執筆:Swooo編集部/監修:北浦 聡大(Bubble公式認定デベロッパー・国内初合格/Swooo共同創業者・元CTO)
この記事は、Difyを実際に手を動かしながら覚えるチュートリアルです。アカウント作成から、最初のチャットボット作成、ナレッジ(RAG)で自社文書に答えさせる設定、ワークフローの組み立て、そして作ったアプリの公開まで、一連の流れを順番に進めます。所要時間の目安は、チャットボットの作成までで約10分、ナレッジとワークフローまで含めて1〜2時間です。
「そもそもDifyとは何か」「何ができるツールなのか」という全体像から知りたい場合は、先にDifyとは?できること・料金・他ツールとの違いの解説記事を読んでから戻ってくると、この記事の各ステップの意味がつかみやすくなります。また、会社としての本格導入(セキュリティ要件・セルフホスト・構築代行の選び方)を検討している場合は、Dify企業導入ガイドが該当します。この記事はその手前、「まず自分で触って感触を確かめる」段階のための手順書です。
なお、本記事の画面名称・手順は2026年7月時点(Dify v1.16.0)のクラウド版を前提にしています。Difyは更新頻度が高いツールのため、メニュー名や画面構成が変わっている場合は、同等の機能を持つメニューに読み替えてください。

始める前に:クラウド版でOK、無料枠の範囲を確認する
Difyには、公式が運用するクラウド版(dify.ai)と、自社サーバーに自分で立てるセルフホスト版(Community Edition)があります。学習目的ならクラウド版一択です。ブラウザだけで始められ、サーバー構築の知識は不要で、無料プランの範囲でこの記事の内容はすべて試せます。セルフホスト版が意味を持つのは、社内データを外部に出せない要件がある場合や、本番運用のコストを詰める段階になってからで、その判断材料は企業導入ガイドで扱っています。
クラウド版の無料プラン(Sandbox)でできる範囲は次のとおりです。
| 項目 | 無料プラン(Sandbox)の上限 |
|---|---|
| 料金 | $0 |
| メッセージクレジット | 200クレジット(試用向けの総量。毎月リセットされる方式ではない) |
| 作成できるアプリ数 | 5個 |
| メンバー数 | 1人 |
| ナレッジ(文書)の容量 | 50MB |
| APIリクエスト | 5,000回/月 |
| ログ保存期間 | 30日 |
ひとつだけ先に理解しておきたいのが「メッセージクレジット」です。これは、自分でAIモデルのAPIキーを用意しなくても、Difyが用意したモデルをお試しで呼び出せる枠のことです。無料プランの200クレジットは「月200回」ではなく、累計で消費していく試用用の総量なので、動作確認に使ったら早めに自分のAPIキー(OpenAIやAnthropicなど)を登録する運用に切り替えるのが定石です。自分のAPIキーを登録した場合、モデルの利用料はDifyではなく各AI事業者に直接支払う形になり、クレジット残量を気にせず使えます。
始める前に用意するものは次の2つだけです。
- サインアップに使うアカウント:メールアドレス、またはGoogle/GitHubアカウント
- (任意)AIモデルのAPIキー:OpenAI、Anthropic、Google(Gemini)など。最初の動作確認は無料クレジットで足りるため、後から用意しても問題ありません
ステップ1:アカウント作成と画面の全体像(5分)
まずアカウントを作ります。手順は3つです。
- Dify公式サイト(dify.ai)を開き、サインアップ(Get Started等の開始ボタン)を選びます。すると、メールアドレスまたはGoogle/GitHubアカウントでの登録画面が表示されます
- いずれかの方法で登録すると、認証を経てワークスペース(作業スペース)が作成されます
- ログインが完了すると、アプリの一覧画面が開きます。初回はまだ何もない状態です
ログイン後の画面で最初に押さえておくべき場所は3つです。
| 画面 | 役割 | この記事で使う場面 |
|---|---|---|
| スタジオ | アプリ(チャットボットやワークフロー)を作成・編集する場所 | ステップ2・4 |
| ナレッジ | AIに参照させたい文書(PDF・テキスト等)を登録する場所 | ステップ3 |
| 設定系のメニュー | モデルプロバイダーのAPIキー登録、表示言語、メンバー管理など | APIキー登録時 |
