります。
| 観点 | 内製 | 外注 |
|---|---|---|
| 改修スピード | 思い立ったらすぐ着手できる | 見積もり・契約・スケジュール調整を挟む |
| 業務理解 | 業務を知る人がそのまま作れる | 要件として言語化し、伝達する工程が必要 |
| ノウハウ | 社内に蓄積される | 開発会社側に蓄積される |
| 品質担保 | レビュー体制を自前で整備する必要がある | 開発会社の品質管理体制に乗れる |
| 人材 | 採用・育成・定着が前提 | 必要な期間だけ専門チームを使える |
ひと口に内製化といっても、範囲には段階があります。企画と要件定義だけ自社で行い実装は外注する段階、実装の一部(軽微な改修や社内ツール)を自社で持つ段階、開発から運用まで一貫して自社チームが担う段階。いきなり最終段階を目指す必要はなく、自社がいまどの段階にいて、次にどこまで進むのかを言語化することが、検討の出発点になります。
あわせて押さえておきたいのは、内製と外注は優劣の関係ではなく、向いている領域が違うという点です。仕様変更が頻繁で、事業の競争力に直結する領域は内製の強みが活きます。一方、要件が安定していて専門性の高い領域や、一時的に大きな開発力が必要な局面は外注が合理的です。
実際、内製化に取り組む企業の多くは「すべてを自社で作る」体制ではなく、コア領域は内製、周辺領域や繁忙期は外部パートナーを併用するハイブリッド体制に落ち着きます。内製化の検討は「外注をやめる」判断ではなく、「どの領域を自社で持つか」を決める作業だと捉えると、議論が整理しやすくなります。
なぜ今、内製化なのか:日本と米国の差が示すもの
内製化が注目される背景には、はっきりしたデータがあります。IPA(情報処理推進機構)がまとめた「DX白書2023」によると、コア事業(競争領域)に関わるシステムの内製化率は、米国が53.1%であるのに対し、日本は24.8%にとどまります(2022年度調査・DX白書2023より)。競争力の源泉となるシステムの半分以上を自社で作る米国と、7割以上を外部に委ねる日本、という構図です。

この差の背景には、日本のIT産業の分業構造があります。システム開発の担い手が発注企業の中ではなく開発会社側に集まる構造が長く続いてきたため、発注企業には「要件をまとめて依頼する力」は蓄積されても、「自分たちで作り、直し続ける力」が育ちにくい環境でした。デジタル施策が事業の中心に近づくほど、この構造は改善スピードの制約として表面化します。
成果の面でも差が表れています。IPAの「DX動向2024」では、DXに取り組んで成果が出ていると答えた企業は米国で89%(2022年度調査)、日本では64.3%(2023年度調査)と報告されています。もちろん内製化率だけが原因ではありませんが、「作りたいものを、作りたいときに、自分たちで直せる」体制の有無が、デジタル施策の試行回数と改善スピードに効いていることは想像に難くありません。
ここで強調しておきたいのは、内製化の目的は外注費の削減ではないということです。コスト削減を主目的に内製化を進めると、人件費・教育費・体制整備のコストを計算に入れた途端に「外注のほうが安い」という結論になり、頓挫しがちです。内製化の本質的な価値は、競争領域のシステムとノウハウを自社で持ち、事業の意思決定と同じ速度でプロダクトを変えられることにあります。費用対効果は「削減額」ではなく「試せる仮説の数」「改善サイクルの速さ」で測るのが妥当です。
内製化のメリットと、正直な失敗パターン
内製化で得られるもの
内製化がうまく機能したとき、企業が得るものは次の4つに集約されます。
- 改善サイクルの高速化:見積もり・発注のプロセスを挟まず、現場の気づきを当日のうちに反映できる体制は、外注では原理的に作れません
- 業務理解と実装の一体化:業務を知る人が作ることで、要件の伝達ロスが消えます。「言った・言わない」「伝わっていなかった」に起因する手戻りが構造的に減ります
- ノウハウの社内蓄積:システムの設計判断や失敗の記録が社内に残り、次の開発の資産になります。外注では、この経験値は開発会社側に蓄積されます
- ベンダーロックインの回避:特定の開発会社にしか触れないシステムを抱えるリスクを下げられます。仕様を理解した人が社内にいること自体が、外注する際の交渉力にもなります
なお、コスト面については冷静な見方が必要です。内製化すると外注費は減りますが、人件費・教育費という固定費に置き換わります。開発量が安定して多い企業では内製が割安になり得ますが、開発が散発的な企業では外注のほうが総額は抑えられることも珍しくありません。内製化のリターンはコストの増減よりも、スピードとノウハウの側にあると考えたほうが、判断を誤りません。
