【最新版】インドネシアにおけるオフショア開発の現状と今後の展望を考察
「自社のWeb開発のコストを安く抑えたい」 「自社のIT人材が不足している」
そんなお悩みを抱えているの企業も多いのではないでしょうか?
上記を解決する手段としていま「オフショア開発」が注目されています。
ITが急速に発展している昨今、「オフショア開発」という言葉を耳にしたことがある方も増えているのではないでしょうか?
ここでは、「オフショア開発」とはなにか、オフショア開発の注意すべき点について、インドネシアを例に解説します。
目次
オフショア開発とは?

オフショア開発とは、ソフトウェアやwebシステム開発、アプリケーション開発などの業務を海外の企業に委託して行うことを指します。
現在、日本国内におけるIT人材の不足とコストの高騰が問題となっています。これらの問題を解決する手段としてオフショア開発は注目されています。
オフショア開発は、日本と海外の賃金差によって大幅なコスト削減を可能にします。東南アジア諸国では現在、国によるIT推進化が進められており、優秀なIT人材の確保が見込めるため、東南アジア諸国に進出する企業が増えています。
今回はその中でも、インドネシアに注目をします。
インドネシアが注目される理由




なぜ、インドネシアでオフショア開発を行う企業が増えているのか、その理由を見てみましょう。
1.2021年の主要経済指標
2019年のインドネシアの実質GDPは、10,493億米ドルであり、2016年から2019年まで実質GDP成長率は毎年5%を超えています。
2020年度はコロナウイルスの影響もあり、マイナス2.07%でしたが、2021年度は3.69%とプラスに転じています。
また国としてもITをはじめとした分野に積極的な投資を行っています。そのためIT分野の発展も見込め、今後も経済成長が期待できます。
2.IT人材の育成
インドネシアでは、2018年頃からICT教育に力をいれる政策がとられています。インドネシアでは生活の多くの場面でテクノロジーの発達が進んでおり、ITニーズが高まっています。
しかし、インドネシア国内においてITニーズが高まっている一方で、IT人材は不足していることが現状です。
この現状を打破するため、IT教育に力を入れることとなりました。
インドネシアでオフショア開発の特徴




インドネシアでオフショア開発を行う際に押さえておくべき特徴を以下の4点に分けて紹介します。
1.国民性
インドネシアの国民性としてあげられるものは、温厚な性格で、他者を尊重する点があげられます。インドネシアは多宗教国家であり、さまざまな宗教信仰の自由が認められています。信仰している宗教が異なっていても、お互いの信仰する宗教を尊重し、多様性を重んじる文化が根付いていると言えます。
2.日本語能力
インドネシアにおける日本語能力は、ビジネスレベルの日本語を話すことができる人の割合は低いという特徴があります。日本語を学習する人の割合が中国に次いで2位ではあるものの、義務教育で学習をする程度です。
そのため実際の生活では使う場面は多くなく、日本語能力は高くありません。
3.技術力
インドネシアにおいて、技術力は現時点では高いとは言えません。
しかし、先程も述べたように国をあげてのICT教育に力を入れた政策が行われています。
今後IT人材の育成が進み、それに伴って技術力も高まっていくのではないかと予想されています。
4.宗教
先程も述べたように、多宗教国家であるインドネシアは、さまざまな宗教の信仰する自由があります。その信仰度合いは各々異なりますが、それぞれの宗教に配慮する必要はあります。
例えば、国民の9割以上が信仰しているイスラム教は、国によってイスラム教徒の権利が定められています。
そのためイスラム教徒の働く職場では、1日5回の礼拝を行うための休憩時間や礼拝施設を設けることが規定されています。
インドネシアでオフショア開発を行うメリット




インドネシアでオフショア開発を行うメリットについて、3点注目します。
1.安価な労働力
インドネシアは、現在著しい経済発展を遂げています。そのため人件費などのコストは上昇傾向にあります。
とはいえ、まだまだ中国やタイなどの国よりは安い人件費で人材を確保することが可能です。
2.コストパフォーマンス
インドネシアでは、IT分野に関して高い技術力を持つ人材を、他の発展途上国と比較して安い人件費で確保できます。
このコスト面とエンジニアの開発力を両立させたオフショア開発を行うことが成功の鍵と言えるかもしれません。
3.安定した人材供給
オフショア開発を行う上で、人材を確保することは重要な課題です。
インドネシアは、発展途上国の中でも人口が多い国のひとつです。また、既に企業が進出している国や地域と比べると、インドネシアに進出している企業は多くはありません。
そのため、人材の確保がしやすいと考えられています。
また、1つの職場で長く務める傾向も強く、環境が整っていれば優秀な人材の長期的な確保も可能です。
インドネシアでオフショア開発を行うデメリット




1.発注先選定
インドネシアにおけるオフショア開発の事例はまだ少なく、発注先選定は慎重に行う必要性があります。
発注単価の相場やスキルなどといった重要な点を手探りで探すことになりかねません。
現地での協力者と発注先を検討していく必要はあります。
2.ITインフラ整備
インドネシア国内では、ITの整備が進んでいるとはいえ、まだ十分であるとは言えません。
インドネシアでのインターネット普及率は2020年時点で約74%となっており、日本国内と比べると格差はある程度あります。
3.日本人との性格の違い
インドネシア人は、時間にルーズでマイペースな人が多いと言われています。
そのため、プロジェクトが予定通りに進まないリスクが十分に考えられます。プロジェクトを予定通り円滑に進めるためには、日本人との感覚のずれを認識することが重要になってきます。
そのうえで日本式の進め方を教育していく必要はあります。
インドネシアでオフショア開発のリスク