表示言語は日本語に切り替えられます。アカウント設定のメニューに言語設定の項目があるので、英語表示になっている場合は最初に日本語へ変更しておくと、以降の手順が追いやすくなります。
また、自分のAPIキーを使う場合はこの段階で登録しておきます。設定メニューの中にモデルプロバイダーを管理する画面があり、OpenAI・Anthropic・Google(Gemini)・Azure OpenAIをはじめ100以上のプロバイダに対応しています。使いたい事業者を選んでAPIキーを貼り付けると、そのプロバイダのモデルがアプリ作成時の選択肢に現れます。まずは無料クレジットで試し、本格的に触り始めるタイミングで登録する、という順序でかまいません。
ステップ2:最初のチャットボットを10分で作る
最初の題材は「経費精算の質問に答える社内ヘルプデスクbot」にします。題材は何でもよいのですが、後のステップで文書(ナレッジ)を追加したときの効果が分かりやすいテーマを選んでいます。
2-1. アプリを新規作成する
- スタジオを開き、「最初から作成」(Create from Blank)などの新規作成ボタンを選びます。すると、作成するアプリの種類を選ぶ画面が表示されます
- アプリの種類から、対話型のチャットボットを選びます。すると、アプリ名とアイコンの入力欄が表示されます
- 名前(例:経費精算ヘルプbot)を入力して作成を確定します。アプリの編集画面が開きます
アプリの種類には、チャットボット(対話型)のほかに、単発のテキスト生成、自律的に判断して動くエージェント、処理の流れを図で組み立てるワークフロー系などが並びます。それぞれの違いと使い分けの考え方はDifyの全体解説記事で整理しているので、ここでは「対話するアプリ=チャットボット」とだけ理解して先に進みます。
2-2. 指示文(プロンプト)を書く
編集画面には、AIへの指示文を書き込む欄があります。ここに書いた内容が、このチャットボットの「性格と業務範囲」になります。まずは次のような指示文を貼り付けてみてください。
あなたは社内の経費精算に関する質問に答えるアシスタントです。
・質問には簡潔に、手順がある場合は番号付きで答えてください。
・分からないことは推測せず「担当部署に確認してください」と案内してください。
・回答は日本語で行ってください。
ポイントは3行目です。生成AIは知らないことでも、もっともらしい答えを作ってしまう性質(ハルシネーション)があるため、「分からないときにどう振る舞うか」を指示文の段階で決めておくのが、実用的なチャットボットを作る最初のコツです。
2-3. モデルを選んで動かしてみる
- 編集画面の上部にあるモデル選択のメニューを開きます。すると、利用可能なモデルの一覧が表示されます(自分のAPIキーを登録済みなら、そのプロバイダのモデルも並びます)
- モデルをひとつ選びます。最初は既定のままでもかまいません
- 画面内のプレビュー欄(デバッグ用のチャット欄)に「経費精算の締め日はいつですか」と入力して送信します。AIからの応答が返ってきます
この時点での応答を見ると、おそらく「一般的には月末締めが多いですが、社内規程をご確認ください」のような一般論が返ってくるはずです。これが現時点の限界です。AIはまだ自社の規程を知らないので、固有の情報には答えられません。ここを解決するのが、次のステップの「ナレッジ」です。
プレビューでの動作に問題がなければ、画面右上の公開系のボタンからアプリを保存・公開しておきます。公開の詳しい方法(URL共有・埋め込み・API)はステップ5でまとめて扱うので、ここでは「編集内容はプレビューで試し、公開操作で反映される」という流れだけつかんでおけば十分です。
2-4. 使い勝手を整える小さな設定
動くものができたら、仕上げに2つの設定を試してみてください。どちらも編集画面内の機能追加系のメニューから設定でき、チャットボットの「使ってもらえる度合い」を大きく左右します。
- 最初に表示するメッセージ:チャット画面を開いたときの冒頭あいさつ(例:「経費精算に関する質問にお答えします。締め日・承認・領収書の提出などについて聞いてください」)を設定します。何を聞けるボットなのかが最初に伝わると、的外れな質問が減り、回答の満足度が上がります
- 変数(入力フォーム):会話を始める前に、利用者に選択肢や入力欄を提示する機能です。たとえば「所属部署」を最初に選ばせて、その値を指示文の中に差し込めば、部署に応じた案内に振り分けられます。ステップ4のワークフローで使う「変数」と同じ考え方なので、ここで一度触っておくと後がスムーズです