つまずきやすい3つの壁:状況・原因・回避策
一方で、内製化には定番の失敗パターンがあります。検討段階で正直に直視しておくべきは次の3つです。それぞれ、典型的な状況・根本の原因・回避策の順に掘り下げます。
1. 採用の壁:計画が「採用待ち」で止まる
典型的な状況は、内製化の計画書が「まずエンジニアを2〜3名採用し、その後に開発を開始する」という順序で書かれているケースです。経験者採用は他社との争奪戦であり、募集を出しても応募が集まらないまま半年、1年と計画が空転します。
原因は、内製化の開始条件を「自社でコントロールできない変数(採用市場)」に置いてしまっていることです。
回避策は、開始条件を既存人材に置き換えることです。後述するとおり、AIを前提とした研修で業務担当者を立ち上げる選択肢が現実的になっており、採用は「始めるための条件」ではなく「広げるための手段」に位置づけ直せます。
2. 属人化の壁:立ち上げた本人しか触れなくなる
典型的な状況は、社内で最初にツールを作れるようになった1〜2名にすべての開発・改修が集中し、その人の異動や退職とともにシステムがブラックボックス化するケースです。外注時代には開発会社が持っていたドキュメントや引き継ぎ体制が、内製に切り替えた途端に消えてしまい、結果として外注時代より脆い体制になります。
原因は、「作れること」を優先して「引き継げること」の整備を後回しにする初期の判断です。
回避策は、最初の1本目から、設計メモ・変更履歴・レビューの記録を残す運用をセットにすることです。作る技術と残す規律を同時に身につけた1人目は、そのまま2人目を育てる教材を持つことになります。
3. 品質担保の壁:最初のトラブルで機運がしぼむ
典型的な状況は、内製した業務ツールが本番稼働後に権限設定の漏れやデータ消失といったトラブルを起こし、「やはり自分たちで作るのは危険だ」という空気が社内に広がって、内製化の取り組み自体が凍結されるケースです。
原因は、「動くこと」の確認だけでリリースし、セキュリティ設計・テスト・障害時の手順といった品質面の標準を持っていなかったことです。開発会社が組織として備えている品質管理の仕組みは、外注をやめた瞬間に自前で用意する必要があります。
回避策は、最初から完璧な品質基準を作ろうとせず、「リリース前に確認する項目のリスト」を小さく作って運用しながら育てることです。この部分こそ、実務経験のある外部の支援を受ける価値がもっとも高い領域です。
3つに共通するのは、「作れる人がいるか」だけを見て、「作り続けられる体制があるか」を見落とすことです。後述する進め方と支援会社の選び方は、この3つの壁をどう越えるかという観点で読んでください。
AI駆動開発は内製化のハードルをどう変えたか
ここからが、従来の内製化論と2026年時点の議論がもっとも違う部分です。Claude Codeに代表されるエージェント型のコーディングAIは、「動くものを作る」までの距離を大きく縮めました。コードベース全体を理解し、複数ファイルにまたがる実装からテストまでを自律的に進めるため、開発経験の浅い人材でも、AIとの対話を通じて業務ツールやプロトタイプを形にできるようになっています。GitHub社の調査では、コード補完機能(GitHub Copilot)の利用でタスク完了が55%速かったと報告されています。エージェント型のAIとは仕組みが異なる調査ですが、AIの支援が開発速度に効くこと自体は実測で裏づけられています
具体的なシーンで考えてみます。部署ごとにばらばらのスプレッドシートで管理していた申請業務があるとします。従来であれば、これをシステム化するには外注するか、情シスの開発案件として順番待ちに入るかの二択でした。いまは、業務を知る担当者自身がClaude Codeに「現状の管理表の構造」と「困っていること」を伝え、対話しながら申請フォームと一覧画面を組み立て、翌週には部署内で試験運用を始める、という進み方が現実にあり得ます。要件を文書にまとめて他人に伝える工程が丸ごと不要になるため、「業務を知っていること」がそのまま開発の強みに変わるのです。
これが内製化に持つ意味は、「エンジニア採用」一択だった人材戦略に「既存人材の戦力化」という選択肢が加わったことです。前章で挙げた「採用の壁」に対する現実的な迂回路であり、業務理解のキャッチアップが不要な分、中途採用者の立ち上げより速く機能するケースもあります。