インドネシアでのオフショア開発を行う上で留意すべき点を3点あげます。
1.労働者保護の傾向
インドネシアでは日本に比べて労働者保護意識が高いです。長時間労働や休日出勤などは法律で罰せられることもあます。
特に納期が短い案件を発注する際は注意が必要になってきます。
2.宗教への配慮
インドネシアではイスラム教徒を信仰している人の割合が約9割を占めます。イスラム教徒のいる職場では1日5回の礼拝を行うための休憩時間や礼拝施設を設けることが規定されています。また断食といった宗教行事にも配慮をしてプロジェクトの計画を立てていきましょう。
3.急激な経済成長
インドネシアはIT分野においてはまだ発展途上といえます。現段階においては他の国と比較してオフショア開発をコスト面を考えても優位に進められます。
しかし、人口の多い国であるため競争率は高く、今後急速な経済発展を遂げる可能性が十分にあります。急速な経済発展に伴って人件費などのコストの上昇も考えられるため、経済状況を注視することも必要となってくるでしょう。
インドネシアでオフショア開発の会社の選び方




発注先を選定するうえでどんなことに注目するべきか、いかにポイントを紹介します。
1.企業規模
自社の規模に合わせた発注先選びを行うことが大切です。
自社の規模がある程度あり、発注する業務が基幹産業である場合、1人材管理や経理などといった業務がしっかりと組織されていることが望ましいです。
またWebサイト制作などとなると、機動性や柔軟性を活かせる小規模な企業の方が望ましい場合もあります。
2.得意分野と開発実績
自社が発注する分野の開発実績があるか調べておくことも重要です。
同じ分野の開発実績があれば、その分野に関してはノウハウが蓄積されており、スキルを持った人材がいる可能性は高くなります。
3.経営者の経歴と企業文化
経営者が技術職出身の場合、特定の技術において高い技術力を有している場合が多いです。
逆に経営者が管理職出身の場合は、在庫管理などはしっかりと行われているが、技術力はそこまで高くないという場合も見受けられます。
会社の経営状態などをしっかりとリサーチし、自社との社風があっているかなどについては企業選定のポイントです。
4.担当エンジニアのスキル・実績
担当エンジニアがどれほどのスキルを有しているのか、面談を行い確認しておくと良いでしょう。
オフショア企業においては、会社全体でオフショア開発のノウハウが蓄積されているという場合はあまり多くありません。ある特定の分野に強いエンジニアが数名在籍しているという場合の方が多いです。
そのため、担当するエンジニアと実績や業務に関してのすり合わせをしっかりと行う必要があります。
インドネシアでオフショア開発のおすすめの会社




ここでは、インドネシアで実際にオフショア開発を行っている企業を紹介します。
1.株式会社プレジデントワン




株式会社プレジデントワンはインドネシア・ジャカルタの開発拠点でオフショア開発サービスを提供しています。企業のIT戦略をサポートする事業を展開しています。
代表者 | 松久 久也 |
会社所在地 | 名古屋市中区栄4丁目14番31号栄 オークリッジ9F |
設立年月日 | 2002年4月 |
資本金 | ¥10,000,000.- |
従業員数 | 20名 |
URL | https://president-one.com |
事業内容 | ・ワンストップ・コンサルティング ・事業戦略 ・事業承継・相続対策 ・M&A戦略 ・資金戦略 ・海外戦略 ・人事・教育 ・人材紹介 |
2.株式会社アプキー




株式会社アプキーは、インドネシアを拠点としてスマホアプリ開発、Web制作、運用サービスを提供しています。アプリデザインにおいてはユーザーの使いやすさを第一に考え、直感的に操作しやすいオリジナルテンプレートを制作しています。
代表者 | 中村 淳之介 |
会社所在地 | Jalan Batu Sari 3 ,No.3 Renon, Denpasar, Bali, Indonesia |
設立年月日 | 2012年6月 |
資本金 | 300,000 USドル |
従業員数 | 8 |
URL | appkey.jp |
事業内容 | ・スマートフォン・アプリケーションの開発 ・web制作 |
3.Timedoor




PT.Timedoor Indonesiaはバリ島に本拠地を持ち、Webサイト制作、インターネット広告、モバイルゲーム開発などといったネット事業を展開しています。インドネシアや東南アジアに向けて情報発信をしたいと考える企業に向けて、Facebook広告やソーシャルメディア運用などを行っています。
代表者 | 徳永 裕 |
会社所在地 | 東京都新宿区四谷3丁目 14-1 2F |
設立年月日 | 2014年 |
資本金 | 不明 |
従業員数 | 150人以上 |
URL | https://jp.timedoor.net |
事業内容 | ・スマートフォン・アプリケーションの開発 ・プログラミングスクール ・web制作・システム開発 |
4.株式会社アイコア




株式会社アイコアは、インドネシアトップの工科大学であるスラバヤ工科大学と連携し、ソフトウェアの開発を行っています。高い技術力を持ったエンジニアと高品質なプロジェクトを進めていくことができるので、高難易度のソフトウェア開発にも安心して依頼が可能です。
代表者 | 山本 利昭 |
会社所在地 | 神奈川県藤沢市湘南台7-36-5 |
設立年月日 | 2002年6月 |
資本金 | 300万円 |
従業員数 | 不明 |
URL | icore.co.jp |
事業内容 | ・ウェブDBアプリケーションシステムの開発 ・モバイルアプリケーションの開発 |
まとめ




インドネシアでオフショア開発行うことは、大幅なコスト削減、優秀な人材を確保しやすいといったメリットがあげられます。一方で国民性の違いや宗教への配慮などを忘れてはいけません。
自社がオフショア開発を委託する際に十分に留意して発注先選定を行いましょう。