ここまでで「指示文+モデル+プレビュー」というDifyアプリ作成の基本ループは体験できました。この基本ループは、この後のナレッジでもワークフローでも同じ形で繰り返します。
ステップ3:ナレッジ(RAG)で自社文書に答えさせる
Difyの「ナレッジ」は、AIに参照させたい文書を登録しておく機能です。登録した文書は、質問が来るたびに関連箇所が検索され、その内容を根拠にAIが回答します。この仕組みは一般にRAG(検索拡張生成)と呼ばれ、社内チャットボットや問い合わせ対応で生成AIを実用レベルにするための中核技術です。仕組みの詳しい解説はDifyの全体解説記事に譲り、ここでは手を動かす手順に集中します。
3-1. テスト用の文書を用意する
実在の社内規程を使ってもよいですが、まずはテスト用に次のようなテキストファイル(keihi-kitei.txt など)を作ると、効果の確認がしやすくなります。
【経費精算規程(テスト用)】
・経費精算の締め日は毎月25日です。締め日を過ぎた申請は翌月処理になります。
・1万円以上の経費は、事前に部門長の承認が必要です。
・タクシー利用は、22時以降の帰宅時のみ精算対象です。
・領収書は申請日から7日以内に経理部へ提出してください。
3-2. ナレッジに文書を登録する
- ナレッジの画面を開き、新規作成を選びます。すると、文書のアップロード画面が表示されます
- 用意したファイルをアップロードします。PDF・Word・テキストなど主要な形式に対応しています。アップロードすると、文書の分割(チャンク設定)やインデックス方式の設定画面に進みます
- 設定は最初は既定のままで確定します。処理が完了すると、文書が検索可能な状態(インデックス済み)になります
途中に出てくる「チャンク」とは、文書を検索しやすい単位に切り分けたかたまりのことです。既定設定で大きな問題は出ませんが、後で回答精度を詰めたくなったときに調整する場所として、存在だけ覚えておいてください。
3-3. チャットボットにナレッジを接続する
- スタジオに戻り、ステップ2で作ったチャットボットの編集画面を開きます
- 編集画面の中に、参照させる知識(コンテキスト)を追加するメニューがあります。そこから、先ほど登録したナレッジを選んで追加します
- プレビュー欄でもう一度「経費精算の締め日はいつですか」と質問します。今度は「毎月25日です」と、登録した文書に基づいた回答が返ってきます
「1万円以上の経費はどうすればいいですか」「タクシー代は精算できますか」など、文書に書いた内容をいくつか質問して、回答が文書に沿っているかを確かめてください。一般論ではなく自社固有の情報に答えるようになった、というこの変化が、DifyでRAGを組む価値そのものです。
3-4. 回答精度を上げる3つのコツ
ナレッジを使い始めると、次に気になるのは回答の精度です。調整の勘所は、モデルの選定よりも文書側にあることがほとんどです。
- 文書を整えてから登録する:見出しや箇条書きで構造化された文書は検索精度が出やすく、スキャン画像のPDFや表組みだらけの文書は精度が落ちやすい傾向があります。精度が出ないときは、まず元文書をテキスト中心に整理し直すのが近道です
- 引用(出典)を表示する設定にする:回答の根拠となった文書箇所を表示する設定を有効にすると、利用者が回答の正しさを検証でき、誤答があっても信頼を失いにくくなります
- 答えられない質問の挙動を決める:ナレッジに根拠がない質問には答えを差し控えさせる方針を、指示文とあわせて徹底します。「無理に答えない」設計が、業務利用では正答率と同じくらい重要です
なお、無料プランのナレッジ容量は50MBです。テキスト中心の規程やマニュアルであれば検証には十分ですが、部門横断の文書を全部入れるような使い方は有料プラン以降の話になります。
ステップ4:ワークフローで処理を組む
チャットボットが「人と対話するアプリ」だとすれば、ワークフローは「決まった処理の流れを自動で実行するアプリ」です。たとえば「問い合わせメールの本文を受け取る→内容を分類する→分類に応じた返信案を作る→結果を出力する」のような一連の処理を、ノード(処理の箱)を線でつなぐ形で組み立てます。
チャットボットに比べると一段難易度が上がるので、ここでは「開始→LLM→終了」という最小構成を動かして、感覚をつかむことを目標にします。

4-1. 最小構成のワークフローを作る