ただし、ここで盛った話をするつもりはありません。「AIで動くものが作れる」ことと「業務で安定運用できるシステムを持てる」ことは、別の問題です。先ほどの申請ツールの例を続けると、試験運用までは順調に見えても、本番導入の手前には別の種類の問いが待っています。申請データには誰がアクセスできるべきか。異動や退職があったとき、権限はどう更新されるのか。誤って全件削除の操作をしたら、データは戻せるのか。これらはAIに実装を頼む・頼まない以前に、誰かが「決めて、確認する」必要がある事項です。AIの登場後も変わらず必要なものを整理します。
- 要件定義:何を作るべきか、何が正しい仕様かを決めるのは引き続き人の仕事です。AIは決められた方向に速く進みますが、方向そのものは決めてくれません
- レビュー体制:AIが生成したコードを誰がどの基準で確認するか。この仕組みがないままAIの出力を本番投入するのは、テストなしのリリースと同じです
- セキュリティ設計と運用設計:権限管理、個人情報の扱い、障害時の対応手順。動くことと安全に動き続けることの間には、依然として設計の仕事があります
つまりAIが変えたのは「実装の速度と担い手の裾野」であり、「システム開発に必要な規律」ではありません。内製化の観点で言い直すと、ハードルが消えたのではなく、越え方が変わった。実装力はAIと研修で補える時代になったからこそ、要件定義・レビュー・セキュリティといった規律の部分をどう身につけるかが、内製化成否の分かれ目になっています。AI駆動開発そのものの解説はAI駆動開発とは何か、Claude Codeの企業利用の実際はClaude Codeで企業のアプリ開発はどこまでできるかで詳しく扱っています。

内製化の進め方:小さく始めて、検証しながら広げる
内製化は全社一斉に切り替えるものではなく、小さな成功を積んで適用範囲を広げていくものです。標準的な進め方を4ステップで示します。各ステップで「この段階でやること」と「まだやらないこと」を分けているのは、先回りのしすぎが内製化の典型的な失速要因だからです。
ステップ1:対象領域を決める
最初の対象は「失敗しても業務が止まらない」「改修頻度が高い」「業務を知る担当者がいる」の3条件を満たす領域が適しています。社内の申請フローの自動化、部署内のデータ集計ツールなどが典型です。
この段階でやること:候補領域の洗い出しと、3条件での絞り込み。関係部署への「試験的な取り組みである」ことの説明。
まだやらないこと:基幹系や対外サービスを対象に含めること。全社ロードマップの精緻な策定。最初の一巡を経験する前に作った長期計画は、ほぼ確実に書き直しになります。
ステップ2:担い手を決めて育成する
ここが従来と変わった点です。以前は「経験者を採用してから」が定石でしたが、現在はAIを前提とした研修で既存人材を立ち上げる選択肢があります。業務を知る人がAIの使い方と開発の規律を学ぶほうが、採用市場で競り合うより早く始められるケースが増えています。
この段階でやること:担い手の業務時間の一部を開発に充てる合意を、本人と上長の間で明文化すること。ツールの操作だけでなくレビューやセキュリティの考え方まで含む研修を選ぶこと。
まだやらないこと:エンジニア職の新設や大量採用。体制が機能するか検証できていない段階での固定費の積み増しは、撤退判断を難しくします。
ステップ3:小さく作って運用まで通す
最初の題材を実際に作り、リリースし、使ってもらい、直すところまで一巡させます。重要なのは「作れた」で終わらせず、レビュー・テスト・障害対応まで含めた一連の流れを経験することです。
この段階でやること:リリース前の確認項目リストを小さく作って運用すること。経験者に設計とコードレビューだけ外部から入ってもらう形も有効です。
まだやらないこと:複数案件の並行着手。1本目で得た教訓を反映する前に手を広げると、同じ失敗を複数の場所で繰り返します。
ステップ4:標準を整備して広げる
一巡の経験をもとに、コーディング規約・レビュー基準・リリース手順を文書化し、2人目・3人目の担い手と次の対象領域に展開します。属人化の壁への対策は、この段階で仕組みとして組み込みます。
この段階でやること:1人目の経験の文書化と、2人目の育成への転用。次の対象領域の選定(ステップ1の3条件を再適用)。
まだやらないこと:外注の全面打ち切り。内製が機能する領域が確認できるまで、外部パートナーとの関係は維持しておくのが安全です。
期間の目安として、ステップ1〜3を一巡するのに3〜6ヶ月を見ておくと現実的です。この間、既存の外注案件を止める必要はありません。外注で事業を止めずに進めながら、並行して内製の足場を作るのが、リスクの小さい移行パターンです。
もうひとつ、進め方と同じくらい重要なのが経営側の関与です。内製チームの初期は、外注と違って成果物がすぐには出ません。最初の数ヶ月を「投資期間」として明確に位置づけ、試行錯誤を許容する評価軸を用意しておかないと、担当者が短期成果を求められて疲弊し、体制が立ち上がる前に頓挫します。内製化は技術の取り組みであると同時に、組織と評価の設計の取り組みでもあります。
内製化支援の4類型:どんな支援会社を選ぶべきか
内製化をすべて独力で進める必要はなく、支援サービスを使うのが一般的です。ただし「内製化支援」と名のつくサービスは中身がかなり異なるため、類型を知らずに比較すると噛み合いません。市場にある支援は、おおむね次の4類型に整理できます。
| 類型 | 支援の中身 | 向いているケース | 留意点 |
|---|---|---|---|
| クラウド運用支援型 | クラウド環境の構築・運用を支援しながら、インフラ面の内製力を育てる | インフラ・運用領域から内製化したい企業 | アプリケーション開発の内製化は別途手当てが必要 |
| ハイタッチ伴走型 | 支援会社のエンジニアやデザイナーが自社チームに入り込み、一緒に開発しながら育てる | 開発組織を本格的に立ち上げる予算と期間がある企業 | 支援が手厚い分、費用規模と期間が大きくなりやすい |
| 研修専業型 | 体系化された研修プログラムで開発スキルを教える | まず人材のスキル底上げから始めたい企業 | 研修と実務の間に距離があると、学んだことが現場で定着しにくい |
| 開発・技術移管一体型 | 実際の開発を請け負うチームが、開発と並行して研修・技術移管まで担う | 動くものを早く必要としつつ、将来は自社で引き取りたい企業 | 開発実績と教育の両方を持つ会社に限られる |
どの類型にも合理性があり、自社の状況次第で正解は変わります。インフラ運用から固めたい企業と、業務アプリを自分たちで作れるようになりたい企業では、選ぶべき相手がそもそも違います。そのうえで、類型を問わず共通して確認したい判断軸が3つあります。
- 教える人は実務者か:研修講師が現役で開発しているかどうかは、内容の鮮度に直結します。とくにAI駆動開発は進化が速く、実案件で使っていない知識はすぐ古くなります
- 実務とセットになっているか:座学だけで終わる研修は定着率が課題になります。自社の実案件・実データを題材にできる支援ほど、現場に残ります
- 契約形態が段階に合っているか:内製化支援は成果物を事前に確定しにくいため、準委任契約が基本になります。請負との違いと使い分けは開発契約ガイド(請負と準委任の使い分け)で詳しく解説しています
Swoooのモデル:開発と技術移管を一体で進める
本メディアを運営するSwoooは、東証グロース上場の株式会社アイビスが提供する開発サービスです。Swoooは、前章の類型でいう「開発・技術移管一体型」の支援を提供しています。具体的には次の2つを、同じチームで担います。
- 受託開発:Claude Codeを含むAI駆動開発とノーコードを組み合わせ、累計50件以上の新規事業・業務システム開発を支援してきました。まず動くものが必要な段階を、外注として引き受けます
- Claude Code研修:実案件でAI駆動開発を行っている開発者が講師を務める法人向け研修です。全3回9時間・1人10万円という構成で、AIへの指示の出し方だけでなく、レビューやセキュリティといった「安定運用のための規律」まで扱います。内容の詳細はAI研修の選び方ガイドにまとめています
この2つを一体で提供する理由は、内製化の現実的な移行パスが「外注で事業を進めながら、並行して自社の開発力を育てる」形になることが多いからです。開発を請け負ったチームがそのまま技術移管まで担えば、自社システムの実コードを教材に、運用の引き取りまで段階的に進められます。開発した会社と教える会社が別々の場合に起きがちな「研修内容と自社システムの断絶」が発生しません。
進め方は状況に合わせて選べます。開発から始めて研修へつなげる形、研修から始めて必要な部分だけ開発を依頼する形、内製チームの設計・コードレビューに外部の目として入る形。いずれも「最初の一巡を外部の実務者と走り、標準を残して自走に移る」という本記事の進め方を、そのまま実行できる体制です。自社の状況でどこから始めるべきか迷う場合は、判断材料の整理からで構いませんのでご相談ください。