- スタジオで「最初から作成」(Create from Blank)などの新規作成ボタンを選び、アプリの種類からワークフロー系を選びます。名前(例:問い合わせ分類)を付けて作成すると、ノードを配置するキャンバス画面が開きます
- キャンバスには最初から開始ノードが置かれています。開始ノードを選ぶと入力変数を定義でき、ここでは「メール本文」を受け取るテキスト型の変数(例:mail_body)を追加します
- 開始ノードの後ろにLLMノードを追加します。すると、モデルと指示文の設定欄が表示されます
4-2. LLMノードに処理内容を書く
LLMノードの指示文に、次のような内容を設定します。開始ノードで定義した変数(mail_body)は、指示文の中に差し込んで使えます。なお変数の挿入は、波括弧を手で打つのではなく、編集画面の変数選択(「/」入力や変数ピッカー)から行います。以下の記法は表示上のイメージです。
次の問い合わせメールを「質問」「クレーム」「営業」のいずれかに分類し、分類名と、その分類に適した返信の下書きを出力してください。
メール本文:{{mail_body}}
- LLMノードの後ろに終了ノードを置き、LLMノードの出力を最終結果として指定します。これで「開始→LLM→終了」の線がつながります
- 実行(テスト実行)のボタンを押します。すると、開始ノードで定義した変数の入力欄が表示されます
- 適当な問い合わせ文(例:「先日購入した製品が起動しません。対応を教えてください」)を入れて実行すると、分類結果と返信案が出力されます
これがワークフローの基本形です。ここから、条件分岐のノードで「クレームの場合だけ別の処理に回す」、ナレッジ検索のノードで「規程を参照してから回答を作る」、外部ツールのノードで「結果を他のサービスに送る」といった形に育てていけます。v1.13.0以降には、処理の途中で人間の承認や編集を挟んでから再開する機能(Human Input)も追加されており、「AIに下書きさせて、人が確認してから送る」という業務フローも組めるようになっています。
どんな処理をワークフロー化すると効果が出るかというユースケースの整理はDifyの全体解説記事で、業務システムとして本格的に組む場合の設計論点は企業導入ガイドで扱っています。
ステップ5:作ったアプリを公開する(URL共有・埋め込み・API)
作ったアプリは、編集画面の公開メニューから3つの方法で外に出せます。用途に応じて使い分けます。
| 公開方法 | やり方 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| ① 公開URLで共有 | 公開メニューで発行されるURLを共有する。開いた人はそのままチャット画面を使える | チーム内での試用、レビュー依頼、デモ |
| ② サイトに埋め込む | 公開メニューで発行される埋め込みコードを、自社サイトのHTMLに貼り付ける | Webサイトへのチャット窓設置(WordPressにも貼れる) |
| ③ APIで呼び出す | アプリごとに発行されるAPIキーを使い、外部のシステムからHTTPリクエストで呼び出す | 既存の業務システム・自社アプリへの組み込み |
最初に試すなら①の公開URLが手軽です。公開操作をすると共有用のURLが発行され、リンクを知っている人はブラウザからすぐに使えます。ステップ3まで作った経費精算botのURLを同僚に送って触ってもらう、というのが最小の「リリース」です。
②のサイト埋め込みは、発行されるコード(スクリプトタグやiframe形式)をサイトのHTMLに貼るだけで、ページの隅にチャットウィンドウを設置できます。WordPressの場合はカスタムHTMLブロックやテーマのウィジェット領域に貼り付ける形になります。埋め込みまでがDify活用の定番コースです。
③のAPIは、Difyの画面を使わずに、自社のシステムやアプリの裏側からDifyのアプリを呼び出す方法です。無料プランでもAPIリクエストは月5,000回まで使えるため、開発中の検証には十分です。本数の多い本番トラフィックを流す段階になったら、有料プランの検討と合わせて設計することになります。
公開時の注意はひとつだけ挙げておきます。公開URLや埋め込みは「URLを知っていれば誰でも使える」状態になり得るため、社内文書をナレッジに入れたアプリを公開する場合は、誰がアクセスできるかを必ず確認してください。閲覧制限・メンバー管理・ログ監査といった統制が必要になった段階が、個人の試用からチーム導入へ切り替わるタイミングです(この記事の最後で触れます)。