よくある質問
Q. 社内にエンジニアが1人もいなくても内製化できますか?
段階を踏めば可能です。ただし最初から本番システムの内製を目指すのではなく、業務を知る担当者がAIを使った開発研修を受け、社内向けの小さなツールで一巡経験を積むところから始めてください。その間の本番開発は外注で進め、体制が育った領域から引き取るのが安全です。
Q. 少人数の情シスでも内製化は可能ですか?
可能ですが、範囲の絞り込みが前提です。少人数の情シスが全社のシステムを内製で抱えるのは現実的ではないため、「改修頻度が高く、自社で持つ価値がある領域」だけを内製対象にし、それ以外は外注を維持してください。また、少人数だからこそ属人化のリスクが高くなります。ドキュメントとレビューの運用を最初から組み込み、業務部門側にもAIを使える担い手を育てて負荷を分散する設計が有効です。
Q. 内製化にはどのくらいの期間がかかりますか?
最初の対象領域で「作る・使う・直す」を一巡するまでに3〜6ヶ月が目安です。そこから対象領域と担い手を広げていくため、全社的な体制と呼べるまでには年単位を見込んでください。逆に、初月から成果を求める計画は失敗パターンに入りやすくなります。
Q. すべてのシステムを内製に切り替えるべきですか?
切り替えるべきではありません。仕様変更が頻繁で競争力に直結する領域は内製の強みが活きますが、要件が安定した領域や高い専門性が必要な領域は外注が合理的です。実際に内製化が定着した企業の多くは、内製と外注を領域で使い分けるハイブリッド体制を取っています。
Q. Claude Code研修は非エンジニアでも受講できますか?
受講できます。Claude Codeは自然言語での指示を起点に開発を進めるため、プログラミング経験がない方でも実務で使える水準を目指せます。むしろ業務を深く知る非エンジニアの方ほど、AIに的確な指示を出せるケースが多くあります。カリキュラムや対象者の詳細はAI研修の選び方ガイドをご覧ください。
Q. AIが書いたコードの品質やセキュリティが不安です
その不安は正当です。AIの出力をそのまま本番投入するのではなく、レビュー基準・テスト・権限設計をセットで整備することが前提になります。内製化支援を受ける場合は、支援会社が「AIコードのレビュー体制をどう作るか」を具体的に説明できるかを確認してください。ツールの使い方しか教えない支援では、この部分が抜け落ちます。
まとめ:内製化は「採用の勝負」から「育成の設計」へ
システム開発の内製化は、コア領域の内製化率で日本が米国に大きく差をつけられている(24.8%対53.1%)とおり、多くの企業にとって未着手の伸びしろです。そして2026年現在、コーディングAIの実用化によって、内製化の最大の壁だった「エンジニア採用」に「既存人材の戦力化」という迂回路が生まれました。
ただし、AIが縮めたのは実装までの距離であって、要件定義・レビュー・セキュリティといった規律の必要性は変わっていません。だからこそ、小さく始めて一巡の経験を積み、実務者から規律ごと技術移管を受ける進め方が、もっとも失敗の少ない道筋です。まずは冒頭の早見表に自社の状況を当てはめて、最初の一歩をどの領域から始めるかを決めてください
関連ガイド:AI駆動開発とは何か/Claude Codeで企業のアプリ開発はどこまでできるか/AI研修の選び方ガイド/開発契約ガイド(請負と準委任)