つまずきやすいポイント6つ
初めてDifyを触るときに引っかかりやすいポイントを、先回りしてまとめておきます。
1. モデルが動かない・エラーが出る
もっとも多いのがモデルまわりです。原因はほぼ2つに絞られます。ひとつはAPIキーが未登録・入力ミス・有効期限切れのケースで、設定メニューのモデルプロバイダー画面でキーの状態を確認します。もうひとつはAPI利用側の残高・利用上限で、たとえばOpenAIのAPIはChatGPTの有料契約とは別物のため、API側の支払い設定がないと動きません。Difyのエラーではなくモデル提供側の問題であることが多い、と覚えておくと切り分けが速くなります。
2. 無料クレジットが尽きた
前述のとおり、無料プランの200クレジットは毎月リセットされる枠ではなく、累計で消費する試用枠です。突然動かなくなったように見えたら、まずクレジット残量を疑ってください。対処は、自分のAPIキーを登録してDifyのお試しモデルから切り替えることです。以降のモデル利用料は各AI事業者への直接支払いになり、少額の従量課金で検証を続けられます。
3. ナレッジの回答精度が出ない
モデルを変える前に、元文書の状態を確認します。スキャン画像のPDF、複雑な表、レイアウト崩れのある文書は検索精度が落ちやすいため、テキスト中心の構造化された文書に整えてから登録し直すのが効果的です。それでも改善しない場合に、チャンク設定や検索方式の調整に進む、という順序が効率的です。
4. 無料プランの上限に当たった
アプリ5個・ナレッジ50MB・メンバー1人という上限は、個人の検証には十分ですが、チームで触り始めるとすぐに天井になります。特にメンバー1人の制約は「同僚と一緒に編集したい」時点で引っかかります。複数人での利用はProfessionalプラン($59/月〜)以降の範囲です。
5. 画面の名称が記事や動画と違う
Difyはリリースサイクルが速く、数ヶ月単位でUIやメニュー名が変わることがあります。解説記事や動画の画面と手元の画面が一致しないときは、名称ではなく役割(アプリを作る場所=スタジオ、文書を入れる場所=ナレッジ)で対応するメニューを探すのが確実です。
6. 商用利用・ライセンスの確認
クラウド版で作ったアプリの商用利用は、通常の範囲では問題ありません。注意が必要なのはセルフホスト版(Community Edition)で、ライセンスは制限条項付きのApache License 2.0(Modified Apache License 2.0)です。社内利用や単一テナントでの運用は無料で可能ですが、Difyを使ってマルチテナントのSaaSを立てて再販するような形態は書面での許諾が必要で、管理画面等のロゴ・著作権表示の削除もできません。自社サービスの基盤にする構想がある場合は、この条件を早い段階で確認しておいてください。
次のステップ:チーム・本番で使う段階になったら
ここまでの手順で、チャットボット作成・ナレッジ(RAG)・ワークフロー・公開という、Difyの基本操作は一通り体験できたはずです。個人の検証としてはこれで十分ですが、「これを部署で使おう」「本番の業務に載せよう」となった瞬間に、論点が操作方法から体制・統制の話に切り替わります。
- 複数人での運用:メンバー数の上限、編集権限の管理はプランに依存します。Professional($59/月)で3人、Team($159/月)で50人、それ以上の規模や細かい権限制御はEnterprise(個別見積)の領域です
- セキュリティ要件:SSO・監査ログ・データの保管場所の指定などは、無料〜Teamプランでは対応範囲が限られます。情報システム部門の審査が入る段階で必ず論点になります
- クラウドかセルフホストか:社内データを外部に出せない要件、既存インフラとの統合要件がある場合は、セルフホストやVPC内デプロイの検討が必要です
この段階の判断材料は、用途別に次の記事で整理しています。
- 会社としてDifyを導入する(料金の全体像・セルフホスト・構築代行の選び方・PoCから本番までのロードマップ)→ Dify企業導入ガイド
- 社内チャットボットが目的で、Dify以外の方式(SaaS利用・個別RAG構築)とも比較したい → 社内GPT・社内AIチャットボット構築ガイド
- 社員がDifyや生成AIを使いこなせる状態を作りたい → Swoooの法人向けAI研修(全3回9時間・1人10万円)
よくある質問
Q. 無料プランだけでどこまで作れますか?
この記事の内容(チャットボット作成、ナレッジによるRAG、ワークフロー、公開・埋め込み)はすべて無料プランの範囲で試せます。上限はアプリ5個・メンバー1人・ナレッジ50MB・APIリクエスト月5,000回です。付属の200メッセージクレジットは累計消費の試用枠なので、継続して触るなら自分のモデルAPIキーを登録して使う形になります。無料プランで作って感触を確かめ、チームで使う段階で有料プランを検討する、という流れが標準的です。
Q. プログラミングの知識がなくても使えますか?
この記事の範囲(チャットボット・ナレッジ・基本的なワークフロー)はコードを書かずに進められます。必要なのはプログラミングよりも、「AIにどう指示するか」「どの文書を参照させるか」という業務側の設計です。一方、APIでの外部システム連携や、複雑な条件分岐・データ加工を含むワークフローになると、変数やAPIの基礎知識があるほうが速く進みます。まず画面操作で作れる範囲から始めて、必要になった時点で技術側の知識を足すという順序で問題ありません。
Q. 対応しているAIモデルには何がありますか?
OpenAI、Anthropic、Google(Gemini)、Azure OpenAIをはじめ、100以上のモデルプロバイダに対応しています。特定のモデルに縛られない設計のため、同じアプリのままモデルだけ差し替えて精度やコストを比較できるのがDifyの利点のひとつです。また、OllamaやLocalAIなどを経由して、自社環境で動かすローカルLLMを接続することもできます。
Q. 作ったアプリは商用利用できますか?
クラウド版で作ったチャットボットを自社業務や自社サイトで使う通常の利用は問題ありません。注意が必要なのはセルフホスト版で、ライセンスは制限条項付きのApache License 2.0です。社内利用・単一テナントでの運用は無料でできますが、Difyのソースコードを使ってマルチテナントのサービスを他社に提供する形態は書面での許諾が必要で、画面上のロゴ・著作権表示の改変もできません。自社サービスの基盤として使う構想がある場合は、事前にライセンス条件を確認してください。
Q. クラウド版とセルフホスト版、どちらで始めるべきですか?
学習と検証が目的ならクラウド版です。環境構築なしで始められ、無料プランで基本機能を一通り試せます。セルフホスト版が候補になるのは、社内データを外部クラウドに出せないセキュリティ要件がある場合や、本番運用でのコスト・統制を詰める段階です。ただしセルフホストはサーバー運用・アップデート追従・障害対応が自社責任になるため、その負担も含めた比較が必要です。この判断の詳細はDify企業導入ガイドで整理しています。
まとめ:まず1体作ると、次に決めることが見えてくる
最後に、この記事の手順を振り返ります。
- Difyはクラウド版の無料プランで始められる。200メッセージクレジットは累計消費の試用枠なので、継続利用は自分のモデルAPIキー登録が前提
- チャットボットは「最初から作成→指示文を書く→モデルを選ぶ→プレビューで試す」の流れで、10分程度で動くものが作れる
- ナレッジ(RAG)に文書を登録してアプリに接続すると、一般論しか言えなかったAIが自社固有の情報に答えるようになる。精度の鍵はモデルより文書の整備状態
- ワークフローは「開始→LLM→終了」の最小構成から。条件分岐・ナレッジ検索・人の承認(Human Input)を足して業務フローに育てられる
- 公開は「URL共有・サイト埋め込み・API」の3通り。社内文書を扱うアプリの公開範囲には注意し、チーム運用・統制が必要になったら企業導入の検討フェーズに進む
Difyは「触って理解する」のがもっとも早いツールです。まず1体、この記事の経費精算botのような小さなアプリを作ってみると、自社のどの業務に効きそうか、どこから先が本格導入の論点かが具体的に見えてきます。
Swoooは、Difyを含む業務AI化の支援を、対象業務の切り分けとPoCから、構築、リリース後の運用保守まで担当します。運営は東証グロース上場の株式会社アイビス(証券コード9343)です。「自分で触ってみたが、業務に載せる設計は相談したい」という段階からでも、ご相談ください。
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